どうなる?東京都立【高校受験2020】自分の状況を把握して対策を

 都立の難関高校での合格実績が際立つSAPIX中学部を訪問し、2020年度入試、2021年度以降の東京都の公立高校入試について、特徴やこれからの学習方法などについて聞いた。

教育・受験 中学生
サピックス中学部 教務部・教育情報センター部長 高橋淳氏
  • サピックス中学部 教務部・教育情報センター部長 高橋淳氏
  • サピックス中学部 教務部・教育情報センター部長 高橋淳氏
  • サピックス中学部 教務部・教育情報センター部長 高橋淳氏
 都立の難関高校での合格実績が際立つSAPIX(サピックス)中学部を訪問し、2020年度入試、2021年度以降の都立高校入試について、サピックス中学部 教務部・教育情報センター部長 高橋淳氏に入試の特徴や傾向、これから行うべき学習方法などについて聞いた。

都立高校の人気は二極化



--まずは2019年度都立高校入試の振り返りと、2020年度入試の傾向についてお聞かせください。

 2019年度入試の都立高校志願者数は、2018年度入試に引き続き1,200名減少しました。その原因は、「私立高校の授業料無償化」や、迷走が続く「大学入試改革への不安感」にあり、私立志向に拍車がかかる状況が継続しています。

 ただ、都立高校の中でもトップ校である進学指導重点校(日比谷・西・戸山・青山・国立・八王子東・立川)や、それに続く進学指導特別推進校(小山台・駒場・新宿・町田・国分寺・国際・小松川)は志願者減少にはなっていません。進学指導重点校7校の志願者数の合計は、2018年度入試で120名増えています。2019年度は少し減ったのですが、それでも7校合わせて50名の減少なので、都立高校のトップ校はほとんど私立高校人気の影響を受けていない状況です。

 都立高校の人気は、進学指導重点校・進学指導特別推進校と、それ以外の高校で二極化する状況が2020年度入試でも続くと推測されます。また、私立高校の受験を今まで考えなかった生徒が、私立高校への進学もきちんと見据えたうえで、入学したい都立高校を選んで受験している傾向にあると思います。

 大学入試改革が不透明な状況だからこそ、生徒や保護者は大学入試の実績が良い、受験指導に信頼がもてる学校を選ぶ傾向にあります。都立高校のトップ校は2019年度大学入試の実績もかなり良いです。

 日比谷の東大合格者数は2018年度が48名となりました。青山の東大合格者数も2019年度は10名、それに加えて難関といわれる国公立大学の実績も増加しています。戸山は、医学部に対応した「チームメディカル」に取り組んでいて、医学部医学科の合格者が2018年度の13名から2019年度は31名と大幅に増えています。

 受験生や保護者はこの数字に敏感に反応するので、大学入試の実績が良い学校は2020年度入試でも人気が出ると思います。

サピックス中学部 教務部・教育情報センター部長 高橋淳氏

自分の状況を見極め対策する必要性



--今の時期から受験当日まで、都立高校を目指す生徒はどのような勉強法を実践したら良いでしょうか。また、サピックスでの取組みについても教えてください。

 受験生は試験まで残り100日という時期になりました。一番大事なのは、自分の状況をしっかりと見極めること。志望校に合格するために、自分はどの科目・どの分野が弱いのか、それをどのように強化しなくてはいけないのか、そのためにどのような対策が必要なのか。時間がない中で、それをきちんと把握して対応していかなければいけないと思います。

 それを知る指針のひとつが、模試の結果です。サピックスでも、模試の結果を踏まえてひとりひとり対策を立て、アドバイスをしています。

 模試の成績が悪かったときは、どこが悪かったのか、そのためにどのような対策が必要なのかを見極める機会になります。これからの時期は同じ失敗を繰り返さないために、どのように立て直していくか、地道にひとつひとつ対策していくことが大切です。

