【高校受験2022】北海道公立高入試<社会>講評…昨年より難化

 令和4年3月3日(木)、令和4年度(2022年度)北海道公立高等学校入学者選抜の学力検査が実施された。 リセマムは、練成会の協力を得て、学力検査「社会」の講評を速報する。この他の教科(全5教科)についても同様に掲載する。

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【高校受験2022】北海道公立高入試<社会>講評
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 令和4年3月3日(木)、令和4年度(2022年度)北海道公立高等学校入学者選抜の学力検査が実施された。北海道教育委員会が3月1日に発表した、再出願後の確定出願状況によると、学校別の倍率は、室蘭栄(理数)1.9倍、釧路湖陵(理数)1.9倍、札幌東(普通)1.5倍、札幌西(普通)1.6倍等。

 リセマムは、練成会の協力を得て、学力検査「社会」の講評を速報する。このほかの教科(全5教科)についても同様に掲載する。

<社会>講評
(練成会 提供)



 100点満点になり、配点や出題傾向などに変更があったものの、出題形式は昨年同様の大問4題(小問集合・地理・歴史・公民各1題)であった。小問数は昨年より6問少ない33問。3分野の配点は地理33点、歴史33点、公民34点とバランスよく出題されている。完全解答の問題が例年とほぼ同じ17問出題された。漢字指定の問題は3問。記述問題は昨年より5問多い8問出題され、これまでの3点配点と4点配点に加え5点配点の問題も出題された。

 大問1の小問集合問題は、各分野から5問ずつ出題。問5、1956年の日ソ共同宣言において、ソ連との間に平和条約が締結された後にソ連が返還することに同意した島(群島)を略地図から選ぶ問題は、日ソ共同宣言が結ばれた年代だけでなく、内容まで覚えていないと正解できない問題であった。

 大問2は、中世から現代までの社会の政治、社会、文化、外交を中心とする問題。問2、問3、問6の3問が記述問題であった。特に、問6の1920年代と1930年代に小作争議の発生件数が急激に増えた理由を、当時の小作農が置かれていた状況がわかる3つの資料と略年表を参考にして答える問題は、各時代の社会のようすや人々の生活まで理解していなければ正解を導くのが難しい問題だった。

 大問3は、略地図や資料などを題材にした、世界の諸地域や日本と関わりが深い国、主要都府県に関する問題。□A問2設問文から読み取れるタイの工業について、地域ごとの工業生産額が最も低い地域を略地図から選ぶ問題は、既習の知識と関連付けた思考・判断力が試される問題であった。「タイで生産された電機製品や自動車の多くは外国へ輸出される→輸出に便利な海沿いで工業が発展する→沿岸部の工業生産額が高くなる」という考え方に基づくと、内陸部は逆に工業生産額が低くなる、と判断できる。□B問2(1)は、5つの資料やグラフを読み取り、それぞれの空欄に当てはまる内容を答える新傾向の問題であった。

 大問4は、規制緩和や自由貿易、環境問題、直接請求権に関する問題。問1(2)は、「規制緩和」「効率」「公正」の3つの用語の意味を正確に理解していなければ、解くのが難しい問題であった。また、問3の記述問題は、先進国と発展途上国、いずれかの立場を選び、グラフと京都議定書の内容をふまえて主張を書く、ディベートの要素を盛り込んだ新傾向の問題だった。

 大問1の小問集合問題は各分野から幅広く出題され、教科書レベルの知識を整理して覚えておく必要がある。大問2から4は、記述問題が増えたことと合わせて、複数の資料やグラフから読み取れることと既習の知識を組み合わせて答える記述問題が出題された。問われていることを的確にとらえ、資料を読み取り、正確に表現する力が必要とされる。普段から覚えることと合わせて、背景や知識のつながりなども意識した勉強が必要となる。最後に、北方領土についての問題は必出なので、地理的な視点だけでなく、歴史的な視点での知識も重要となる。

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 このレポートは令和4年3月3日(木)に速報として練成会により作成されたもの。

協力:練成会
《編集部》

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