学校給食のアレルギー対応、家庭でできる対策【子どものアレルギー10】

 学校給食におけるアレルギー発生事案と、保護者が知っておきたいポイントについて、食物アレルギーや食事制限中にある者に向けたECサイト「クミタス」を運営するウィルモア代表の石川麻由氏に話を聞いた。

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 偏食や朝食欠食、食生活の乱れや肥満・痩身傾向など、子どもたちの健康を取り巻く問題は尽きることがない。子どもたちの健やかな発育支援だけでなく、地域食材を利用した「食育」の場としても、学校給食が担う役割は重要である。

 学校給食において、保護者はその栄養だけでなく、アレルギーに関連する混入や誤配といった問題も気になるだろう。学校給食におけるアレルギー発生事案と、保護者が知っておきたいポイントについて、食物アレルギーや食事制限中の方に向けたサービスである「クミタス」や「アレルギーチェッカー」を運営するウィルモア代表の石川麻由氏に話を聞いた。

給食におけるアレルギー、発生要因は「取り違え」



 給食における誤配だけでなく、小麦粘土など食物抗原を含む材料を使用する授業中や、部活動での運動後や登下校中などにおいても、食物依存性運動誘発アナフィラキシーなどのアレルギー症状が出現する場合があります。

 少し前の報告ではありますが、慶應義塾大学保健管理センターが2010年4月1日から2014年6月30日までの期間、東京都および神奈川県内の小学校2校、中学校3校を対象に行った調査「小中学校管理下で発生した食物アレルギー、アナフィラキシー事故の事例検討」によると、学校管理下で発生した食物アレルギー事故は、発生月別で見ると小学校は4月から7月の1学期での発生が比較的多いことがわかります。発生場所別食物アレルギー事故件数を見ると、小学校は全16件中14件が学校内で、残り2件は宿泊を伴う学校行事中に発生していました。

 発生状況別に見ると、小学校では「配膳時の取り違え」が理由の半数を占めましたが、なかには「初発」だった事例もあります。これは、児童が家庭で食べた経験がなく、給食で初めて食べることになった食物に対し、アレルギー症状が出現したものと思われます。

 「給食配膳時の取り違え」による事故発生においては、伝達漏れ確認不足が背景となり、アレルギー対応食に付ける名札が正しくなかったり通常食のトレーに誤って配膳したりと、通常食を提供してしまったことがあげられます。ほかにも、調理時における原因食物の混入による事故や、家庭からの連絡不足なども要因となります。家庭と学校の連携については、家庭ではそれまでにアレルギー症状の自覚がなかったのに、学校で食べた食物で症状が出現したり、登校前に家庭で摂取した朝食に原因食物が含まれていた、という原因も見られます。

学校給食のアレルギー、家庭でできる対策



 それまでにまとまった量を食べたことのない食物を給食で初めて食べて症状が出現した場合、もっとも不安なのは、十分な対応を取ることができない場合です。よって、保護者の目の届く範囲で、さまざまな食材の摂取を家庭で済ませておくようにしましょう。卵、乳、小麦、大豆など、給食の献立にもよく使用される食物や、アレルギー症状がよく発生する例では、キウイフルーツやナッツ、ピーナッツがあげられます。

 クラス替えに伴い、新たな配膳フローのなかでは誤配なども起こりやすくなりますが、前述の調査によると、発生学年は小学1年生での発生よりも2年生、4年生での発生が多く見られています。学校給食現場が子どもたちの安全に細心の注意を払っているのに加え、保護者としては、アレルギー症状に対する対処や理解を深めたり、学校への伝達を怠らないようにするなど、子どもが学校生活に慣れていくのを注意しながら見守ってあげるとよいでしょう。

石川 麻由(いしかわ まゆ)株式会社ウィルモア 代表取締役
岐阜高等学校、日本女子大学卒業後、大手インターネットサービス企業での事業統括、コンサルティング会社、医療情報ベンチャー等を経て、ウィルモアを創業。バーコードにかざすだけでアレルゲンを含む食品かがわかるスマートフォンアプリ「アレルギーチェッカー」や、アレルゲンを含まない食品を検索・購入できるWebサービス「クミタス」の開発・運営を行っている。
《編集部》

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