大学や高専などの研究技術と企業を結びつける見本市「イノベーション・ジャパン2015」が27日、28日に東京ビッグサイトで開催された。 同イベントに出展していた奈良先端科学技術大学院大学情報科学研究科の助教・河合紀彦氏の「隠消現実感:映像中から不要物体をリアルタイムに消去」という研究が、防犯カメラの設置で課題となっているプライバシー保護の解決策の1つとしての可能性を秘めていたので紹介していこう。 そもそも同研究は、拡張現実感技術をベースにし、景観シミュレーションや家具配置シミュレーションといったシーンでの看板の除去や追加、家具の配置替えなどを可視化したり、拡張現実感技術を使ったゲームでのマーカーの隠蔽といった活用例を想定したもの。 カメラでとらえた映像に不要なものが映っていれば、リアルタイムで消したり、追加させたい物があればリアルタイムに追加して、映像として表示できるという技術となる。 この技術を防犯・セキュリティで活用した場合、街頭に設置する防犯カメラの背景に民家の玄関や窓が映っていたなら、消してしまうことで民家の住民のプライバシーを保護することができる。 消した部分に関しては、画像修復技術を用いて周辺情報からもっともらしい背景画像を生成して、不要物の上にその背景画像を重畳して、自然な映像として表示することができる。 技術の説明をしてくれた河合紀彦助教に防犯・セキュリティ面での活用を質問したところ、技術的には問題ないとのこと。 防犯カメラの設置ニーズが高まる社会情勢がある一方で、カメラが増えることによるプライバシー面の懸念もあり、こうした技術がその解決策の1つになるかもしれない。