広島大学、eラーニング活用授業で英語スコア向上

 eラーニング教材を提供するアルクは、広島大学におけるeラーニング活用授業の効果検証結果を2019年11月28日に公表した。学習時間、アクセス頻度など利用度合いが高いほどTOEICのスコア向上につながったことがわかった。

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平日の利用機器と時間
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 eラーニング教材を提供するアルクは、広島大学におけるeラーニング活用授業の効果検証結果を2019年11月28日に公表した。学習時間、アクセス頻度など利用度合いが高いほどTOEICのスコア向上につながったことがわかった。

 広島大学の教養教育英語科目の「コミュニケーション演習I」では、eラーニングの「ALC NetAcademy NEXT」を、授業の事前課題と授業中の小テスト実施という形態で利用。教室での対面授業と学外でのeラーニングによる自主学習とを組み合わせ、英語の運用能力向上を目指す試みを実施した。2018年に履修した学生110人を対象に、eラーニングの学習履歴、TOEIC L&R IPテスト2回分(4月、10月)を整理・分析した。

 履修した学生へのアンケートでは、授業外で行う「ALC NetAcademy NEXT」を利用する端末は、7割以上がパソコンだった。おもにスマートフォン・タブレットと回答した学生は10%と低い利用で、スマートフォン・タブレットの利用は平日の移動時間帯に限られていた。パソコンの利用が多いのは、大学が「パソコン必携化」していることが影響しているようだ。

 学習の時間帯は、平日、休日ともに夜か深夜に集中している。休日は、平日よりも午前や昼での使用があり、授業が月曜日のため日曜日に時間を見つけて学習していると推察される。また、学外の学習場所はほとんど自宅で行っていることもわかった。設定されたコースのStage1、2、3という学習単位別にみると、Stage1のみの利用が圧倒的に多く、授業の内容と直結しているからだと思われる。

 eラーニングを使用することで学習行動の変化をみると、半数近くの学生が「学習方法のバリエーションが増えた」「学習時間や頻度が増えた」と回答。一方で、「学習場所のバリエーションが増えた」と肯定した学生は25%と少なく、多くの受講生が自宅利用であり、それ以外では使用が少なかったようだ。

 TOEICテスト2回のスコア変化と学習履歴を見ると、学習時間、アクセス頻度など利用度合いが高いほどスコア向上につながっていた。4月の平均TOEIC得点は486点、10月の平均点は580点だった。

 この結果から、広島大学外国語教育研究センターの森田光宏准教授は、オンラインでより多くの問題に触れ、学習することが、ある程度のスコア向上に役立っている。今後は、eラーニングでの学習に触れた学生が、自主的にeラーニングでの学習を継続するかは興味深い。継続的な学習への契機として、どのような学習機会を与えるかについても検討すべきだとまとめている。
《田中志実》

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