今後の教育で求められる「アウトプット力」の鍛え方

 学習ノート共有アプリ「Clear」運営会社・アルクテラスの代表の新井豪一郎氏に、子どもたちが自主的に学び、今後の世界を生き生きと活躍するためにはどのような能力を身につけるべきかを聞くシリーズの最終回。

教育・受験 中学生
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  • 生徒のノートを回収することはありますか。また回収したノートを評価の一環として採点することはありますか?
 このコラムは学習ノート共有アプリ「Clear」運営会社・アルクテラス代表の新井豪一郎氏に、子どもたちが自主的に学び、今後の世界を生き生きと活躍するためにはどのような能力を身に付けるべきかを聞くシリーズ。

 最終回の今回は、重視されつつある「アウトプット力」を子どもたちが身に付けるうえで、どのような勉強法が適しているかについて語っていただいた。

大学入学共通テストに向け、求められる学力が大きく変わる



 いよいよ2021年に、センター試験の後継となる新テスト「大学入学共通テスト」が導入され、運用開始となる。

 この新テストではこれまで重視されていた「知識・技能」に代わり、「思考力・判断力・表現力」が重視されると言われている。このテストの導入に伴い中学・高校の入学試験においても、自分の考えをまとめて表現・記述する「アウトプット力」を問うような問題が増えると考えられている。

 ここでいう「アウトプット力」とは、「学んだことや知識に基づいた自分の考えを他者に論理的に伝える力と定義している」と新井氏は言う。

 「多くの学習塾では、『大学入学共通テスト』に向けて、『思考力・判断力・表現力』を高める指導に力を入れ始めています。学習塾で指導を受けるのも一案ですが、塾に通わなくても身近な学習方法で『思考力・判断力・表現力』といった『アウトプット力』を向上させることは、実は可能なのです」(新井氏)。

ノート学習が優れているワケ



 その学習方法とは、「ノートをまとめること」

 ノートと内申点の関連性について、2018年11月28日に文房具メーカーのコクヨが発表した調査結果がある。

 これは「東大合格生のノートはかならず美しい」の著者・太田あや氏とコクヨが共同で行ったもので、「生徒のノートを回収しているか」「回収したノートを評価につなげているか」について調査。これによると中学校の教師の78.2%がノートを回収し評価につなげており、高校の教師も含めた全体では72.8%の教師が、ノートを回収して評価につなげていることがわかっている。

生徒のノートを回収することはありますか。また回収したノートを評価の一環として採点することはありますか?

 また、この調査では中学校の教師8名に「回収したノートのどんなポイントを評価しているのか」の聞き取り調査も行っており、「ノートの見た目だけを重視してきれいに書く生徒の成績は決して高いわけではない。一方で、気付きを自分の言葉で書ける生徒の多くは良い成績を取っている(国語教師)」「ノートはきれいでなくてもよいが、気付きは書かないとダメ。言われなくても書く習慣が大切(理科教師)」「授業によって、理解が深まったり、視野が広がったりしたか、などを検証するために振り返りを書かせることに重点を置いている(英語教師)」といった回答を得ている。

 「学生時代に定期テストや受験勉強のためにノートをまとめたことで、理解が深まったり、バラバラに散らばって見える知識がつながったという経験はないでしょうか。ノートをまとめるという行為で、複数の情報や知識を整理することができます。すると物事を関連付けて理解できるようになります。さらに、ノートをしっかりまとめることで、内申点が向上するというおまけもついてくるのです」(新井氏)。

ノート共有アプリ「Clear」でアウトプット力を高める



 アウトプット力を高めるノート学習を実現するために、新井氏が勧めているのが、氏が代表を務めるアルクテラスが提供するノート共有アプリ「Clear」だ。

 Clearは、多くの中高生ユーザーが利用。各々のユーザーが自分以外の利用者の学習に役立つようにノートをまとめており、約30万冊の学習ノートが公開されている。そのため、ほかのユーザーがまとめたノートを活用して自らの学習の疑問を解決したり、優れたノートを見てノートの作成方法を学んだりすることができるという。

 新井氏によると、「Clearで活発にノートを公開している中高生ユーザーの多くが、第一志望校に合格しているという事実があります。これはノートをまとめることの学習効果をよく表していると言えるでしょう。また、学校推薦で志望校に合格するユーザーも多いです。ノートをまとめる力を高めることが、ノート提出による内申点向上につながるだけでなく、学力の向上そのものに寄与していることも明らかです」。

 「公開する」という目的があるからこそ、他者が見てわかりやすいようにノートへの工夫も凝らせるようになる。他者の反応が得られるため、まとめる作業を楽しめるという側面も生まれる。そして、ノート作成の過程で自分の思考をまとめる作業は、アウトプットのトレーニングにほかならない。

受験を超えたその先の人生にも役立つ「アウトプット力」



 自分の思考をまとめ、他者へわかりやすく伝える「アウトプット力」は、受験の先にある高校・大学入学後の学習や、社会人になってからも必要とされる大切な能力である。膨大な情報や知識に簡単にアクセスできる現代において、それらを蓄積したり処理したりすることは、スマートフォンやパソコン、インターネットがあれば簡単にできる。

 だからこそ、これからの人間に必要なのは、「こうしたIT技術を活用して新たな発想を生み出し、他者と協働すること。そのときに大切なのは、複数の情報や知識に基づいて得たアイディアを、他者にわかりやすく伝えること。まさに『アウトプット力』なのです」と新井氏は言う。

 そして新井氏は、「アウトプット力」を高めるためのヒントを与えてくれる書籍として、アルクテラスのアドバイザーを勤める2名の著書を紹介してくれた。



 1冊目は、「教えない授業」で知られる英語教諭・山本崇雄氏の「学校に頼らなければ学力は伸びる」。


 この本は、志望校合格のためだけでなく、大学受験の先まで考えて学習することについて書かれており、親子で読んで欲しい本であるとしている。

 2冊目は前述の太田あや氏の「東大合格生のノートはかならず美しい」だ。


 こちらは、志望校合格に向けたノートのまとめ方と活用の仕方を具体的に解説。子ども自身が学習方法を考えるのにお勧めの本だという。

 最後に新井氏は、「アルクテラスは、子どもたちが社会に出てからも生き生きと活躍できるような教育を目指しています。これまで4回の連載のなかで、ご参考になる部分が少しでもあれば幸いです」と結んだ。

 これからもどんどん変わっていくであろう世の中を生き抜くために。次代を背負う子どもたちには変化に臨機応変に対応するのに必要とされる力を身に付け、活躍のステージを広げていってもらいたい。
《編集部》

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