【AO入試の基礎15】推薦・AOは「楽する」ための入試? メリット・デメリット

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今さら聞けない!AO入試の基礎知識
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 AO入試や推薦入試を受ける予定の子どもの保護者の質問に、教員経験をもち、総合キャリア支援団体「MyCareerCenter」を運営する岡村洋平氏が答える連載「AO入試の基礎」。第15弾では、AO入試への懸念に対して話を聞いた。

◆増加していく一方、AO入試には懸念も少なくない

 前回、これからは国立大学でも推薦・AO入試で入学する学生の割合が3割まで増やしていく方針であることを取り上げました。そして、今すでに私立大学では推薦・AO入試による入学者は半数近くを占めています。つまり、大学入試における推薦・AO入試の存在感はこれからますます高まっていくことになります。

 他方で、一般入試でも入学が容易ではない国立大学が行う推薦・AO入試は別として、推薦・AO入試にはすでに懸念の声が上がっているのも事実です。それは、こうした入試方法が一般入試で学生を集めることが難しい大学にとって、早期に入学者を確保するための手段になってしまっているのではないかというもの。

 実際に、大学入試改革などについて議論している文部科学省の高大接続会議の中でも「推薦入試・AO入試による大学入学者の割合が平成12年度には約33%であったのに対し、平成26年度には約43%と増加しているが、その中には本来の趣旨・目的に沿わず、単なる入学者数確保の手段となっているものもある。」という指摘がされています。

 高校現場の教師からも、「受験勉強をせずに楽に大学に入学したい生徒が9月や10月に推薦やAO入試で合格し、それ以降は卒業できる最低限のことしかしないので、受験に向けて頑張っている生徒の士気が下がってしまう」という声も聞こえてきます。

 さらには保護者からも「受験勉強で目標に向かって努力する経験を積ませたいのに、親の目線からはあまりにすんなり決まってしまう印象もある」という声がある一方、「早く合格させてあげたかったのでAO入試を薦めた」という声も。

 このように見ると、早期に合格できるということ以外にはデメリットしかないように思えてしまうかもしれません。

◆AO入試だからこその良さもある

 しかし、推薦・AO入試には良い点もあります。また、「早期に合格ができる」というのは、数か月合格が早まるだけで、子どもの将来を考えるとさほど大きなメリットではありません。それ以外の点でのメリットに積極的に目を向けるべきだと思います。

 ひとつ言えるのは、いわゆる「人気の大学」以外の推薦・AO入試では、学ぶ意欲が高い状態で入学できることがある、ということです。こうした大学では、「人気のA大学やB大学を受験したが合格できなかったから仕方なくC大学に入学した」というケースや、「とりあえずいくつか受験して合格したので入学した」入学生が多いと、正直、入学時点での学ぶ意欲は高く保てないでしょう。

 しかし、推薦・AO入試の場合は多くの大学を受験することもないので、受験の時点で大学をかなり絞り込むことになります。また、その後の受験対策の過程でなぜこの大学なのかを考えますし、その大学の良さにも積極的に目が向きます。そのため、出発点においても結果としても、入学する大学は志望度が高くなり、学ぶ意欲も高くなることが期待できます。

 偏差値や一般入試の受験科目などだけで大学を選ぶと、序列を意識してしまったり、逆に多くの大学が横並びになってしまうことがあります。すると、もしも序列の「下」だと本人が感じてしまった場合には前向きになりにくいですし、横並びだと、「合格できればどこでもいいや」、という考えになってしまうこともあります。そうしたことがありうるのに対して、推薦・AO入試だからこそ「この大学で学びたい」という思いをきちんと担保できることがあるわけです。

 推薦・AO入試は、ただの「長期間の受験勉強よりも早期に(あるいは容易に)進学先を決める手段」ではなく、進学先に対して前向きになり、学ぶ意欲を持って大学に入学するための手段としても捉えられるべきだと思います。

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 連載「AO入試の基礎」は、AO入試や推薦入試を、学生やその保護者が受験をする際の「前向きな選択肢のひとつ」にするべく掲載されるシリーズ。次回以降も、AO入試について役立つ情報を取り上げていく。
《編集部》

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