【子ども記者】小学生が生物ライター平坂寛さんに突撃取材「知りたい」が五感でわかった生き物とは?

 生物ライターとしてテレビやWebメディアなど多方面で活躍中の平坂寛さんの新著書「喰ったらヤバいいきもの」(主婦と生活社)を読んで感動したという、東京都内の小学校に通う6年生の雄大(ゆうと)君によるインタビュー。

教育・受験 小学生
平坂寛さんに喰われそうになる雄大君
  • 平坂寛さんに喰われそうになる雄大君
  • 生物ライター平坂寛さん
  • インタビュアーは小学6年生の生き物大好き男子
  • 「喰ったらヤバいいきもの」を一緒に読みながら質問に応える平坂さん
  • デンキウナギを「五感」で感じている映像を観て驚く雄大君と、冒険談を語る平坂さん
  • 「喰ったらヤバいいきもの」にサインをもらって感激
  • 生物ライター平坂寛さんの著書「喰ったらヤバいいきもの」は生き物大好きキッズ必読の冒険記
  • 生き物への愛を語る生物ライター平坂寛さん
◆進化の歴史は味で、浮力は深海魚から学ぶ

雄大君:「知りたい」から「食べたい」になったきっかけはありますか?

平坂さん:ブラックバスを食べたときですね。小学生のころお父さんと釣りに行って釣ったブラックバスが、川魚のイメージと違って見た目も海水魚っぽいから食べられるんじゃないかなって思ったんです。持って帰って、当時はまだ自分で料理ができないからお母さんにさばいてもらって。食べたらコイとかフナと違って、海の魚の味がして美味しかった。調べたらブラックバスは二次淡水魚で、ご先祖さまは海に住んでいたから見た目も味も海水魚っぽい。「進化の歴史は味でわかるんだ!」って感動したんです。それが「食べるのっておもしろい」と思ったきっかけですね。

雄大君:なるほど!広く言うとメダカもサンマやダツの仲間で、もともと海から来た魚ですよね。

平坂さん:そうだね。二次淡水魚と分類されている魚たちだね。だから、ブラックバスなどの二次淡水魚は、少しずつ塩分を濃くしていくと海水のような塩水でも飼えるんだよ。

雄大君:すごいですね!今までで一番美味しかった生き物は何ですか?

平坂さん:オオカミウオも美味しかったし、爬虫類はグリーンイグアナが美味しかったな。脂が乗っているバラムツも美味しかったなぁ。バラムツは人間が消化できない脂が含まれているから食べ過ぎるとヤバいことになるんだけれど、とても美味しかったですね。

雄大君:本にも書いてありましたね…。バラムツはかっこよくて僕も大好きです。僕も深海魚が好きで、漁師の叔父さんが市場に出さない変わった生き物を送ってきてくれるんですが、トウジンは淡白で身が少なかったです。

平坂さん:僕は実は大学院ではバラムツの研究をしていたんだ。バラムツは脂が乗っていて、トウジンは淡白で脂が乗ってないのはなぜだと思う?深海魚はだいたいどちらかのタイプなんですよ。

雄大君:何でだろう…食べている物?環境?

平坂さん:いやいや…よく考えてみて。食べているものも環境も深海魚ってみんな似ているんだよね。トウジンは浮袋を持っていたでしょう?でも、バラムツには浮袋がないんです。

雄大君:あ、そうか。バラムツは脂で浮力を調節するんですね?

平坂さん:そう。バラムツは浮袋を持たずに、体内中にたくわえた脂で浮力を調節するという生き方をしているんだよね。だから身も脂が乗っているんです。一方のトウジンは浮袋を持って生きているから体内に脂がないんだ。食べるとそういう違いもわかる。

雄大君:なるほど、よくわかりました。一番マズかった生き物は何ですか?

