大学生の授業の予習復習、1週間あたり5時間…長時間バイトと関係

 国立教育政策研究所は3月29日、全国の大学、短期大学生を対象にした「大学生の学習実態に関する調査研究」の中間まとめを公表。大学1・2年生の1週間あたりの平均学習時間では、授業への出席が約20時間、授業の予習・復習が約5時間だった。

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 国立教育政策研究所は3月29日、全国の大学、短期大学生を対象にした「大学生の学習実態に関する調査研究」の中間まとめを公表。大学1・2年生の1週間あたりの平均学習時間では、授業への出席が約20時間、授業の予習・復習が約5時間だった。

 この調査研究は、平成26年11月に実施した学生調査をもとに分析している。調査は、全国の大学、短大に対して、回答者の無作為抽出、調査票の配布・回収などを依頼する方法で行われた。有効回答数は、大学の昼間部が国立4,982件、公立4,580件、私立10,622件、夜間部が公立681件、公立125件、私立765件。短大の昼間部が公立1,782件、私立3,488件、夜間部が公立127件、私立555件。

 1週間あたりの平均学習時間(大学昼間部)をみると、1・2年生時は、授業への出席が19.7~20.0時間、授業の予習・復習などは4.9~5.2時間、授業以外の学習が約2.3~2.6時間。3年生では、授業は15.9時間に減り、授業以外の学習が4.1時間に増加。4年生では、授業は5.8時間になり、卒業論文・研究が12.3時間へと増えていた。

 1~3年生までのアルバイトなどの時間は、1週間あたり8.4~9.9時間。アルバイト時間と授業への出席の関連をみると、長時間のアルバイトは授業への出席を大きく妨げるものではなかった。ただし授業の予習・復習には影響があり、アルバイト「0時間」では14.6%いた予習・復習「11時間以上」が、アルバイト「21時間以上」では7.5%と大きく減少している。

 授業科目の内容・方法では、「小テスト・レポートなどの中間課題」を「よくあった」「ある程度あった」と回答する割合が88.8%と高く、学生の学習を促す方法や理解度を確かめる方法として浸透している。「理解がしやすいよう教え方が工夫されている」は74.9%、「グループワークなど学生が参加する機会がある」は61.2%にのぼり、国立教育政策研究所は2007年度調査時に比べ教員側の工夫やアクティブ・ラーニングの拡大がうかがえる。

 大学の授業が能力形成に役立ったかを質問すると、学生の80.0%が「専門分野の知識経験」の獲得に役立ったと答えた。ついで、「幅広い知識、もののみかた」74.4%、「文献・資料・データを収集する力」70.2%、「問題をみつけ、解決方法を考える力」68.3%など。反対に、同一の項目で自身の実力に対する自己評価を聞くと、「幅広い知識、もののみかた」52.6%、「問題をみつけ、解決方法を考える力」51.1%、「ものごとを分析的・批判的に考える力」50.8%などを、実力が十分な項目にあげる学生が多かった。

 専攻分野別の入学時の進路希望をみると、「医・歯・薬」「看護・保健」「教育・ 家政・福祉」など専門職、国家資格との関連の強い専攻分野以外では、希望進路を「決めていない」学生が20~25%程度存在する。

 学年別に現在の進路を聞くと、1年生では16.1%存在した「決めていない」学生が、就職活動が始まる直前の3年生では7.8%まで減少する。3年生以下で進路を「決めていない」と答えた学生は、「授業についていってない」という質問に「大いにある」「少しある」と回答した割合が高い傾向にある。「民間企業」希望の学生は、「授業についていってない」38.4%だったのに対し、「決めていない」学生は48.6%と、10ポイント近く高くなっていた。国立教育政策研究所では、希望の進路が決められない、卒業後やりたいことが見つからないことが、大学での学習に対する意欲や態度に影響をおよぼしていると分析している。

 なお、今回の研究のもとになった調査は日本学生支援機構と共同実施された。日本学生支援機構は、学生の経済状況と学習状況の関連について公表する予定。
《黄金崎綾乃》

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