水素・燃料電池展2017、山梨大学と企業で2020年目指し画期的な燃料電池を開発

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山梨パビリオンのブース
  • 山梨パビリオンのブース
  • メイコーが試作したワインセーラー「CUBE」
  • 山梨大学が中心になって開発した燃料電池スタック
FCV(燃料電池自動車)の発売をピークに話題が少なくなった感の強い燃料電池だが、山梨ではその開発にかける思いが非常に熱い。東京ビッグサイトで開幕した「水素・燃料電池展2017」(FC EXPO 2017)でも、山梨パビリオンを構え、県内の企業7社と山梨大学が出展した。

その中で中心になっているのが山梨大学だ。なにしろその歴史は長い。「研究が始まったのは1960年で、高分子化学をはじめとした基礎の基礎からスタートしているんです。以来、78年に工学部内に燃料電池実験施設をつくるなど、国の援助を受けながら地道に研究開発を続けています」と同大学の還田隆准教授は説明する。同准教授は水素・燃料電池技術支援室の副室長も務める。

2001年には大学内にクリーンエネルギー研究センターを設置、07年にクリーンエネルギー特別教育プログラムを開始、そして08年には燃料電池ナノ材料研究センターを設置している。

その燃料電池ナノ材料研究センターで現在力を入れているのが「SPer-FCプロジェクト」で、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の支援の下、地元企業などと協力して進めているそうだ。「燃料電池のコストダウンをはじめ、画期的な燃料電池を実現するための要素技術の開発に取り組んでいます。プロジェクトが終了する2020年3月頃にはいいものができていると思いますよ」と還田准教授は話し、純山梨産のFCVをつくることが目標だという。

そんな山梨大学に欧州の企業が目をつけ、共同研究も始めている。もちろん、日本企業とも進めており、毎週木曜日に燃料電池の研究会を開いている。そこには地元企業を中心に20社26人が参加している。その中には自動車会社のOBや燃料電池に造詣が深い大学教授も含まれている。

そのほか、2015年にやまなし水素・燃料電池ネットワーク協議会も設置した。これは大学シーズや企業ニーズと県内企業とのマッチングや、県内企業の技術力向上の支援、人材育成などが目的だ。

しかし、形ばかり整えても、肝心の燃料電池に関する製品が出てこないと何をやっているのかということになりかねない。そこで立ち上がったのが甲斐市に本社を構えるメイコーだ。同社は真空乾燥炉などを手がける企業で、これまでの燃料電池技術を利用したスタックを使ってワインセーラーを試作して見せた。

「山梨と言ったら、ワインが有名なので、ワインセーラーなら県のPRにもなるし、喜ばれるのではないかと考えたわけです。そうしたら、方々から早くつくれと言われ、1年ほどでつくり上げました」と同社の米山詩麻夫専務は話し、自身がコンセプトからデザイン、設計、製造とすべてを担当した。

「CUBE」と名付けられたこのワインセーラーは、これまで考えられなかった機能を持つ。一見すると、ゴルフ場などにある貴重品入れのロッカーのようで、ワインが1本ずつ入るようになっている。そして、その1本ずつに温度管理ができるのだ。もちろん冷やすだけでなく、暖めるのも可能で、「飲み頃モード」といった機能もある。なんでも冷やしたまま飲んでもワインは美味しくないそうで、飲む時間に合わせて暖める必要がそうだ。

「特に大変だったのが1室ごとの断熱でした。隣に熱などが伝わってしまったら何にもならないので、そこはうちが長年培ってきた真空断熱技術を使いました」と米山専務は話し、その元には早速、京都の名門ホテルからアプローチがあった。

「50本入りのものがほしいのでつくってほしい」と社長自ら依頼してきたそうだ。そのほか、海外からの引き合いも多く、米山専務はその反響の大きさに驚いている。

いずれにしても、燃料電池を長年研究してきた山梨大学としては、このような製品が次々に出てくることを望んでいる。「山梨に来れば、燃料電池のことがすべてわかるようにしていきたい。研究拠点はもちろんのこと、燃料電池の産業拠点にもなることを願っている。そうすれば、いろいろな企業が集まってきて、山梨県自体も活性化すると思います」と還田准教授は話す。

まさしく、山梨は大学を中心に燃料電池の“聖地”を目指していると言っていいかもしれない。

【FC EXPO 2017】山梨を“聖地”に…大学と企業で2020年までに画期的な燃料電池の開発目指す

《山田清志@レスポンス》

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