小中高校の教科書のページ数が、前教育課程と比較し、過去最大の増加率となっていることが、教科書協会が7月に発行した「教科書発行の現状と課題(平成27年度版)」より明らかになった。学力向上を図るため、小中学校では全教科の平均で約3割以上増えている。 同協会は、教科書を取り巻く現状や問題点、協会の活動などを理解してもらおうと、「教科書発行の現状と課題」を毎年発行している。平成27年度は、教科書の定価やページ数、編集・制作の流れ、供給の仕組み、被災地への補給などについて18ページにわたって紹介。同協会のホームページにPDF形式で掲載している。 平成27年度の教科書の平均定価(1冊あたり)は、小学校が393円、中学校が540円、高校が823円。諸物価の上昇などにともない、定価改定率は義務教育用教科書が0.8%、高校用教科書が0.6%の引き上げとなった。東京都の最低賃金や公立小学校の教育費と比べると、低い水準で推移してきている。 平成23年度から順次実施された現在の教育課程では、教科書のページ数(全教科の平均)は、小学校が平成17年度(前教育課程、以下同様)と比較して34.2%、中学校が平成18年度と比較して30.5%、高校が平成23年度と比較して13.1%増加している。これは、学力向上を図るために学習指導要領が増えたことに加え、言語活動の充実やわりやすさ・学びやすさを追求して教科書の記述やレイアウトが工夫されたことなどによるものだという。 このほか、コラムでは「デジタル教科書」の現状と課題も紹介しており、「著作権法制上の位置付けの見直し」「ビューアの開発」などを課題にあげている。