【EDIX2019】「Surface Go」と「Office 365」で変わる学び…教育現場に選ばれる3つの理由

 「教育ITソリューションEXPO(EDIX)」が、2019年6月19日から21日に開催された。昨年に続いて出展した日本マイクロソフト。導入校にどのようなイノベーションをもたらしているのか、同社の出展ブースでのセッションを取材した。

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【EDIX2019】「Surface Go」と「Office 365」で変わる学び…教育現場に選ばれる3つの理由
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 日本最大級の教育業界の展示会「教育ITソリューションEXPO(EDIX)」が、2019年6月19日から21日に開催された。会場は熱気に溢れ、2020年における教育改革への関心の高さを感じた。

 昨年に続いて出展した日本マイクロソフトのブースでは、学校の教職員や教育委員会関係者など、多くの来場者が足を留めていた。同社は近年「Surface Go」と、学校のニーズに応じた教育用クラウド環境を簡単に構築できるソリューションパッケージ「Microsoft 365 Education」によって「子どもたちの学び方」「先生の教え方」「学校での働き方」の3つの改革をサポートしている。同社の出展ブースで開催されたハンズオンとセミナーを取材した。

ICTで実現するストレスのない協働学習



 日本マイクロソフトの出展ブースでは、4つのハンズオンセッションが開催されていた。

働き方改革


 「Microsoft Teams」を使って、タイムリーなコミュニケーションを体験するコーナー。煩雑になりがちな校務資料は複数人で協働編集でき、またその共有や管理も一元化できるので、効率的な働き方が実現できる。

プログラミング学習体験


 ブロックを使ったビジュアルコーディングとJavaScriptによるテキストコーディングの2種類のプログラミング方法を切り替えながら、プログラミングできる「Microsoft MakeCode」を体験するコーナー。

デジタルクラスルーム


 デジタルノート「OneNote」を活用したノートテイキングを体験するコーナー。課題の配布からグループでの協働編集まで授業の流れに即して活用ができるツールを紹介。

シンプルIT管理


 デバイスやID・パスワードなどを簡単に管理できる学校向けIT管理ツール「Intune for Education」を紹介する、おもに学校の情報管理者向けの体験コーナー。手軽にできる初期設定やアップデートの管理方法を紹介。

 この中のひとつ「協働学習も個別学習もICTでサポート!デジタルクラスルーム」のハンズオンセッションで、筆者自身も「Microsoft 365 Education」と「Surface Go」の実機を体験した。

 「Surface Go」は10インチのタブレットPC。タイプカバーを装着すれば、キーボード入力も可能だ。重さは500gほど。安定したほどよい重量感があるので、小学生でも負担なく、丁寧な持ち運びの習慣がつきそうだ。画面はタッチ操作もできるが、Surfaceペンを使用すれば、紙にメモをするような自然な書き心地を体感できる。別売りでタイプカバー、Surfaceペンも用意されており、子ども自身が状況に応じて入力方法を選択できる環境を整えている。背面カメラ・インカメラともに搭載している点も、文部科学省が推奨しているスペックを満たしている。たとえば植物の成長を撮影したり、ビデオ通話をしたりするなど、教室の内外問わず活躍しそうなデバイスだ。

日本マイクロソフト展示ブースで開催されたハンズオンセッションのようす

 ハンズオンセッションでは、「Microsoft 365 Education」に含まれるデジタルノートアプリ「OneNote」を中心に体験した。授業のノートテイキングをイメージしたセッションだ。

 セッション参加者のデバイスにはそれぞれのページが表示されており、まずは参加者全員でファイルの同時編集をすることに。参加者それぞれの編集箇所と履歴は、カーソルの色分けによって確認できるので、重複編集を防ぐこともでき、わかりやすい。

 キーボードでのタイピングの次に、別売りのSurfaceペンを用いた入力も体験。書き心地もスムーズで、画面上でのフォントや色・太さの変更だけでなく、ペンの頭の消しゴム機能を使えば直感的なノートテイクができる。自分なりのノートのまとめ方にこだわる子どもたちにとっても使いやすいツールだ。

