リセマムでは、京葉学院の協力を得て、学力検査の「社会」の講評を速報する。このほかの教科(全5教科)についても同様に掲載する。
<社会>講評(京葉学院 提供)
例年通り、大問の数は8題。地理、歴史、公民のあらゆる単元からまんべんなく出題されています。全体の難度は昨年並みか、わずかに上昇した程度と見られます。教科書に書かれている基本的なことがらをきちんと覚えてきたかが問われました。
差がつきやすいのが、記述の問題や資料読み取りの問題、歴史の時代順並べ替えの問題です。記述の問題(2 (3)、4 (2)、7 (3))は12点、資料読み取りの問題(1 (4)、3 (5)、6 (2))は9点、時代順並べ替えの問題(1 (3)、5 (1))は6点の配点でした。これらの問題への対策が有効にできていたかどうかが、合否を分ける大きな鍵となるでしょう。
1.総合問題
2020年に開かれる東京オリンピック・パラリンピックをテーマとした、3分野の融合問題です。
(1)では、オリンピック発祥の地であることから、ギリシャの農業について問われました。
(2)では、パラリンピックが障がい者のための大会であることから、バリアフリー化について問われました。
2.日本地理
例年と同じく日本全図が使われ、また、都道府県庁所在地名の問題や地形図の問題も出題されました。
(2)は、京葉工業地域・中京工業地帯・阪神工業地帯の3つの工業地帯・地域を、一部がマスクされた製造品出荷割合と出荷額で見分けなければならないという、やや難しい問題でした。
3.世界地理
例年と同じく、世界全図にもとづいて出題されました。
(1)では時差の計算が出題されました。この問題のように、緯線・経線は使われることが多い題材です。
(3)は、インドで最も多くの信者がいる宗教と、その儀式について問われました。世界のさまざまな宗教では、名称や分布だけでなく、特徴的な教義や習慣も知っておくことが大切です。
4.前近代史
藤原氏、源氏、足利氏、徳川氏という、日本の歴史で重要な地位を占めた4つの氏族をテーマとして出題されました。
(2)は、承久の乱について記述する問題です。指定語句の「隠岐」をどう使えばよいか分からなかった人が多いのではないでしょうか。隠岐島(島根県)は、乱で敗れた後鳥羽上皇が流された場所です。
5.近・現代史
(1)が年代整序の問題であったほか、(2)、(5)も、ある特定の時期におこったできごとについて正しく述べている選択肢を選ぶという問題でした。同様の問題が、4の前近代史でも出ています。このように、歴史の流れを正しく理解しているかを問う問題が増えています。
6.国民生活と経済・社会
企業の活動をテーマとして出題されました。
(3)では、労働者の権利について問われました。労働者の権利はよく使われる題材で、覚えておくべきことも多くあります。憲法で定められた権利や、労働者の権利を定めた法令などは整理しておくと良いでしょう。
7.日本の政治制度
(2)では憲法で定められた天皇の地位、(3)では国会による内閣総理大臣の指名について問われました。
昨年(2019年)5月に新しい天皇陛下が即位され、11月には安倍首相の在職日数が憲政史上1位となりました。こうした時事的なできごとをふまえ、天皇や内閣総理大臣について勉強しておいた人が有利になる出題でした。
8.国際社会
国連をテーマとして出題されました。
(1)は、国連児童基金の略称である「ユニセフ(UNICEF)」を答える問題でした。国連教育科学文化機関の略称である「ユネスコ(UNESCO)」の方を書いてしまった人はいませんか? この2つは名前が似ており間違えやすいですから気をつけましょう。
(2)で問われた、国連安全保障理事会の5つの常任理事国の顔ぶれも、出題されることの多い題材です。間違えないように覚えておきましょう。
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このレポートは2020年2月12日(水)に速報として京葉学院により作成されたもの。
協力:京葉学院