新聞をとことん遊び尽くす、知育ボードゲーム「しんぶんの"ワッ!"すごろく」

 自宅で過ごす時間が多くなりそうな今夏。家族皆が笑顔で遊べる知育ボードゲーム「しんぶんの"ワッ!"すごろく」の開発者である鳥取大学准教授・大谷直史氏にその特徴と開発の背景を聞いた。

趣味・娯楽 小学生
日本新聞協会と大谷直史先生が開発した「しんぶんの
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  • 今年の夏は家族で「しんぶんの
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 自宅で過ごす時間が多くなりそうな今夏。「おうち遊びもやり尽くした。これ以上何をすればいいの?」とお悩みのお母さま、お父さま、あるいはお子さまもいるのではないだろうか。家庭だけでなく学童施設や児童館などからも、屋内の遊びネタに困っているという声が聞こえ始めている。

 そんなときにお勧めしたいのが、新聞を使った知育ボードゲーム「しんぶんの"ワッ!"すごろく」。「新聞は子どもの学力向上につながる」という調査結果から、教材として注目されている新聞だが、今回はそれを使った遊び、ボードゲームだ。開発したのは日本新聞協会。自宅に山積みになっている古新聞で手軽に遊べるこのゲームについて、共同開発者である鳥取大学准教授の大谷直史氏に、開発の背景を聞いた。

遊びを通して「情報の紙の束」としての新聞にかかわる



 「新聞」という言葉からどんなことがイメージできるだろうか。活字がたくさん、薄い紙が折り重なっている、毎朝ポストに届く、梱包材にもなる・・・。他の情報メディアにはない特徴がたくさんあることに改めて気付かされる。

 大谷氏は、ゲーム開発にあたり「ニュースを知るためだけのメディアとしてではなく、いったん『情報があふれている紙の束』というモノとして新聞にかかわってもらうことにこだわった」という。あらかじめ決められた使い方に従うのではなく「そのもの自体にまずは触れる、そんな体験をしてほしい」と考えたのだ。

 このゲームには、新聞の見出しや記事から言葉や写真を探したり、新聞紙でタワーを作ったりする21種類の「しんぶんち(新聞知)ゲーム」が組み込まれている。そのひとつひとつには、子どもたちに柔軟性を身に付けてもらいたいという大谷氏の願いが込められている。

「しんぶんの「しんぶんの"ワッ!"すごろく」共同開発者の鳥取大学准教授・大谷直史氏

 「今後ますます正解のわからない社会になっていきます。そうした中で生きる道を見つけるため、自分とは違うもの、未知なるものを面白いと感じることができる力が、これからの社会を担う子どもたちに必要だと考えています。現代の子どもたちにこうした力が欠けているというよりは、それを発揮する環境が準備されていないのです。そうした環境整備への寄与のひとつとして、このゲームを開発しました」(大谷氏)

 ちなみに、「しんぶんの"ワッ!"すごろく」というゲーム名の由来は、新聞を囲んで輪になる・和になる、笑い声、発見や気付き・ひらめきといった、いろいろな「ワッ」が盛りだくさんのゲームということからきている。

誰にでも勝つチャンスがあるボードゲームの妙



 ボードゲームの中に組み込まれた「しんぶんちゲーム」には、スピードゲーム、アクションゲーム、コミュニケーションゲームの3つのジャンルがある。たとえば、新聞の中からいちばん大きいと感じる言葉を探す「ビッグ」ゲームは、スピードを競うもの。「巨大な〇〇」「膨大な量の〇〇」といった大きさに関する言葉を見つけて、それからイメージされる大きさを競う。新聞から情報や知識を得るだけではなく、ゲームを通して「思考力」や「表現力」「判断力」といったさまざまな「知」を自然と身に付けられるような工夫がされている。

 知識のある人が必ず勝つ、というわけではないのがボードゲームの面白さだ。「すぐれたボードゲームは、能力や知識量で勝ち負けの差が出ないようになっているものです。運や互いの出方を読み合う心理戦など、さまざまな要素が含まれています。そういう意味でも、このゲームは年齢や知識にかかわらず遊べるゲームになるように工夫しました」(大谷氏)

 おいしいものが写っている写真を探し、そのプレゼン力を競う「ナイス」。新聞をできる限り長く破る「ロング」など、ゲームの中でさまざまな“勝ち筋”を用意しているから、誰にでも勝てるチャンスがある。

「しんぶんの「しんぶんちゲーム」はスピード、アクション、コミュニケーションの3ジャンルが用意されている

 「お母さんお父さんも、お子さんに何か教えるという立場よりも、一緒に楽んでください。それが教えることにつながります」と大谷氏。参加者の中にひとりでも楽しくなさそう人がいたら、全員がつまらなくなってしまうもの。老若男女、自分の持ち味をいかして、自ら楽しんでほしい。