 背面カメラを備えている「Surface Go」なら、文字入力に限らず、その場で撮影した写真をファイルに挿入することも容易にできる。試しに背面カメラで、手元のプリントを撮影してみると、その手軽さに驚く。撮影したデータにトリミングなどの加工を手軽に施せるだけでなく、斜めに歪んで撮影された板書やプリントの写真の角度を自動補正してくれる。配布された紙の資料やプリントを「Surface Go」で撮影し、保存すれば収納場所にも困らない。

 先生からの課題の配布やクラスごとのコミュニケーションに便利なのが「Microsoft Teams」という、個人やグループでのメッセージ、音声やビデオでの通話ができるコミュニケーションツールだ。ポストされたメッセージには「いいね」ボタンや絵文字などのリアクションスタンプを付けることができ、SNS感覚で手軽なやりとりができるのも魅力のひとつだろう。

 メッセージにファイルやリンクを添付し、指定したグループや個人への情報発信を行える。データの共有が可能なだけでなく、「Excel」や「Word」、「PowerPoint」のファイルや「OneNote」のページなど、「Microsoft 365 Education」のサービスで作成されたデータであれば「Microsoft Teams」上でも協働編集が可能だ。

 「Microsoft Teams」で共有されたファイルは、すべて「Microsoft 365 Education」に含まれる共有プラットフォームサービス「SharePoint」にアップロードされる。共有された相手も、この「SharePoint」上の同じファイルにアクセスすることになるため、同時編集が可能になる仕組みだ。

Officeサービスすべてが連携しているため、ウィンドウの切り替えが不要で作業もスムーズ

 実機での体験からは、ほど良いサイズ感の「Surface Go」、そして直感的にストレスなく操作できる「Microsoft 365 Education」の機能を知ることができた。デジタルネイティブと言われる子どもたちにあっては、さらに柔軟に使いこなし、協働学習を自発的に進めることができるだろうと感じた。

「Surface Go」が教育現場で採用される理由



 Surfaceシリーズは、かねてから小学校から大学までさまざまな学校で導入されてきた。その中でも「Surface Go」の登場は、教育市場に大きなインパクトをもたらしている。日本マイクロソフト担当者に聞いたところ、発売された2018年夏以降、小中高を中心に、児童生徒の学びの端末として「Surface Go」の採用が圧倒的に増え、シリーズ全体での教育現場における導入台数は前年と比較し倍に迫る勢いとのこと。文部科学省で推進しているICT機器の特徴とも照らしながら、「Surface Go」が選ばれる理由をまとめたい。

ポイント1:最適なサイズ


場所を選ばない学びを実現するために、課外学習や屋外での実習など持ち運びや机上での操作に適したサイズであること。また安定感のある重量も大切。

ポイント2:十分なスペック


ソフトの立ち上がりに支障のないCPU。スムーズな授業の進行や学習をサポートできるよう、素早い起動やレスポンスを実現するスペックであることが重要。

ポイント3:最適な価格感


持続可能なICT環境構築のために、家庭での購入をお願いする学校も多い。デバイスの購入が家計の負担にならない程度の価格帯であることが非常に大切。

ICT活用で伸びる子どもたちのスキル…青山学院初等部におけるICT環境整備を例に



 出展ブースで開催されたセミナーセッション「Microsoft 365×青山学院初等部×Surface~家庭・学校で活用できるクラウドベース学習環境~」では、青山学院初等部の情報主任教諭・井村裕氏による同校の事例紹介が行われた。

セッションに登壇する青山学院初等部・井村裕氏

 青山学院初等部の授業目標は「ひとりひとりがいきる授業・いかされる授業」。ICTを「授業目標を実現するための有効なツールのひとつ」として好意的に捉えているという。

 初等部長からは「青山学院初等部の教員は、授業でICTを“使えない”といけない」と日頃から伝えられているという。井村氏は「“使えないといけない”と“使わないといけない”では、意味が大きく違います。本校ではICTを強制的に使わないといけないわけではありません。先生の授業目標に合わせて、きちんと選択できるということです」と、教員がICTに向き合う際のスタンスを紹介した。

