岐阜大学が音響を利用して食品の体積を非破壊で検査する技術を確立。技術を組み込んだソフトウェアを開発し、現在製品化を進めている。 応用生物科学部 食品加工学研究室の西津教授が確立したこの技術は、ヘルツホルム共鳴と呼ばれる現象を利用したもの。これは瓶に息を吹き入れたときに音が出るといった現象のことで、このとき出る音は瓶の中に水などを入れることで変化する。この内容積による音の変化を利用して、食品や農産物などの体積を計測することに成功した。 体積の非破壊計測方法としては、アルキメデスの原理を使った液浸法やレーザー光によるスキャンが知られているが、それぞれ液体につける必要がある、計測に時間がかかるといった課題があった。ヘルツホルム共鳴を使った計測は、こうした課題を解消できる。 また、今回の技術を利用することで、食品内の孔の大きさや量の計測も可能に。ビールの泡のきめ細かさ、パンや天ぷらの口溶け感、サクサク感といった食感を数値的に示せるようになる。連続して計測することも可能なため、攪拌中のホイップクリームを計測し、最適な攪拌タイミングで止めるといった利用もできるとのことだ。このほか、体積と重量から密度を算出し、果物の糖度を推定するといった活用法が実用化研究の中で進められている。 現在、同大学ではこういった計測が可能なソフトウェアを開発。実用化、製品化に向けてハードウェアの開発を進めている。 なお、同大学によれば、技術的にはスマートフォンやタブレット端末のワイヤレス接続によって利用が可能とのこと。簡易的なハードウェアとの組み合わせることで、業務用としてだけでなく、家庭内でも気軽に利用できる製品にしていく考えだ。