「デジタル教科書」最終まとめ公表、考え方や環境整備の指針に

 文部科学省は12月16日、「デジタル教科書」の位置付けに関する検討会議による最終まとめをWebサイトに公開した。デジタル教科書に関する基本的な考え方、導入に伴う関係制度の方向性、環境の整備について記している。

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 文部科学省は12月16日、「デジタル教科書」の位置付けに関する検討会議による最終まとめをWebサイトに公開した。デジタル教科書に関する基本的な考え方、導入に伴う関係制度の方向性、環境の整備について記している。

 文部科学省は平成27年5月より、教育における情報化の進展や、アクティブ・ラーニングなどの主体的な学習の必要性の高まり、そのほか各種の提言などを踏まえて、「デジタル教科書」の位置付けと関連する教科書制度の在り方について検討を行ってきた。検討会議の開催期間は平成27年5月12日から平成28年12月31日までとなっており、平成28年11月30日開催の第10回にて最終まとめ案の審議が実施された。

 「デジタル教科書」の導入については、紙の教科書と同等の質を確保したうえで、デジタル教科書がもつ良さを生かした使い方を進めていくことが適当だとしている。デジタル教科書の使用形態に関しては、デジタル教科書の使用により学びの充実が期待される教科の一部(単元等)について、紙の教科書に代えて使用。教科書の使用義務の履行を認める特別の教材としてデジタル教科書を位置付ける考え。

 また、デジタル教科書の導入後、一定の期間を経た後にデジタル教科書の扱いについて改めて検討を行うとしている。デジタル教科書やそのほかのICT機器の普及状況、使用による教育上の効果や健康面への影響に関する調査研究の結果、実践活動を通じた成果・知見、課題の蓄積など、さまざまな状況を見極めながら行う。

 紙の教科書との学習内容(コンテンツ)の同一性については、教科書発行者の責任において確保されるべきであり、当面はデジタル教科書の制作者は、基本的には紙の教科書を制作する教科書発行者のみとすることが適当。そのうえで、教科書発行者の責任のもとで、関連するさまざまな分野の民間企業などと連携し、デジタル教科書の質の向上を図っていくことを要望している。

 また、デジタル教科書の導入については、可能な限り、次期学習指導要領の実施に合わせて導入し、使用することができるようにすることが望ましいとした。このため、文部科学省、教科書発行者をはじめとした関係者において、必要な制度改正や関連する準備作業を着実かつ計画的に進めていくことが必要と記している。

 著作権法についても触れている。教科書は、著作権法において一定の要件のもと、個々の権利者に許諾を得ることなく教科書に著作物を掲載することを可能とする権利制限規定が設けられている。一方、デジタル教科書は権利制限の対象とはならず、現在、実際に「デジタル教科書(教材)」の制作などにあたっては、紙の教科書とは別に、教科書発行者と個々の権利者との間で契約を締結し、著作物を利用しているのが実情だ。権利者の承諾が得られず、紙の教科書に含まれているコンテンツを使用できていない「デジタル教科書(教材)」も存在するという。この著作権の権利制限の在り方について、今後、速やかに文化審議会などにおいて審議を行う必要性を説いている。

 このほか、デジタル教科書の効果的な使用のための条件整備として、各学校におけるデジタル教科書の活用方針の明確化、教員の指導力の向上、学校におけるICT活用の支援体制の構築などをあげている。最終まとめ全文は、文部科学省Webサイトから閲覧できる。

 なお、最終まとめは、これまでの議論を整理し、「デジタル教科書」の位置付けと関連する教科書制度の在り方、それらを踏まえたデジタル教科書の望ましい導入の在り方について、現時点でもっとも適切と考えられる考え方を示したもの。デジタル教科書の導入の目的は、あくまで児童生徒の学びを充実させることであり、紙の教科書に代えてデジタル教科書導入を闇雲に進めることが目的ではないということを忘れてはならないと記述している。
《黄金崎綾乃》

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