大学間で過去問を活用、117大学参加「入試過去問題活用宣言」とは

 全国の大学が毎年作成している「入試問題」。昨今は出題ミスの報告が目立っているが、過去問題には多くの良問が蓄積されているという。参加大学間で過去問題を使用可能とする「入試過去問題活用宣言」をご存知だろうか。平成29年6月現在、国公私立117大学が参加している。

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入試過去問題活用宣言(一部)
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 全国の大学が毎年作成している「入試問題」。昨今は出題ミスの報告が目立っているが、過去問題には多くの良問が蓄積されているという。参加大学間で過去問題を使用可能とする「入試過去問題活用宣言」をご存知だろうか。平成29年6月現在、国公私立117大学が参加している、この宣言について紹介する。

 「入試過去問題活用宣言」が掲げる方針は6項目。入試過去問題を大学コミュニティの共有財産とする考えをもとに、宣言に参加した大学は参加大学間での自大学の入試過去問題使用を承認すること。入試過去問題を活用したとしても、それに安易に依存することなくアドミッションポリシーにしたがい、入試問題を作成すること。また、宣言への参加は入試要項などで事前に公表し、使用過去問題については、入試終了後に原問題作成大学に通知すると同時に、受験生にわかるような形で公表することなどを掲げる。

 「入試過去問題活用宣言」Webサイト掲載のこれまでの経過によると、平成17年11月7日の国立大学協会総会において、岐阜大学黒木学長からおよそ20大学の学長に非公式に趣旨を説明し、おおかたの賛意を得たところから「入試過去問題活用宣言」はスタートする。平成18年1月には「入試過去問活用ネットワーク」趣意書を作成し、4月に共同提案に賛同あるいは関心を持つ23大学で問題点を検討。その後、準備委員会の設置、文部科学省からの基本的な理解を得るなどして、平成20年度入試から「入試過去問題活用宣言」の方針をもとに活用が開始された。

 過去問題を活用するメリットは、各大学職員の負担削減と、出題ミスの撲滅などが考えられる。それぞれの大学に所属する入試問題だが、大学コミュニティの共有財産との側面を持ち合わせており、宣言の基本的認識に通じる考えでもある。宣言の中でこれらの認識について、他大学の入試過去問題の使用は重大なルール違反というこれまでの通念、重圧からの解放を意味し、各大学がアドミッションポリシーにしたがった入試に向けて、より効率的な対応が可能になると説いている。

 宣言の対象は学部入試(前期・後期)の過去問題。修業年限が4年制(医・薬・獣医学は6年制)で過去問題を公表している大学であれば、国公私立を問わず参加可能。

 平成29年6月現在、国立28大学、公立20大学、私立69大学が宣言に参加。幹事大学である岐阜大学、連絡委員会大学であるお茶の水女子大学・名古屋市立大学・桜美林大学・順天堂大学のほか、東京学芸大学、横浜国立大学、長崎県立大学看護栄養学部、東京慈恵会医科大学、摂南大学などが名を連ねている。平成29年度入学試験では、19大学が他大学の過去問題を活用した。

 「入試過去問題活用宣言」の詳細は、Webサイトで確認できる。
《黄金崎綾乃》

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