大阪【高校受験2024】公立人気は衰えず倍率上昇も、新課程の問題に特別対策を…成学社

 個別指導塾「個別指導学院フリーステップ」および集団指導塾「開成教育セミナー」を展開する成学社の入試情報室上席専門研究員の藤山正彦氏、同じくクラス指導部教務課長の照井健司氏に大阪府高校入試の動向、入試直前期の学習のポイントと保護者のサポートの仕方などを聞いた。

教育・受験 中学生
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成学社の入試情報室上級研究員の藤山正彦氏(左)と、クラス指導部教務課長の照井健司氏(右)
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  • 大阪府公立高校のおもな入試日程
  • 内申書の点について
  • 倍率のタイプ
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 年末が差し迫り、高校受験の本番が近づいてきた。目標に向けて走りぬく大事な時期だが、これから受験本番までどのように過ごし、また、保護者はいかに受験生をサポートしていけば良いのだろうか。

 こまやかな指導と確かな合格実績に定評がある個別指導塾「個別指導学院フリーステップ」および集団指導塾「開成教育セミナー」を展開する成学社の入試情報室上席専門研究員の藤山正彦氏と、同じくクラス指導部教務課長の照井健司氏に、大阪府高校入試の動向や入試直前期の学習のポイントと、保護者のサポートの仕方などを聞いた。

生徒の7割が公立を志願する地域

成学社の入試情報室上席専門研究員の藤山正彦氏(左)と、クラス指導部教務課長の照井健司氏(右)

--大阪府の高校入試の特徴を教えてください。

藤山氏:大阪はもともと公立が非常に強い地域で、いわゆる旧制中学だった公立高校を中心に、今でも進学校として評価が高い高校が多いです。また公立の普通科入試(一般選抜)は3月の1回しか試験がないことが大きな特徴です。なお、2024年度の一般選抜は2024年3月11日に実施されます。

照井氏:全日制に関していうと、私立高校96校に対して、公立高校は、国立・府立・市立含めて158校ということで、数としても多く、7割近くの受験生が公立高校を志願しています。そして、公立高校の普通科や文理学科などは受験チャンスが1回しかないので、併願の形で2月の私立入試を受けるのが一般的です。

--大阪府の公立高校入試問題の概要についてお聞かせください。

藤山氏:国語・数学・英語にはA問題(基礎的問題)・B問題(標準的問題)・C問題(発展的問題)の3種類があり、理科・社会は共通です。各高校が3教科でどのタイプの問題にするかを発表するのが例年7月上旬。この試験タイプは学校が求める生徒像によって異なります。当日の学力検査は、各教科90点満点の5教科なので450点満点となっています。

 一方、内申点は、中1の学年末の5段階評価を2倍、中2も2倍、中3は6倍で計算します。実技教科も含み1教科50点満点で、9教科で450点満点となります。

 学力検査と内申点の比重は高校によって異なります。これを「倍率のタイプ」と言っており、学力検査の点数:内申を7:3にするのが「Ⅰ」、6:4が「Ⅱ」、5:5が「Ⅲ」、4:6が「Ⅳ」、3:7が「Ⅴ」となっており、この5タイプから各高校が選ぶようになっています。

 たとえばタイプⅠは学力検査の成績にかける倍率が1.4倍、調査書の評定にかける倍率が0.6倍となり、タイプⅡは学力検査の成績にかける倍率が1.2倍、調査書の評定にかける倍率が0.8倍になるということです。

進学校ほど受験学力が強い生徒を求めている

--2024年度における各校の学力検査問題の種類についてはいかがでしょうか。

藤山氏:2023年7月に発表された各校の問題をみると、2024年度の入試で一般選抜を行う134校のうち、「C・C・C」と3教科とも発展的な問題を課すのは17校。大阪トップといわれる北野・天王寺をはじめとする茨木・三国丘・大手前・高津・豊中・四條畷・生野・岸和田の文理学科や、春日丘、八尾、富田林、泉陽、和泉、鳳(単位制)の普通科、和泉のグローバル科、千里の総合科学科・国際文化科がすべてC問題となっています。

 ほかにC問題を採用した高校をみると、「C・C・B」と英語のみ標準的な問題で、国語と数学はC問題という学校が三島と寝屋川の2校。「C・B・C」で数学はB、国語と英語はCという学校が池田と住吉の2校。「C・B・B」で国語だけがC、英数はBという学校が夕陽丘、桜和、佐野、今宮、清水谷の5校です。問題の種類を前年から変えた高校は8校のみで、ほぼ毎年、どの学校がどの問題を採用するかは決まっています。どういった学力を備えた生徒に来てほしいかという、学校の姿勢の現れといえます。

 ですので受験生はそれぞれ、7月の発表以降に志望校に応じた準備をするということになります。

--各校の評定における倍率のタイプについては。

藤山氏:倍率のタイプについては、当日点数:内申が7:3のタイプⅠを選択している学校が50校、6:4のⅡを選択している学校が34校、5:5のⅢが39校、4:6のⅣが11校、3:7のⅤはなし。倍率のタイプを前年から変更したのは2校だけで、こちらも毎年大きな変化はなく、3教科すべてC問題を採用する17校はすべてタイプⅠで、受験学力が強い生徒がほしいというメッセージになっています。逆に中堅校や、地元校とよばれるボリュームゾーンよりやや下の高校になってくると、内申点を重視する学校が多く、そうした傾向は変わりません。

