誠文堂新光社の「子供の科学★ミライサイエンス 宇宙探査ってどこまで進んでいる?」より、宇宙への興味の一歩を引き出す“ひみつ”情報をご紹介する。
ロケットは「寒がり」だった? ロケットの発射場が南にある理由
ロケットを打ち上げる場所を「射場(しゃじょう、または発射場(はっしゃじょう))」という。日本のロケット打ち上げ射場は、鹿児島県の種子島と内之浦の2か所だ。種子島からは液体ロケット(現在はH-2A(エイチツーエー)、H-2B(エイチツービー))が、内之浦からは固体ロケット(現在はイプロシン)が打ち上げられる。
鹿児島県は日本の南のほうにある。実は世界各国も、自国内の南寄りの(正確には赤道に近い)場所に射場をつくっていることが多い。その理由は、地球の自転の勢いをロケットの速度に上乗せするためだ。
地球は南北を軸にして西から東に自転している。その速度は赤道付近で秒速約470mにもなる。そんな猛スピードに人間が気づかないのは、自転速度が一定のためだ。飛行機が上空で一定の速さで飛んでいるとき、乗客はスピードを感じないのと同じだよ。
ロケットを加速するには、大量の燃料が必要だ。でもロケットを東向きに打ち上げれば、地球の自転速度を上乗せできるので、燃料を少なくできる。地球の自転速度は赤道に近い場所ほど速いので、射場は赤道に近い場所につくるんだ。
地球の自転で勢いをつける
地球の自転速度
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日本のロケット射場
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内之浦宇宙空間観測所から打ち上げられるM-Vロケット5号機。小惑星探査機「はやぶさ」を打ち上げた(2003年5月9日)。
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種子島宇宙センターは、青い海に白い砂浜、茶色い岩の崖という景観から「世界一美しい射場」といわれる。
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画像:ともにJAXA
世界各地から続々発射! 世界のロケット射場大公開
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1. 内之浦宇宙空間観測所(日本)
2. 種子島宇宙センター(日本)
3. ケネディ宇宙センター(アメリカ)
4. ケープカナベラル空軍基地(アメリカ)
5. ヴァンデンバーグ空軍基地(アメリカ)(アメリカ西部宇宙・ミサイルセンター)
6. ギアナ宇宙センター(フランス領ギアナ)
7. アンドーヤロケット発射場(ノルウェー)
8. バイコヌール宇宙基地(カザフスタン)
9. ボストーチヌイ宇宙基地(ロシア)
10. 太源(たいげん)衛星発射センター(中国)
11. 酒泉(しゅせん)衛星発射センター
12. 西昌(せいしょう)衛星発射センター(中国)
13. 文昌(ぶんしょう)衛星発射センター(中国)
14. サティシュ・ダワン宇宙センター(インド)
15. 羅老(なろ)宇宙センター(韓国)
バイコヌール基地(8)
カザフスタン共和国にあり、旧ソビエト連邦時代から、ロシアの有人宇宙船のすべてがここから打ち上げられている。写真は打ち上げられるソユーズロケット。
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ケネディ宇宙センター(3)
アメリカ・フロリダ州にある発射場。人類初の月面着陸を行った「アポロ11号」を乗せたサターンVロケットはここから打ち上げられた。スペースシャトルの打ち上げもここから。フロリダ州の一大観光スポットとしても人気を博している。隣接するケープカナベラル空軍基地(おもに無人ロケットの打ち上げ担当)とともに、アメリカ東部宇宙・ミサイルセンターを成す。
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西昌衛星発射センター(12)
中国・四川省西昌市にある大型ロケット発射場。写真は西昌衛星発射センターから打ち上げられた、「嫦娥(じょうが)4号」を載せたロケット「長征(ちょうせい)3号B」。
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ギアナ宇宙センター(6)
フランス領ギアナ(南アメリカ北東部)にあるフランス国立宇宙センターのロケット発射基地。ヨーロッパのアリアンロケットがおもに打ち上げられる。日本の水星探査機「みお」もここから打ち上げられた。
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<協力:誠文堂新光社>
発行: 誠文堂新光社/著:寺薗 淳也
著者プロフィール:会津大学准教授。名古屋大学理学部卒。東京大学大学院理学系研究科(博士課程)中退。宇宙開発事業団、JAXA広報部等を経て現職。月探査機「かぐや」計画の立ち上げ、小惑星探査機「はやぶさ」の広報に従事。老舗ポータルサイト「月探査情報ステーション」主宰。著書に『夜ふかしするほど面白い「月の話」』(PHP文庫)、『惑星探査入門』(朝日選書)他多数。