 その上で「無理をしないICT活用」をテーマに、ICT環境の整備を進めているという青山学院初等部。「学校は『クラスのみんなで学び合う場所』であるということを最優先し、デバイスやサービスを選定しています」と井村氏は話す。

 そのため導入初期には、タブレットPCをグループごとの意見をまとめ、クラス全体で意見を共有するためのツールとして活用した。

グループに1台タブレットPCを導入した際のようすを紹介する井村氏

 井村氏は、グループに1台タブレットPCを導入した際の算数の授業を例として示した。立体の体積の求め方の問題をオンラインで配布すると、児童はグループごとにタブレットPCに額を寄せ合って考える。グループで考えた結果は、教室正面にある電子黒板に表示。配布された問題に電子ペンで答えや解法を書き込むグループが多い中、手書きのノートを写真で撮影して送るグループも見られたそうだ。ひとつの方法に固執せず、どのように表現すれば相手にわかりやすく伝わるかを児童自身が考える姿が印象的だ。スライドショーのようにページを進めながら発表するなど、プレゼンテーション力の向上も図られたという。

 1人1台のICT環境の整備後には、児童のスキルにさらなる変化が起きた。

 「国語の授業で『重要な箇所に線を引いてください』と言っても、紙の教科書だと汚れるのを嫌がって線を引かないのです。誰かが正解を言うまで受け身で待っている。でもデジタル教科書を使い始めたことで、いくら書き込んでも汚くならず、心置きなく自分のメモや考えを書き込むようになりました」(井村氏)

 重要語句の意味を調べる作業においても、良い傾向がみられた。タブレットPC内のデジタル辞書で調べたあとに、紙の辞書でも調べ始めたというのだ。児童に聞けば、辞書によって説明が異なることに気付き、自分なりに良い言葉を選ぼうとして、複数の辞書を比較したという。

 井村氏からは、タブレットPC1人1台の導入が、先生の負荷軽減にもつながったという事例も話された。たとえば演習問題をランダムに作成できるサービスを活用し、ドリル形式で問題を解かせたときのこと。児童のタブレットPCに演習問題を配布すると、自分のペースで解いていく。解き終わった児童には新しい問題を送ることで演習を繰り返し、得意分野を伸ばすことができる。一方、解くのが遅い児童には手厚いフォローも可能だ。児童が各自のペースで学びを進められる授業が実現できたという。

ICTで子どもたちの最高のパフォーマンスを引き出す



 「ICT導入はそれ自体目的ではなく、あくまでもツールとして活用すべき」とはよく聞く言葉だ。青山学院初等部の事例は、それを痛感するものだった。世界一高負荷と言われる日本の教育現場で、無理のない教育と学習を実現するためのツールとして、ICT環境を整備する。

 セッション後に、あらためて井村氏に聞くと「授業に利用するアプリケーションがスムーズに動き、まったくストレスを感じない」と「Surface Go」の満足度を話してくれた。まさにこの、ストレスなく当たり前に“使える”環境こそが、理想的な教育ICT環境だろう。違和感なく教育現場に溶け込んだICTは、単なる新規性や物珍しさではなく、子どもたちにも日常の学びのツールのひとつとして受け入れられる。井村氏によれば、タブレットPCでの学習は、アナログの教材のみの学習よりも児童の没入感があり、飽きない傾向があるとのこと。知らず知らずのうちに好奇心を引き出し、モチベーションを維持し、コラボレーションやコミュニケーションの意欲を掻き立てる。適切なデバイスやソリューションを導入すれば、子どもたちは大人の想像を超えるパフォーマンスを発揮する。

 ICTは、これからも教育と学びを大きく変えていくだろう。その最先端を走る日本マイクロソフトの取組みに、今後も注目したい。
《佐久間武》

佐久間武

早稲田大学教育学部卒。金融・公共マーケティングやEdTech、電子書籍のプロデュースなどを経て、2016年より「ReseMom」で教育ライターとして取材、執筆。中学から大学までの学習相談をはじめ社会人向け教育研修等の教育関連企画のコンサルやコーディネーターとしても活動中。

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