平坂さん:マズかったのはオオマリコケムシとタツナミガイとレッドヘッドセンチピード(ムカデの仲間)。タツナミガイは体が受け付けなくて飲み込めないくらいマズかった…。テレビの取材だったから、連帯責任で全員で食べきりましたけど。レッドヘッドセンチピードも本当にマズかった。本来、ウニとかガンガゼのようにトゲや毒などの武器を持っている生き物って、中身は美味しいはずなんだけど、これは全部マズかった。薬品くさい…例えるなら理科室の床みたいな味がした。

雄大君:(驚愕)…薬品のにおい…なんとなく味の想像がつきます…。これから会いたい生き物はいますか?

平坂さん:キングコブラとチチカカミズガエルに会いたいですね。

雄大君:キングコブラ!チチカカミズガエル!僕も大好きです!

平坂さん:いいよねぇ(笑)。あとはもう図鑑でも見たことがないような生き物に会いたいですね。予想の上を行く「そう来るか…」っていう生き物に会いたいですね。

雄大君:…河童とか人魚とかチュパカブラとかビッグフットとか?

平坂さん:そうだね。もう完全に“フリーズ”したい。何も言えなくなる生き物に会いたい。言葉も出ない生き物に会うって人生最高の瞬間だと思うんですよね。

雄大君:僕も会いたいです。

生き物への愛を語る生物ライター平坂寛さん
生き物への愛を語る生物ライター平坂寛さん

◆今より10倍の人が生き物を好きになったら?保護と「好き」の関係

雄大君:生き物への愛を食べること以外で表したいと思いますか。たとえば保護活動などで。

平坂さん:僕はそんなに食べることにこだわってないんです。僕の最終目標は食べることではなくて、その生き物のことを「知りたい」から。知ってたくさんの人に「伝えたい」から食べているんです。それで生き物のことを好きになってくれる人が増えればいいなと思って活動しています。僕の本で、僕が捕まえて食べる話を読んで笑ってくれて、生き物に興味を持って好きになってくれればいい。

 僕ひとりでも絶滅危惧種を守りたいけれど、それは正直難しい。でも、生き物の研究者や好きな人が増えることで生き物を守ることになると思うんです。今より10倍生き物が好きな人がこの世に増えたら、今の10倍のスピードで保護が進むかもしれない。10倍の生き物を守れるかもしれない。だから、生き物が好きな人を増やしたい。食べるな、捕るなは、どうしても力及ばなかったときの最後の手段ですよね。各国で食文化もありますし、そんなことを言わなくてもいいように、僕らは生き物を保護しないといけないと思います。

雄大君:すごいです。本当にそうです。タランチュラを食べると言いながら、騒いで殺して、結局食べられない…という動画を見たことがあるんですが、そういう人に平坂さんの本を読んでもらいたいです。

◆後輩たちへ伝えたい、自然を知るために大切なこと

雄大君:琉球大学、筑波大学大学院で生物を学んだ平坂さんみたいに、生き物について将来も学びたい、と思っている僕みたいな生き物が好きな子どもたちは、今からどんな準備をするとよいですか。

平坂さん:僕の後輩たちってことだね。コミュニケーション能力や行動力が大切だと思います。僕は英語が得意ではないけれど、外国に行って、勢いで話すとなんとかなる。英語の通じない国で「Electric eel(デンキウナギ)!」って単語だけで現地の人に伝えても、何処にいるか教えてくれたり、みんな優しい。

 図鑑もテレビも水族館も動物園もタッチプールもいいけれど、それだけじゃ100あるうちの10もわからない。その生き物が実際に生きている自然の中に行って、本物を見ること、体感してみることが50、60、80…100を知ることになると僕は思います。

 ペットとして飼うことが好きな人も、動物園が好きな人も、野生の生き物に触れることは大事だと思います。だから自然の中へ行ってほしいですね。ペットを上手に飼育できる人はそのペットの種の自然界での生き方を知っているし、オオカミウオの隠れ家のために岩をたくさん入れている水族館は素敵だな、とわかる。

