正しい電動自転車の乗り方・子どもの乗せ方、自転車用ヘルメットを

 3月12日、東京都港区で自転車の安全利用促進委員会が主催するセミナー「主婦が知るべき電動アシスト自転車」が開催された。主婦や子どもの自転車事故の傾向、電動アシスト自転車の子どもの乗せ方、そして自転車選びのポイントなどを4名の講師が説明した。

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  • 三井住友トラスト基礎研究所理事・工学博士 古倉宗治氏
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  • 自転車活用推進研究会理事・ツーキニスト 疋田智氏
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 3月12日、東京都港区で自転車の安全利用促進委員会が主催するセミナー「主婦が知るべき電動アシスト自転車」が開催された。主婦や子どもの自転車事故の傾向、電動アシスト自転車の子どもの乗せ方、そして自転車選びのポイントなどを4名の講師が説明した。

 セミナーは、ルールが厳格化される背景についての説明から、4つの講演が行われ、デモ体験も行われた。

 ひとつめの講演では、電動アシスト自転車における主婦と子どもの事故に関する統計データから、電動アシスト自転車での注意すべき場所や乗り方を、三井住友トラスト基礎研究所理事・工学博士 古倉宗治氏が説明した。

 古倉氏によると、主婦・子どもの自転車事故の件数を2008年と2013年で比較すると25.6%の減少がみられるとしながらも、先進国(中国・インドは含まない)の中では、全交通事故のうちの自転車事故死亡者数の割合は高いという。

 そして、子どもと主婦の自転車事故の統計データから、それぞれが事故を起こしやすい場所は圧倒的に交差点が多いという。子どもの場合は、信号のない裏道交差点での出会い頭の事故が多く、主婦の場合は、歩道での事故が多いそうだ。子ども・主婦の事故対策は、左側通行や交差点での一時停止など交通ルールの遵守がポイントとなる。

 統計データを受け、自転車活用推進研究会理事・ツーキニスト(自転車通勤者)の疋田智氏は、2013年に改正された道路交通法に関する主婦の意識調査と安全運転のポイントをレクチャーした。

 疋田氏は、2013年の改正道路交通法のポイントは、自治体の条例レベルであった自転車が歩道を走れる条件や二人乗り、片手運転(傘指し)禁止の規定が全国で統一され、罰則が明確化されたことであると指摘。同法では自転車の右側通行が禁止されたと認識している人が多いが、改正法でルールが大きく変わったわけではないという。右側通行が取締りの対象になったのは、それだけ右側通行、つまり逆走が危険だからだ。

 子どもが自転車に乗る際に注意すべき点は、ヘルメットとシートベルトの着用だ。自転車による死亡事故のうち64%の原因が、頭部損傷だという。単純な転倒でも、頭をアスファルトに打ち付ければ子どもの命に関わる。着用の望ましいヘルメットは、同氏によると「内側に発砲スチロールなどが装着された自転車用のもの」。エイリアンタイプなどと呼ばれる自転車用のヘルメットが望ましいそうだ。

 シマノ・サイクル開発センター 自転車博物館事務局長・学芸員の長谷部雅幸氏は、自転車のメンテナンスや同乗シートに子どもを乗せるときの注意点を解説した。

 長谷部氏は、メンテナンスをしていない自転車はS字走行やカーブで小回りがきかなかったり、制動距離が伸びたりと、危険であることを説明。メンテナンスのポイントとして、空気圧は2週間おきくらいを目安にチェックすることと、人が乗った状態でタイヤの接地部分が10cm程度になるよう空気圧を調整することのふたつをあげた。ブレーキに関する項目や、チェーンのたるみ具合などのチェックと注油も日頃のメンテナンス項目だそうだ。わからない人は、自転車店などに見てもらえばよい。

 電動アシスト自転車は、乗り方やサイズ選びにも普通の自転車と異なる点がある。電源をONにするときはペダルに足を乗せない、立ちこぎをしないなどだ。これらは購入時によく説明を聞き、操作を身に着ける必要がある。バッテリーは、使わないときには室内保存が望ましく、通常700~900回程度の充電回数で寿命となるため、頻繁に充電するより、ある程度減ってからの充電が望ましいとする。バッテリー交換、消耗が早くなった、走行距離が短くなったと感じたときが目安となる。最近の電動アシスト自転車は、モニターランプが点いているので、一晩充電したのにフル充電にならない、減りが早いなどの症状で判断する。

 そのほか、子どもと荷物があるときは先に荷物、次に子どもを乗せるという順番を守ることを注意。下ろすときは逆に子どもを先におろし、次に荷物を下ろすという順番になる。また、前に同乗させるときはハンドルストッパーを利用することも注意点としてあげた。

 セミナーの最後には、自転車ジャーナリストの遠藤まさ子氏による子ども用自転車の選び方が説明された。

 「子ども用自転車は、子どもの体型に合っているか、乗りやすいかを重視して選ぶ人が多い」そうだが、同氏は「安全性にもぜひ目を向けてほしい」とコメント。子どもは、大人が考えないような乗り方、遊び方をすることがあるので、自転車の強度や安全設計など見えないところの違いが、事故のときの被害の大きさを左右することもある。

 同氏は、子ども自転車の選び方のポイントは「あ・い・さ・い」で覚えるとよいという。

 「あ」は安全性だ。見ただけでは判断しにくいが、JISやBAAマークなどは目安になるという。BAAはJIS規格をベースとしながら、それを上回る安全基準と検査項目を設けているので、このマークで選ぶのもひとつの方法だ。

 「い」は「いつ買うか」とのことで、何歳のときの自転車かを考える。幼児に最初に与える自転車なのか、小学生に入って最初の自転車かで、サイズやデザインなども変わってくる。

 「さ」は「サイズ」だ。成長に合わせた自転車を選ぶのが理想だ。子どもはすぐに大きくなるからと、大きいサイズの自転車を買うことが多いが、足の着くかない自転車は論外だという。

 最後の「い」は「いい店選び」とのことで、購入は店頭で行うことを勧めた。サドルの高さ調整、組み上がったときのブレーキテストなどを自分で行える場合はかまわないが、サドルの高さ調整、ブレーキテスト、各部の点検なども、店頭ならば、すべて実車でテスト・調整してもらえる。買う前の試乗ができるのも店頭購入のメリットだ。
《中尾真二》

中尾真二

アスキー(現KADOKAWA)、オライリー・ジャパンの技術書籍の企画・編集を経て独立。エレクトロニクス、コンピュータの専門知識を活かし、セキュリティ、オートモーティブ、教育関係と幅広いメディアで取材・執筆活動を展開。ネットワーク、プログラミング、セキュリティについては企業研修講師もこなす。インターネットは、商用解放される前の学術ネットワークの時代から使っている。

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