THE世界大学ランキング日本版2017、2位に東北大学

 英タイムズ・ハイヤー・エデュケーション(Times Higher Education、THE)を運営するTES Globalは3月30日、ベネッセグループと共同で調査、作成した「THE世界大学ランキング 日本版2017(Japanese University Rankings 2017)」を発表した。

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THE世界大学ランキング日本版2017 総合順位(1-20位)
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  • THE世界大学ランキング日本版2017 ランキング指標(分野/項目/%)
  • THE世界大学ランキング日本版2017 ランキング指標の補足説明
  • THE世界大学ランキング日本版2017 分野別・教育リソース(1-10位)
  • THE世界大学ランキング日本版2017 分野別・教育満足度(1-10位)
  • THE世界大学ランキング日本版2017 分野別・教育成果(1-10位)
  • THE世界大学ランキング日本版2017 分野別・国際性(1-10位)
  • TES Global Times Higher Education誌 編集長のPhil Baty(フィル・ベイティ)氏
 英タイムズ・ハイヤー・エデュケーション(Times Higher Education、THE)を運営するTES Globalは3月30日、ベネッセグループと共同で調査、作成した「THE世界大学ランキング 日本版2017(Japanese University Rankings 2017)」を発表した。総合ランキング上位は、1位東京大学、2位東北大学、3位京都大学だった。

◆日本版の主軸は「学部」

 THE世界大学ランキングは、クアクアレリ・シモンズ(Quacquarelli Symonds、QS)や上海交通大学の大学研究センターによる「世界大学学術ランキング(The Academic Ranking of World Universities)に並ぶ、世界的な大学ランキング。いずれのランキングとも、上位には欧米の大学が多くランクインしており、日本の大学は論文被引用数や国際性の評価で苦戦を強いられていた。

 そこで、世界大学ランキングへの日本国内の反響を受け、TES Globalとベネッセは日本の教育事情に即した形で高等教育機関としての大学力を測る「THE世界大学ランキング 日本版2017」を作成。世界版では大学院の研究内容も含む「研究力」を重視していたところ、日本版では学部教育に注目し、大学の「教育力」を測る設計とした。各分野の評価比重は、教育リソースが10%、教育満足度が26%、教育成果が20%、国際性が16%。学生一人あたりに充てられる資金や教員数、大学合格者の学力なども含め、学びの質や成長性に焦点を当てている。

 評価指標は「教育リソース(Resources)」「教育満足度(Engagement)」「教育成果(Outcomes)」「国際性(Environment)」の4分野11項目。国内の国公・私立大学のうち調査対象となった大学は435大学。総合ランキング・各分野ランキングそれぞれで上位150の大学を決定した。なお、調査のうち「経営収入」「在籍学生数・専任教員数」「在籍外国人学生数」「在籍外国人教員数」は大学からの情報提供に基づくため、情報を得られなかった大学はランキング対象外となった。

◆トップ10は国立大が席巻、SGUタイプA型はすべてトップ50入り

 調査・分析の結果、総合ランキング1位は総合88.5点で東京大学。2位には87.4点で東北大学が続いた。3位は86.8点で京都大学。東北大学と京都大学の総合点差は0.6点とわずかだが、国際性の項目で東北大学64.8点、京都大学59.2点と、5.6点差があった。4位は名古屋大学と東京工業大学。ついで、6位大阪大学、7位九州大学、8位北海道大学、9位筑波大学。10位には早稲田大学、11位には慶應義塾大学が名を連ねた。トップ10のうち、早稲田大学以外はすべて国立大学だった。

 なお、1~12位はすべて、2014年から始まった文部科学省主導の「スーパーグローバル大学創生支援」で「タイプA(トップ型)」に採択されている大学だった。総合38位には、タイプA採択大学の東京医科歯科大学がランクインしている。「タイプB(グローバル化牽引型)」は、24大学のうち国際基督教大学、千葉大学、上智大学、国際教養大学(AIU)など15大学がトップ50に位置した。スーパーグローバル大学に採択されていない大学のうち、高順位に位置したのは13位神戸大学、14位一橋大学、24位首都大学東京など。

 ランキングの結果について、TES Global Times Higher Education誌編集長のPhil Baty(フィル・ベイティ)氏は、国内ですでに課題として認識されている国際性についてだけ見るのではなく、大学関係者はこの結果を受け「(自大学と)他大学との差異化の参考にしてほしい」と語る。その大学ならではの独自性を伸ばす手段として、国内での立ち位置を把握し、教育の質の向上に利用してほしい考え。

 また、ベイティ氏は世界版トップ100内では見かけることができなかった日本の大学の評価がより明確になり、とても興味深かったとコメント。特に、総合24位の立命館アジア太平洋大学は国際性100.0点で国内1位、総合20位の国際教養大学(AIU)が教育満足度99.9点で国内1位に入っていることを指摘。おもに調査・分析を取り仕切ったTES Global Data and Analytics DirectorのDuncan Ross(ダンカン・ロス)氏は、世界版では東京大学39位、京都大学91位、など「大学間の点差に大きな差ができうる」が、日本版結果を見ると大学間の評価は僅差であることがわかったとコメント。「素晴らしい大学群(グループ)が世界版ランキングに名を連ねている」と述べた。

 ランキングは総合点だけではなく分野ごとにも150大学を決定したため、結果として調査対象となった435大学のうち約300大学がいずれかのランキング内に入っていることを指摘。大学関係者は順位に一喜一憂するだけでなく、分野ごとの点数にも注目してほしいと述べた。

◆次回実施の課題は学生の声

 ロス氏は次回の日本版ランキング作成に向け、2つの検討が進んでいることを明らかにした。1つは「教育満足度」分野における「在学生の満足度(Student Survey)」。今回、ランキングの情報源となった大学情報、外部情報、評判調査には、実際に大学に通っている学生の声が含まれていない。もう1つは、「教育成果(Outcomes)」分野における「進路決定率(Value Added Models)」。

 補助金が国公立・私立により大きく異なる点や、医学部・理工系など有する学部によって左右される指標がある点など、基準に対する疑問の声もある。TES Globalとベネッセは今後、第1回発表で得た知見を生かしながら、より正確なランキングを発表していくとしている。

【THE世界大学ランキング 日本版2017】トップ20
1位 東京大学
2位 東北大学
3位 京都大学
4位 名古屋大学
5位 東京工業大学
6位 大阪大学
7位 九州大学
8位 北海道大学
9位 筑波大学
10位 早稲田大学
11位 慶應義塾大学
12位 広島大学
13位 神戸大学
14位 一橋大学
15位 国際基督教大学
16位 千葉大学
17位 長岡技術科学大学
18位 上智大学
19位 金沢大学
20位 国際教養大学

 ランキング結果はすべて、THE日本版世界大学ランキングのWebサイトで閲覧できる。大学関係者には、全分野・項目の評価結果の開示も行っている。
《佐藤亜希》

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