 あと、今の時期だからこそ伝えておきたいのは、時間の使い方の重要性です。学校は文化祭や合唱祭、定期テストなどでとても忙しい時期です。3学期制の学校であれば2学期の期末の成績まで内申点に影響するため、その対策も必要です。学校生活、学校の定期テスト対策、受験勉強を両立していかなくてはいけない時期ですので、時間の使い方を真剣に考えうまく使うことが大切なのです。

 サピックスではこの時期、これまでに蓄積された受験データを駆使し、過去の受験生と今の受験生を比較しながらひとりひとりに合わせた対策を実施します。「比較模試」では、過去の受験生と同じ試験を今年の受験生が受けて、その試験の結果をもとにアドバイスします。

 またサピックスでは、昨年の受験に自分の書いた答案を再現してもらう「再現答案」の分析に基づいた特別授業も毎年行っています。このような取組みは合格実績があるサピックスならではの強みだと思っています。

注目は新宿高校と小松川高校



--進学指導重点校以外の学校で近年注目している学校はありますか。

 都立高校の進学指導特別推進校の中で、新宿と小松川の2校に注目しています。この2校は、人気が上がって難しくなってきています。

 新宿は、団体戦で大学受験を乗り切ろうと「チーム新宿」という取組みを少し前から始めており、成果が出始めています。2019年度入試では東大4名、一橋大4名、東工大3名、国公立大合格者の合計は120名と難関国公立大学の合格実績が上がっています。大学入試の合格実績には生徒も保護者も敏感に反応しているので、年々人気が上がっていて合格することが難しい学校のひとつになってきています。

 小松川は2018年度に進学特別推進校に指定されました。2018年度の大学入試では73名が国公立大学に現役合格し、話題になっています。進学指導重点校の八王子東とタイプが似ていて、生徒への指導が手厚い信頼できる学校です。まだ数字は進学指導重点校にはおよびませんが、東京都東部の実力ある学校として注目しています。

自分の考えをまとめ表現する力が求められる



--2年後に本実施となるスピーキングテストについて、お聞きしたいと思います。

 東京都で導入するスピーキングテストについては、混沌としている大学入学共通テストとは切り離して考えたほうが良いと思っています。

 英語の教育改革として、方向性としては4技能重視になっており、それを受けて小中学校の学習指導要領が変更されます。小中学校の授業でスピーキングを含めた4技能をしっかりと学習し、高校受験でスピーキングテストを実施するのは、学んだ力を発揮できる機会になるので良いことだと考えています。

 スピーキングテスト実施にあたり、タブレットなどを用いて個別に行うことになると発表されていますが、こうした端末を配備できるだけの予算を組める東京都ならではの取組みであり、他県に普及するためのモデルとなりうる事例として重要なことと捉えています。

 スピーキングテストの対策は、あわてて英会話教室に行くことでも、きれいな発音をすることでもないとサピックスでは考えています。最終的な目標は、英語でしっかりと議論できるような力、社会に出ても通用するような力を養うことと捉えています。ですので、会話を習うというよりは、4技能の実力をバランスよく鍛えていくことが一番大事だと思います。

 ちなみに、2019年11月7日から都内の中学3年生8,000人を対象にスピーキングのプレテストが行われています。現在の中学2年生からは公立中学の生徒全員8万人がテストを受ける予定です。大学入試改革が見直される学年である現在の中学1年生は、都立高校入試でもスピーキングテストを体験できるので、それを大学入試に生かせる可能性があります。

都立高校には3年間で生徒を鍛えあげるノウハウが蓄積されている



--大学入試改革が不透明な状況下で、あえて高校受験で都立高校を選ぶメリットについてどのようにお考えでしょうか。

 都立高校では、全員が高校から一斉スタートになります。そのため、高校側にも生徒たちを3年間で鍛えるノウハウが蓄積されており、都立高校を第一志望にする方は、そこに対する信頼感が大きいです。私立の中高一貫校に途中から参加する場合の不安感が都立高校にはないので、志望する方が多いのだと思われます。

