医学部偏差値は最低でも早慶理工レベル、親世代の認識とズレ

 「大学全入時代」と呼ばれる状況で、「医学部」の人気が上昇し続ける理由とはなんだろうか。医歯専門予備校の学院長がその理由を解説するとともに、親世代と現在との認識のズレを指摘する。

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 「大学全入時代」と呼ばれる状況で、「医学部」の人気が上昇し続ける理由とはなんだろうか。医歯専門予備校の学院長がその理由を解説するとともに、親世代と現在との認識のズレを指摘する。

下位の医大と早慶理工が同じレベル



 表を見ればわかるとおり、私立大学の理系で2017年のボーダーライン偏差値予想が一番高いのは、早稲田大学の67.5と慶應義塾大学の65.0です。これらは早慶の中でも最難関です。

 一方、65という偏差値は、医学部に限って見てみると、下位に相当することになります。

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 もちろん、医学部と一般の理系学科では、受験科目が違うこともあるので単純に比較はできません。しかし、医学部の中ではボーダーライン偏差値がそれほど高くなく、入りやすそうに見える大学であっても、早稲田、慶應の中でも最難関の理系学科とほぼ同等であることは確実です。

 早稲田、慶應の理工レベルの成績でも、医学部の中では入試難易度の低い大学さえ合格できるかどうかギリギリなのです。

 親御さんは、ここを肝に銘じておいてください。

 親御さん自身の受験当時を基準に考えるのは大きな間違いです。

 前述したとおり、そもそも今の受験生の親御さんたちの受験時期は、新設医大、新設医学部が急激に増えた時代です。あまり人気のない医学部であれば、かなり入りやすかったことも事実です。

 私立の場合はボーダーライン偏差値が40台の医学部もあり、現在の医学部の状況からは信じられないような時代がありました。

 その当時のイメージで、子どもに接するのは考えものです。現在の医学部は、大学入試全体の中で、突出して難しい学部になっています。

 特に国立の医学部を出られた親御さんは、「オレの時代、私立なんか誰でも入れた」などと言いがちですが、認識を改める必要があります。

(※本記事内の情報は2016年6月時のものです)

医学部合格完全読本(田尻 友久 著/かんき出版)より「医学部入試の最新情報」

医学部合格完全読本

<著者プロフィール:田尻 友久(たじり ともひさ)>

医歯専門予備校メルリックス学院 学院長。大阪府出身。同志社大学法学部卒。銀行に入行後、複数の上場企業を中心とした企業グループの統括部門を経て、1996年から医学部受験にかかわり、2000年に私立医学部・歯学部受験を専門とするメルリックス学院を創立、学院長に就任し、現在に至る。予備校関係者でさえも想像に頼る部分が多い医学部入試について、全国の大学医学部から直接話を聞き、正確かつ最新の入試情報を得ている。毎年メルリックス学院から発行される「私立医歯学部受験攻略ガイド」は今や、受験生やその家族はもちろん、高校、塾、予備校でも医学部受験指導の必需品となっており、大学関係者からも高い評価を得ている。

《リセマム》

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