明大8年連続1位、その理由とは…進学ブランド力調査2016

 高校3年生に聞く「志願したい大学」1位は、関東エリアでは8年連続「明治大学」、東海エリアでは「名古屋大学」、関西エリアでは9年連続「関西大学」となったことが、リクルートマーケティングパートナーズが7月14日に発表した「進学ブランド力調査2016」で明らかになった。

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リクルート進学総研所長の小林浩氏(左)とリクルート進学総研研究員の牧田綾子氏(右)
  • リクルート進学総研所長の小林浩氏(左)とリクルート進学総研研究員の牧田綾子氏(右)
  • リクルート進学総研所長の小林浩氏
  • 進学力ブランド調査の目的
  • 学校イメージ項目 イメージはズレていないか?
  • 【関東】上位10校の志願度の経年推移
  • 【東海】上位10校の志願度の経年推移
  • 【関西】上位10校の志願度の経年推移
  • 人口減少時代のマーケティングミックス戦略
 高校3年生に聞く「志願したい大学」1位は、関東エリアでは8年連続「明治大学」、東海エリアでは「名古屋大学」、関西エリアでは9年連続「関西大学」となったことが、リクルートマーケティングパートナーズが7月14日に発表した「進学ブランド力調査2016」で明らかになった。

◆8年連続首位の明治大学、その理由は?

 「進学ブランド力調査2016」は、関東エリア、東海エリア、関西エリアの高校に通っている高校3年生7万4,000名を対象に実施したもの。9,117名の有効回答の中から7,897名の回答を集計対象とした。調査期間は4月6日から28日まで。

 調査の結果、志願したい大学は、関東エリアでは「明治大学」が8年連続1位、2位「早稲田大学」、3位「青山学院大学」、4位は同順で「日本大学」「法政大学」、5位「立教大学」。調査開始年の2008年は「早稲田大学」が1位だったが、2009年以降は8年連続で「明治大学」がトップ。男女別にみると、早稲田大学(昨年4位)が2008年の調査開始以来、初めて女子の1位となった。

 明治大学が今年も1位となったことに対して、リクルート進学総研所長の小林浩氏は、「学問領域の多様さと、明るく親しみやすいイメージ、かつ、努力圏内の有名校であることから、幅広い層の高校生に支持されているため」と説明。イメージ項目別では、「学びたい学部・学科がある」でも2位となっており、学問領域の広さが支持されていることがわかる。また、「明るい(3位)」「親しみやすい(3位)」も上位に入り、「入試方法が自分に合っている」でも2位にランクインしていることから、小林氏は「早稲田・慶應などの“超難関校”に比べ、努力すれば入学できる大学、といった“チャレンジ校”として選ばれている面もあるのでは」との見解を示した。

 東海エリアでは、3年ぶりに「名古屋大学」が1位に返り咲いた。続いて、2位「名城大学」、3位「三重大学」、4位「南山大学」、5位は同順で「岐阜大学」「中京大学」。女子では「愛知県立大学」が調査開始以来初の首位に選ばれた。

 関西エリアでは1位「関西大学」、2位「近畿大学」、3位「神戸大学」、4位「同志社大学」、5位「大阪市立大学」。9年連続1位の「関西大学」だが、志願度を見ると、調査開始時の2008年は16.6%なのに対し、2016年は14.0%となり、やや減少傾向となっている。

◆グローバル化に対する認識が変化

 「知っている大学」ランキングでは、関東エリアでは「早稲田大学」、東海エリアでは「名古屋大学」、関西エリアでは「近畿大学」が1位。近畿大学が関西エリア1位に立つのは4年ぶり。積極的な広報活動が影響したと見られる。

 イメージ項目別の質問のひとつでは、「国際的なセンスが身につく」大学について質問。2015年は3エリアとも外国語大学が1位だったが、2016年は、関東エリアで「上智大学」、東海エリアで「南山大学」、関西エリアで「関西外国語大学」がそれぞれ1位となった。小林氏は、「『国際的』に対する高校生のイメージが、単なる『外国語』という認識から抜け出てきたのでは」と述べ、高校生のグローバル化に対する認識の変化を指摘した。

 そのほか大学のイメージ「校風や雰囲気がよい」1位は、関東エリアでは「早稲田大学」、東海エリアでは「青山学院大学」「早稲田大学」、関西エリアでは「京都大学」となった。小林氏によると、「校風や雰囲気」といった大学のイメージは高校生の志望校選択時の重視項目の1つ」。特に2013年に文系学部が青山キャンパスに集約した「青山学院大学」は、「交通の便がよい」「キャンパスがきれい」など、ほかのイメージも上昇している。

◆国公立・私立志向の推移…進路選択背景に経済状況

 「ぜひ行きたい」「どちらかといえば行きたい」のいずれかの回答から見る国公立・私立志向の動向では、関東エリアでは33.8%が国公立志向、54.6%が私立志向。東海エリアでは国公立志向が55.1%、私立志向が34.2%、関西エリアでは国公立志向が43.5%、私立志向が45.1%。関東では私立志向が顕著で、3エリアの中では東海がもっとも国公立志向が高い結果となった。関西では2016年に国公立志向が高まったが、2015年は一転して私立志向が高まった。

 小林氏は、2009年のリーマンショック後、国公立志向が強まっていたが、アベノミクスによる景気浮揚感、東京オリンピック招致決定などにより2014年には私立志向が強まり、消費税が8%になったことで2015年は再び東海・関西で国公立志向が強まったと分析。2016年は消費税増税先送りの影響か、東海・関西で再び私立志向が強まり、景気の状況が進路選択に大きな影響を与えていると述べた。

 進学希望分野は、3エリア共通で「経済・経営・商」「文学」「人間・心理」「哲学・宗教」が前年比増加。一方、これまで人気だった「理学」「薬学」「医療・保健・衛生」「教育・保育」は3エリア共通で減少に転じた。

 この結果に関して小林氏は、「これまで長引く不況の影響により、仕事に直結する医療系学部や、就職に有利とされる理系学部の人気が高くなっていたが、就職状況が改善し文系学部でも就職しやすくなったこともあり、文系を希望する高校生が増加したのでは」と見解を示している。

 「進学ブランド力調査2016」におけるすべての結果や詳細は、リクルートマーケティングパートナーズWebサイトで公開されている。
《池田さちこ》

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