 世間では「公立の学校でICT化・グローバル化に対応できるのか」と話題になることもありますが、どの都立高校も私立高校に負けないくらいしっかりした対応をしています。英語の外部検定試験の導入や、映像を使ったスピーキングの強化などの取組みは、都立トップ校では今はどこでもやっているので、そこも信頼を得ているポイントだと思います。

 あとは、進学指導重点校で現役生の合格率が上がってきている点。2019年度入試の現役進学決定率は、戸山が73.2%、青山も70%を超えています。日比谷は321名中214名が大学に現役合格 しており、現役進学決定率は67%です。

 昔は「都立は確かに伸びてきているが、ほとんどが浪人なので予備校の力だ」と言う人もいましたが、今はそうでもなくなってきています。この現役合格率の伸びには目を見張るものがあり、3年間でここまで鍛えあげてくれるというのは、都立高校の大きなメリットではないでしょうか。

私立高校無償化の影響



--都立の進学指導重点校を第一志望とした場合の併願パターンを教えてください。

 進学指導重点校との併願で一番多いのが、男子であれば開成、筑駒などの国立大の附属。女子であれば、慶應女子、国立大の附属、豊島岡女子ですね。日比谷は進学指導重点校の中でも抜き出た存在になっていて、開成や筑駒などのトップ校を併願したうえで、それでも日比谷に進学する生徒も珍しくありません。

 ほかにも、いろいろな併願パターンがあり、1つは早慶に代表される私立大学の附属高校です。大学附属の私立高校を第一志望としたうえで、それが叶わなかった場合でも、また大学受験でチャレンジできる学校として都立高校のトップ校を選ぶという併願の仕方もあります。

 このほか、男子の場合でしたら、東京都内であれば城北、巣鴨、桐朋、広尾学園。千葉県ならば渋谷教育学園幕張、市川。埼玉県なら栄東などの私立高校が併願パターンとして考えられると思います。

--豊島岡女子が2022年度から高校募集を廃止すると発表しました。豊島岡女子が高校募集を廃止したあと、次にくる女子の併願校としてどのような学校が考えられますか。

 豊島岡女子で高校募集を廃止するのは非常に残念です。進学指導重点校との併願先として考えられる私立の女子校で、豊島岡女子に匹敵する高校が現状ではないと言えるからです。

 ですので、2022年度以降の併願校として考えられるのは、富士見丘(東京都渋谷区)。あとは共学の広尾学園、栄東があげられます。今後、豊島岡女子に代わるような学校が出てくるかもしれないので、動向に注目したいと思います。

受験本番で自分の努力の積み重ねを信頼できる気持ちが大事



--受験本番までいよいよカウントダウンという時期かと思います。受験生と保護者に向けてメッセージをお願いします。

 受験は、高校に入学するための資格試験だけではなく、自分を高め、成長させるための機会だと思います。本番までの限られた日数の中で、自分にはどれだけのことができるのか、チャレンジするような気持ちで勉強に向かってほしいと思います。それまでの「努力してきた」という実感は、自分自身を信頼する気持ちへとつながり、きっと試験本番でも支えになるはずです。

 保護者は、勉強に関しては本人に任せるしかないと思います。そこが、親子で並走して向かう中学入試と大きく違うところでもあるのです。ですので保護者には健康管理や書類の準備などのサポートをお願いしたい。中学3年生は最後にはだいぶタフになってくるので、本人を信頼して任せる気持ちでいていただければ良いのではないでしょうか。

サピックス中学部 教務部・教育情報センター部長 高橋淳氏

中学2年生以下の児童・生徒は、学校の授業をおろそかにしない



--これから入試が変容していく中で、2021年度以降に高校受験を控えている中学2年生以下の児童・生徒や保護者はどのように受験に向き合うべきでしょうか。

 入試のシステムや内容が変わるとしても、自分の実力・学力を確かめられるという意味では、根本的な変更はないと思っています。ですので、細かい変更に右往左往しないで、しっかりと実力をつけることが大切です。