伝説の記者を目指す「しんぶんの"ワッ!"すごろく」の遊び方



 「しんぶんの"ワッ!"すごろく」の遊び方を簡単に紹介しよう。対象年齢は4歳以上、人数は3~4人(2人でも可)。プレイ時間は20~30分ほどだ。

 あらかじめ、特設ページから「すごろくゲームセット」を一式ダウンロードし、印刷しておこう。すべてのアイテムは無料でダウンロードできる。

日本新聞協会と大谷直史先生が開発した「しんぶんの「しんぶんの"ワッ!"すごろく」のゲームボード

<セットに含まれるもの>
・ゲームボード
・しんぶんちゲームカード
・記者コマ
・記事カード
・サイコロ
・どうぶつしんぶん台紙
・簡単ガイド&詳細ガイド

 ハサミで切り取った「記事カード」は大きさごとにまとめておき、「しんぶんちゲームカード」はジャンルで分けて裏返しておく。そして参加者には「どうぶつしんぶん台紙」と「記者コマ」、そして新聞紙を配り、準備完了だ。

 舞台は「どうぶつタウン」。参加者はどうぶつタウンを取材する新聞記者という設定だ。順番にサイコロを振ってコマを進めながら記事を集め、自分だけの「どうぶつしんぶん」を作る。誰よりも早くゴールの新聞社を目指す、という流れだ。

 記事カードを集めることができる「記事GET!」マスのほか、「スクープチャンス!」マスでは先述した「しんぶんちゲーム」にチャレンジする。マスに止まった本人が審判になり、残りの参加者がミッションに挑戦し、勝った人が記事カードをもらえる仕組みだ。そのほか「他の人に記事を渡す」といったマスもあり、ゲームの展開が最後まで予想できない。

大人ほどハマる!?言葉と戯れる楽しさ



 この「しんぶんの"ワッ!"すごろく」、意外に大人がハマってしまうのだ。特にしんぶんちゲームでは、美しい言葉や知らない言葉に出会うことが楽しい。「言葉自体に戯れる楽しさを感じられるのは、おそらく大人です」と大谷氏は言う。「大人がつまらないと感じるような簡単なゲームだと、一緒に遊んでいる子どもも面白くないですから」。

今年の夏は家族で「しんぶんの今年の夏は家族で「しんぶんの"ワッ!"すごろく」を楽しんでみては?

 「自分のことや気持ちを話すことが苦手な子もいますよね。対人関係が苦手な子も、ボードゲームを介してならコミュニケーションがとりやすいんです。直接自分のことを話さなくても、ゲームで設定されたキャラクターとしてなら安心して発言できます。特にしんぶんちゲームは、新聞に書いてある文字をそのまま言えばいいだけですから、自分をさらけ出す必要がなく安心して楽しめるんです」(大谷氏)

 「しんぶんの"ワッ!"すごろく」は、幼児や小学生のいる家庭だけでなく、学童保育、小学校の生活科や総合的な学習の時間などでの活用も想定して開発されている。開発時のテストプレイでは、特に学童保育の小学1~3年生がノリノリで遊んでいたそうだ。

紙の新聞が持つ「ノイズ」の教育的意味



 新聞をはじめとするアナログなメディアでは関連する情報が目に入ってくる「偶然の出会い」がある、と一般に言われる。大谷氏はこれに加え、自身が「ノイズ」と呼ぶものに教育的な効果があると考えている。

 「紙の肌触りとか、くしゃくしゃという音とか、そういったことは『新聞から情報を得る』という観点ではどうでもいいことです。届いた新聞紙の隅が少し濡れていることも、無意味なようで、その日の早朝の天気が知れたり、雨の中配達してくれる新聞屋さんに感謝の気持ちが芽生えたりすることがあります」(大谷氏)

捨てるはずの新聞も知の宝庫!遊び・学びのツールに変身



 日本新聞協会によると、2019年の新聞発行部数は3781万部。ピークだった1997年の5377万と比べると3割減っていることになる。

「しんぶんの「しんぶんの"ワッ!"すごろく」で育まれる能力

 一方で、2020年度から実施されている新学習指導要領では、新聞の活用が多くの教科で初めて明記されており、思考力・判断力・表現力等の育成における新聞の効果が注目されている。新聞の記事には多角的な視点があり、その背景や分析も盛り込まれているからだ。

 本なら読み終わっても大事にとっておく。新聞も情報量が非常に多く、すぐに捨てるには気が引ける。そんな理由から、日本人は昔から生活のいろいろなシーンで新聞を再利用してきた。

 まさにいろんな「ワッ」が盛りだくさんの新聞。新聞を使って、この夏の家族の思い出を作ってみてはいかがだろうか。

「しんぶんの"ワッ!"すごろく」であそぶ
《柏木由美子》

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