第64回国際数学オリンピック閉会、日本は6位

 第64回国際数学オリンピックの閉会式が2023年7月12日、幕張メッセで開催された。世界約112の国と地域から選手の集まった今回の大会では、日本は6位に入賞。金メダルを2個、銀メダルを3個、銅メダルを1個獲得し、全員にメダルがかけられた。

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第64回国際数学オリンピック閉会式
  • 第64回国際数学オリンピック閉会式
  • 数学オリンピックの日本選手団
  • 団長の村上聡梧氏

 第64回国際数学オリンピックの閉会式が2023年7月12日、幕張メッセで開催された。世界約112の国と地域から選手の集まった今回の大会で、日本は6位。金メダルを2個、銀メダルを3個、銅メダルを1個獲得し、選手全員にメダルがかけられた。

 挨拶には千葉市長の神谷俊一氏、IMO2023 実行委員会委員長で数学オリンピック財団理事長の藤田岳彦氏が登壇。各国の選手たちの健闘をたたえた。

 表彰式にはIMO Board,PresidentのGregor Dolinar氏が総評を述べ、優秀選手にメダルを授与。日本は金メダルを古屋楽さん(筑波大附属駒場高3年)、北村隆之介さん(都立武蔵高3年)の2名が、銀メダルを林康生さん(海城高3年)、狩野慧志さん(長野県松本深志高1年)、若杉直音さん(帝塚山学院泉ヶ丘高1年)の3名が、銅メダルを小出慶介さん(灘高3年)が獲得した。

 閉会式に先立ち、今回日本選手団の団長を務めた村上聡梧氏に話を聞くことができた。村上氏は2016年に選手として数学オリンピックに出場した経験があり、2019年にはオブザーバーAという団長補佐にあたる役割を担っている。現在、東京大学大学院数理科学研究科の博士課程に所属しているという村上氏は、「自国開催ということで、例年は団長を務めるような人材が大会運営の本部に携わることになったため、異例ともいえる年齢の私の元にお鉢が回ってきた」と話してくれた。

 今回の結果を受けて村上氏は、「とにかく“満足”のひと言。選手は全員頑張ってくれた。それぞれの問題で減点をもらわず、満点を取れたり、全部を完全に解けなくても部分点を取りにいったりと、各々が本当に頑張っているのがわかった」と大会を振り返り語った。

 「用心をしないと減点をもらうことはよくあるが、答案は減点をもらわないような、完全な形で提出できていた。部分点をねらいきっちりと得点しているところが、個人的には本当にうれしかった」と、選手ひとりひとりの頑張りを高く評価していた。

 閉会式後には、選手の囲み取材が行われた。今年で数学オリンピック最後の学年となる高校3年生の選手は、「最後の大会を金メダルを獲得できて満足」(古屋さん)、「金メダルじゃなかったけれどこれが実力かな」(林さん)、「悔いは残っていない、嬉しいです」(北村さん)とコメント。そんな中、小出さんは「金メダルを取れるかなと思っていただけに、この結果はかなりしんどくて現実を受け止め切れていません」と悔しさを語った。一方で林さんは「昨年は強化合宿にすら参加できなかった。その悔しさがバネになった」と述べていた。

 12日間にわたり競い合った選手たちそれぞれの胸のうちには、さまざまな思いが去来していることだろう。しかしこの経験が、各選手に大きな成長をもたらしてくれることを期待したい。
 
 なお、次回の開催国はイギリス。閉会式ではIMO旗の継承式も行われ、日本選手団から英国選手団へと旗が手渡され、第64回国際数学オリンピックは幕を閉じた。

《鶴田雅美》

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