 大学入試改革では、思考力・判断力・表現力を問う試験に変わると言われていますが、都立高校のトップ校の先生たちは「うちの学校はずっとそれをやってきているので心配ない」とおっしゃっています。

 根本的な学力の底上げ部分の対策は、本来それほど変わるものではありません。サピックスでもそれを重視して取り組んでいるので、大学入試改革でいろいろな変更が言われていますが、冷静に受け止めています。あまり心配せずに、力を磨いてほしいと思っています。

 中学2年生以下の生徒だからこそ伝えたいのは、学校の勉強をおろそかにしないことです。今は、学校の教科書や資料集も非常に良いものになっており、よく考えて作られています。良いものがあるのに、学校の勉強を軽視してやらないというのはもったいないです。学校の勉強をしっかりやるということを、特に学年が下の生徒ほど意識してほしいと思います。

 都立志望者であれば中学3年生の内申点が評価対象になります。中学3年生になってから頑張るということではなく、中学3年生の内申点を確実にするため、下の学年で安定した成績をとることが大切です。

 ですから、たとえ学校の授業内容が塾に比べて簡単だったとしても、それは基本の確認になると捉えて、学校の授業には謙虚に取り組んでほしいと思います。学年が下の段階から内申点を取る努力をしていたほうが、入試にも役立つということを強く言いたいです。

 あとは当たり前ですが、志望校が早めに決まっている生徒は明らかに強いです。志望校が決まっていると受験に向き合う原動力になるので、なるべく早い段階で自分の行きたい学校を決めることが大切です。

 これまでの経験上、目標は高いほうが良いです。毎年多くの受験生を見ていますが、塾に入ってきた当初の志望校よりも、はるかに偏差値の高い学校に合格し、進学していく生徒が数多くいます。ですので、自分で最初から限界を作らず、行きたい学校を見つけることが非常に大切といえます。

--ありがとうございました。

 2020年の受験生とそれを支える保護者の方にとっては、本番までのカウントダウンがいよいよ始まった。 本人の努力を信じ、試験当日にはそれまで培ってきた実力を発揮できるよう体調には十分気をつけ、納得の行く結果を手にしてほしい。

 また、これから受験勉強に向かう子どもたちにとっても、受験は他人事ではなく、いずれ進まねばならぬ道と捉え、今からやるべきこと・できることをしっかりと積み上げていってもらいたい。

思考力を育む英語オンラインレッスンがスタート



 サピックス中学部では2020年4月より、中3本科生に英語オンライン・レッスンを導入する。

 特徴は、スピーキングの前にかならずライティングレッスンが設けられていること。サピックスのカリキュラムと連動したテーマに沿って英作文を行い、外国人講師が添削。作成した英文には自動で音声がつくので、それを聞きながら復習用ツールで定着を図る。最後に作った英文をもとに外国人講師と実際に対話するという流れになる。

 このレッスンには、書いて話すオンライン英会話の「Best Teacher」のシステムを使用。書いて添削を受けるというプロセスを経るため、単語や英語表現、正しい英文法を学べる。また、話す内容を自分で考えて英文に起こすので、思考力や表現力も鍛えられ、難関校の入試で課される英作文にも対応可能な「アウトプット力」を身に付けることができる。

 詳しくはSAPIX中学部ホームページを確認のこと。

SAPIX中学部 テスト日程



・2019年11月30日(土) 入室テスト(小5~中2)
・2019年12月14日(土) 入室テスト(小5~中2)
・2020年1月13日(月) 都立日比谷・西高入試プレ(中3)/都立進学指導重点校入試プレ(中2)
・2020年1月26日(日) 入室テスト(小5~中2)
《編集部》

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