医学部vs理学工学系…偏差値ランキングと入試難易度

 「大学全入時代」と呼ばれる状況で、「医学部」の人気が上昇し続けている。そうしたなかで、医学部合格に導くセオリーとはなんだろうか?医歯専門予備校の学院長が医学部入試で重要な「偏差値」と「難易度」の読み方について教える。

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 「大学全入時代」と呼ばれる状況で、「医学部」の人気が上昇し続けている。そうしたなかで、医学部合格に導くセオリーとはなんだろうか?医歯専門予備校の学院長が医学部入試で重要な「偏差値」と「難易度」の読み方について教える。

難易度の基準になる「偏差値」の読み方



 では、何を見れば「入試難易度」がわかるのでしょうか? 

 入試難易度を見るには、やはり大手予備校などが発表するボーダーライン偏差値が一番わかりやすい指標です。ボーダーライン偏差値が高い大学が「難易度が高い」ということになります。

 ただ「偏差値」というのもなかなか曲者で、見方を間違えると模擬試験ごとの自分の偏差値に振り回されることになります。

 というのも、「偏差値」はある集団が同じ試験を受けた場合、その平均点を「偏差値50」として算出した数値です。つまり、本人の得点の高低だけではなく、その試験を受けた母集団のレベルによって、大きく変化するものです。

 たとえば、「A大学のボーダーライン偏差値が60」とはいったい何を表す数字でしょうか。

 これは簡単に言うと、「去年A大学を受験した受験生の合否をこの模擬試験の成績(偏差値)で区分すると、合否が半々だった成績(偏差値)が60だった」ということです。

 よく登場する「医学部偏差値一覧」は、河合塾発表のものは河合塾が実施している全統模試、駿台予備学校が発表しているものは駿台予備学校が実施する駿台全国模試を基準にして、それぞれの予備校が算出したものです。

 両方受ける人も少なくありませんが、受験者数、受験者層、そして問題そのものも違うわけですから、単純に比較することはできません。

 偏差値ランキングなどの順位は両者で多少の違いはありますが、それでも入試難易度の目安にはなります。ただし、あくまで「目安」として考えてください。

 そもそも、「去年の入試ではこうだった」というものであって、今年も同じとは限りません。しかも、河合塾にせよ、駿台予備学校にせよ、模擬試験はすべての受験生のために作られていて、医学部の傾向などは考慮されていません。

 典型的な例を挙げましょう。

 メルリックス学院で学んだB君は、第一志望だった日本医科大学に合格・進学しましたが、日本医科大学以外に合格したのは帝京大学医学部だけでした。

 ボーダーライン偏差値だけで比較すると、当社の算定では日本医科大学は68。私立では上から5番目の難関です。

 一方、帝京大学医学部は63。下から5番目で、日本医科大学に比べればかなり入試難易度は低いはずです。

 B君は、日本医科大学と帝京大学医学部の「中間」に当たる医学部も5校以上受験しましたが、これらは残念ながら合格できませんでした。

 一番難易度の高い大学と低い大学だけに合格したのです。偏差値の差は5あります。普通に考えれば日本医科大学に合格する力があったら、ほとんどの医学部に合格するはずですが、そうはなりませんでした。

 医学部入試はそれだけ微妙なのです。

 「合否」のボーダーライン付近には、得点にして数点違いの受験生が大量にひしめいています。ある医学部で繰り上げ合格が約90名だったとき、その大学から「3点の中に全員がいた」とお聞きしました。単純計算で、1点きざみで同点が30名いたことになります。

 本当にちょっとしたミス、あるいはたった一つのまぐれ当たりが、合否を分ける可能性が十分あります。

 第一志望の東京医科大学だけに受かって、ボーダーライン偏差値がそれより低い大学にはまったく合格できなかったという生徒もいます。

 東京医科大学は私立では7番目の難易度で、ボーダーライン偏差値は66.5です。

 同じ大学のボーダーライン偏差値であっても、模擬試験受験者全体の学力レベルが高い場合は、ボーダーライン偏差値は低めに出ます。逆に、受験者の学力レベルが低い場合には偏差値は高くなります。

 進研模試は河合塾、駿台予備学校と比べて現役生の割合が多いため、ボーダーライン偏差値の数値は高くなりますが、それでも大学の偏差値順位は他の模試とあまり変わりません。

 次の表は、河合塾とメルリックス学院のボーダーライン偏差値によるランキングです。

2017年度入試難易予想ランキング(一部抜粋)

 表を見てわかるとおり、医学部に限定すれば、ボーダーライン偏差値が下位の大学であっても、偏差値が60を下回ることはありません。

 「かなり難しい」ことがわかりますが、これを「理系のトップ校」と比較してみます。

2017年度国公立大学入試難易予想ランキング&2017年度私立大学入試難易予想ランキング

 こちらも河合塾によるものです。国公立、私立の理学系、工学系で上位の大学を任意に抜き出しています。

(※本記事内の情報は2016年6月時のものです)

医学部合格完全読本(田尻 友久 著/かんき出版)より「医学部入試の最新情報」

医学部合格完全読本

<著者プロフィール:田尻 友久(たじり ともひさ)>

医歯専門予備校メルリックス学院 学院長。大阪府出身。同志社大学法学部卒。銀行に入行後、複数の上場企業を中心とした企業グループの統括部門を経て、1996年から医学部受験にかかわり、2000年に私立医学部・歯学部受験を専門とするメルリックス学院を創立、学院長に就任し、現在に至る。予備校関係者でさえも想像に頼る部分が多い医学部入試について、全国の大学医学部から直接話を聞き、正確かつ最新の入試情報を得ている。毎年メルリックス学院から発行される「私立医歯学部受験攻略ガイド」は今や、受験生やその家族はもちろん、高校、塾、予備校でも医学部受験指導の必需品となっており、大学関係者からも高い評価を得ている。

《リセマム》

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