就活時期の後ろ倒し、学生の半数が卒論に影響あり…文科省調査

 文部科学省は11月20日、平成27年度就職・採用活動の変更に関する調査結果(速報版)を発表した。学生の4割が、就職活動に影響されずに3年次の後期試験に取り組めたと回答した一方で、半数以上が、4年次の卒業論文に影響があったと答えた。

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  • 意思に反して就職活動の終了を強要するようなハラスメント的な行為について
  • 就職活動が原因でもっとも学業に専念しにくかった時期
  • 3年次の学事等への効果と影響
  • 4年次の学事等への効果と影響
 文部科学省は11月20日、平成27年度就職・採用活動の変更に関する調査結果(速報版)を発表した。学生の4割が、就職活動に影響されずに3年次の後期試験に取り組めたと回答した一方で、半数以上が、4年次の卒業論文に影響があったと答えた。

 文部科学省は、内閣府、厚生労働省、経済産業省、および就職問題懇談会と共同で、民間企業と大学・短期大学における学生の就職・採用活動時期の変更(後ろ倒し)に関してアンケート調査を実施。そのうち、大学における学生の就職・採用活動の変更(後ろ倒し)についての速報版の結果をとりまとめた。調査実施時期は平成27年10月16日から11月10日まで、全国の国公私立大学520校の学生6,281名から回答を得た。速報版は11月13日時点のもの。

 就職活動が原因でもっとも学業に専念しにくかった時期を聞くと、ピークは「平成27年5月」。平成27年4月から急激に増加し、平成27年5~6月は「専念しにくい」と答えた学生が50%を超えた。この結果と、採用面接開始から学生が採用面接を受け始めてから、志望度のもっとも高い企業の内々定を得るまでの動向とあわせて分析したところ、学生の採用面接は3月段階ですでに一部が開始しており、5月頃には企業側から内々定が出始めているが、収束は8月頃であることがうかがえるという。

 就職活動に影響されず、3年次の後期試験に取り組むことができたかを聞くと、学生の4割以上が「大いにそう思う」「大体そう思う」と回答。また、学生の半数以上が、3年次における就職活動等の準備について、将来の進路・職業選択にあたり準備できたと答えている。

 4年次に入ってから就職活動が活発化し、4月以降の授業の影響が大きくなったかを聞くと、学生の4割以上が「大いにそう思う」「大体そう思う」と答えた。卒業・修士論文や研究を阻害する影響に関しては、半数以上が「影響があった」としている。

 意思に反して就職活動の終了を強要するようなハラスメント(通称「オワハラ」)的な行為を受けたかという質問では、11.3%の学生が「ある」と答えた。一方、大学の49.2%が、ハラスメント的な行為について相談を受けたとしている。

 就職・採用活動時期の後ろ倒しについては、政府からの要請により、広報活動は卒業・修了年度に入る直前3月1日以降、採用選考活動は卒業・修了年度の8月1日以降に開始するよう、2013年9月13日に日本経済団体連合会(経団連)が採用選考に関する指針を公表。学修時間の確保、留学等の促進のために、平成28年3月卒業者から導入された。

 経団連では、平成27年度の就職・採用活動時期を振り返り、「学生にとっても企業にとっても活動が長期化し、さまざまな問題が生じた」としている。広報活動期間が従来より1か月延長されたうえ、経団連非会員企業が例年通り活動を行ったためだという。学業にとって就職活動の長期化は問題とし、現在の学部3年生のためにもなんらかの改善を図る姿勢を示している。ただし、広報活動の3月開始については、後ろ倒しにより落ち着いて学業に専念できたとの大学側の評価もあり、平成28年度も維持していく考え。選考活動の開始時期については、6月への前倒しも選択肢にあるとしている。政府や大学関係者と調整を図ったうえで、11月中に変更について決定する考えを示した。

 これに対し、就職問題懇談会では、今年度の検証を踏まえた大学側と経済界の意見交換を経ずに見直しについての結論を出すことは避けるよう11月4日に要請。慎重に検討することを求めている。

 なお、11月20日に文部科学省が発表した10月1日現在の平成27年度大学等卒業予定者の就職内定状況調査によると、平成27年度大学等卒業予定者の就職内定状況は大学などの就職内定率は大学(学部)は66.5%(前年同期比1.9ポイント減)、短期大学は33.2%(同6.5ポイント増)。大学、短期大学、高等専門学校の全体では64.7%(同0.9ポイント減)、また専修学校(専門課程)を含めると63.0%(同0.8ポイント減)だった。
《黄金崎綾乃》

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