【大学と就職】就活開始時期の「繰り下げ」、企業はスケジュールを守らない

 2016年3月に大学を卒業する学生の就職活動は、スケジュールが大きく変わる。3月に説明会などが解禁、8月に選考開始と、時期が大きく繰り下がるのだ。これは政府の要請を受けて経団連が決定したものだが、メディアではこの賛否を巡って様々な議論が交わされている。

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2016 年度採用活動の開始予定時期、ディスコ調査
  • 2016 年度採用活動の開始予定時期、ディスコ調査
  • 就職決定企業を決めた背景、ディスコ調査
◆時期の「繰り下げ」は、あくまでも採用活動の時期の話

 ここで注意したいのは、時期の繰り下げは企業側の採用活動の話であるという点で、決して学生側の就職活動の話ではない。極論、就活生はいつ活動を開始しても問題ない(ただ大前提として、大学生の本分は学業。それを蔑ろにするのは好ましいことではない)。

 今回の繰り下げられたスケジュールに従って、大学3年(修士1年)の3月から活動を開始すると、前述のように早めに動き出した中小ベンチャー企業の採用を見落としてしまうリスクが想定される。また、ほかに次のようなデメリットもある。

・時間に余裕のある冬休み、春休みに就職活動ができない
・貴重な情報を持っている先輩たちが卒業してしまっている
・活動時期が学業や卒論、卒研の注力時期と被ってしまう

 少し前、採用活動の解禁は大学3年(修士1年)の10月だった。そこから12月に繰り下がったわけだが、当時は冬休み・春休みを使って就職活動に取り組めた。

 それが学業と被る3月解禁となったことで、学業と就職活動の両立がより厳しくなることが予想される。そのためにも、3年の冬休み頃から早め早めに準備を進めることが肝要だろう。それが両者を蔑ろにしない最良の道だと思われる。

<大学と就職連載>
 就職活動を行う学生を取り巻く状況は、当然のことながら、常に変化している。就活生のお子様を持つ保護者世代が学生だった頃と比べると、その変化は大きい。連載では、就活生と日々接しているキャリアスタッフが、大学や就職にまつわるデータを参考にしつつ、今の学生の就職事情について紹介していく。

<著者紹介>高嶌悠人(キャリアコンサルタント)
 慶應義塾大学法学部政治学科卒。株式会社電通を経て、教育系ベンチャー企業の株式会社ガクーに入社。そこでは新卒学生を対象とした就職活動支援スクールの運営に携わってきた。現在は独立し、高校や大学、塾、予備校などでキャリアをテーマとしたセミナーなどを開催したり、メディアにてキャリアに関するコラムなどを書いたりしながら情報発信している。著書に、「人気NO.1「内定塾」が教える エントリーシート 履歴書の書き方(高橋書店)」や、「これだけ覚える!一般常識&最新時事(高橋書店)」、「人気NO.1「内定塾」が教える!今までなかったエントリーシート 履歴書の文章講座」などがある。
《高嶌悠人》

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