 都会に住んでいても自然が周りにないことを言い訳にしないで、渋谷にいるネズミでも虫でも身の回りにいる生き物から知って、どんどん世界を広げていけばいいと思います。新作のポケモンが100匹増えたら、自然界でも100匹生き物を見つけよう、とか。

雄大君:そうですね。知りたいことにがむしゃらにならないといけないですね。

生き物大好き少年のバイブル「喰ったらヤバいいきもの」にサインをいただくようす
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◆極端にネガティブな言葉は子どもの好奇心の芽を摘んでしまう

雄大君:反対にこれはしない方がいい、という注意はありますか。

平坂さん:危険生物の話は極端に騒がなくていいと思います。たとえば「危ないから触っちゃだめ」と何でもかんでもすぐに親が止めるのは、子どもを自然から遠ざけてしまうことにつながります。もちろん、危険生物には近づかない方がいいし、子どもの安全のために万全を期したい気持ちも当然です。必要なことは何でもかんでも「ダメ」ではなくて、正しい知識を親子で持っておくということです。正しい知識を持って自然や生き物に触れていくことが大事で。危険な生き物を知っておくべきだけれど、「なぜ危険なのか」をもっと知っておくべき、伝えておくべきです。親が極端に避けるのは違うんじゃないかと思います。「危ない」「怖い」「気持ち悪い」っていうワードが子どもを自然から遠ざけてしまう。僕が幸せだったのは親がまったくそういうことを言わなかったことですね。

雄大君:そういう経験あります。校庭でヒルを見つけて触って見ていたら、先生が血を吸うからやめなさい、放しなさいと言ったんです。チスイビルではなかったので、大丈夫なのに…と思いましたけれど、周りにいた子は触らずに離れてしまいました。

平坂さん:ネガティブな言葉のひとつひとつが子どもの将来につながることを潰しちゃっているかもしれないんですよね。大人が好奇心の芽を摘まないようにしなければならないですよね。

雄大君:最後に生き物好きな子どもたちへのメッセージをお願いします。

平坂さん:生き物に限らずいろいろなことに興味を持ってほしいです。生き物が好きな気持ちを持ち続ければ1年中見たい生き物がいっぱいで、スケジュール帳がいっぱいで、やりたいことがなくならない、幸せな人生になると思います。生き物はそのまま好きでい続けてほしいですが、友達と遊んだり、デートしたり、スポーツも音楽もいろいろ楽しんだ方がいい。僕は生き物があるから…とか変なことを思わなくていいから、人との関係をないがしろにしないで大切にして、どっちも欲張りなさいって伝えたいです。

雄大君:はい!今日はありがとうございました!

平坂寛さんに喰われそうになる雄大君
平坂寛さんに喰われそうになる雄大君

 インパクトのある表紙だが、内容は決してグロテスクではなく、捕まえた生き物とその料理の写真、おもしろく穏やかな語り口で冒険の記録が綴られている「喰ったらヤバいいきもの」。生き物への深い感謝が感じられるのは、平坂さん自身の原体験から成る生き物に対する愛と尊敬の想いが文章からにじみ出ているからだろう。

 虫、魚、蛙、トカゲ、葉、花、果実…子どもたちが大地の命に小さな手を伸ばすのを見かけたら「なぜこんな形なのかな?」「なぜ柔らかいのかな?硬いのかな?」「なぜこんな匂いなのかな?」「なぜこんな声で鳴くのかな?」「どんな味がするのかな?」と一緒に疑問を持ち、考えたい。「なぜ?」という疑問こそ、一生をかけてでも探らずにはいられない人生の冒険への入口なのだから。

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一緒に生き物を探しに行きたい!という後輩の願いを快諾してくれた、優しい平坂さん
一緒に生き物を探しに行きたい!という後輩の願いを快諾してくれた、優しい平坂さんでした!
《編集部》

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