「試験タイプや倍率のタイプから、その学校の求める生徒像がメッセージとして読み取れる」と藤山氏

国語も英語も「書く力」が求められる傾向

--入試問題について、教科ごとに傾向や特徴を教えてください。

照井氏:国語のB問題で特徴的な出題は、古典で記述が出題されたことと、会話形式や表の活用を用いた問題。これは今後、定着していく可能性もあるのではと思います。C問題は、2023年度は記述量が増えたことで平均点が若干下がりました。文字化して人に伝える記述・表現力を測る傾向については、今後も続いていくのではないでしょうか。また、C問題は作文のみならず、読解文等の問題選定においても、リーダー的な資質を意識している印象を受け、これも大きな特徴ではないかと思います。

 一方、数学については、A・B問題ともに新教科書の内容が初めて出題され、文字を絡めた問題、抽象的な数学の感覚をみる問題が多かったように思います。特に表面の前半部分がやや難化したような印象を受けました。C問題は、Bと同じように表面は計算を中心とした資料活用などの問題で、こちらはやや平易になった印象。一方で、裏面の図形問題は計算量や処理量が増えている部分があり、前年に比べてマイナス14.9点と大幅に平均点が下がりました。新教科書も3年目になりますが、教科書の内容でまだ入試に出題されていない範囲が一部あり、過去問として取り組むことができない範囲になりますので、それが出題されるとさらなる注意が必要になるとみています。また、B問題・C問題ともに関数の問題などでは「答えを求める過程がわかるように、途中式を含めた求め方も書くこと」となっており、過程によって部分点もあるところに注意したいです。

 英語については、B問題は比較的シンプルな問題構成で、長文が2つあり、ひとつが説明文、もうひとつが対話文で、その中に英作文の課題や、並べ替えなどの文法知識を問う問題が組み込まれています。単独の大問として文法問題が出題されることはないものの、文法学習は必要です。C問題は新課程で単語が増えたことから、単語の難化が顕著になっており、使用単語の難化は、この先もまだ続くと考えられています。また、新課程で初出した仮定法、原形不定詞、現在完了進行形も絡めて出題され、文構造の見極めが難しい原形不定詞は正答率が低く、トレーニングが必要かと思います。さらにC問題は、課題英作文に加えて、リスニングにも英作文があり、書く力が非常に求められる。90点中22点分が作文の点で、普段から正確な文法体系の英文を書くトレーニングが必要だと思います。また、英語は英検などの外部民間資格を持っているとみなし得点にされる制度があり、英検2級で8割の72点が保障されるため、上位校ほど英検2級以上をもっている受験生が多いですね。

 最後に、B問題とC問題で試験時間が違うことにも注意が必要です。数学はC問題が60分、B問題が50分。英語もB問題は筆記40分・リスニング15分、C問題が筆記30分・リスニングが25分となっており、C問題のリスニングはスピードも速く力量が試される難しいものとなっています。

「上位校をねらう受験生ほど、英検2級以上をもっている」と照井氏

私立無償化の影響で強気の公立受験が増える可能性

--人気校の傾向や近年の入試動向についてはいかがでしょうか。

藤山氏:公立の人気は競争倍率で表せます。2023年度入試で倍率1.5倍を超えたのは、茨木、豊中、春日丘、三国丘の4校。前者3校はいずれも淀川より北にある学校で、北部は人口が多いので競争倍率も高くなっています。また、4校とも進学校として名高く、難関国公立の京大・阪大、関関同立をはじめとする難関私大の合格者数も多いため、人気が高い。人口が多い北部が高倍率になる傾向はあるものの、それに限らず、自由な校風で安定した難関大合格実績を誇る高津、泉陽なども人気が高くなっています。

 私立については、入学者数で人気をみることができます。2023年度は700名以上入学したのが浪速高校、近畿大学附属、興國、桃山学院、履正社。これらの学校は毎年入学者が多いです。人気の私立校はいずれも、多彩なコース設定や充実した教育内容はもちろん、部活動が盛んな学校であるという印象です。運動部がインターハイに出ていたり、吹奏楽部の強豪だったりすると外部発信が強いためでしょう。外部発信という意味では、コロナの影響も大きいと思います。コロナ禍では学校見学会ができず、規模が小さい学校は生徒募集に苦戦し、大きい学校ほど入学者数が増える傾向がありました。

 公立・私立全体の人気動向については、私立の専願率が年々上昇してきているものの、まだ3割弱といったところ。学力層別にみると、難関大学をねらう上位層の生徒は公立を選んでおり、専門学校や就職を検討する層の生徒は面倒見のよい私立を選ぶケースも多いです。

 来年度からは大阪府の私立高校支援が拡充され、所得制限なしの高校授業料無償化が始まりますが、導入は段階的なので、今の中3・中2は高2からの適用となり、今の中1が高校入学時から3年間の適用となります。そのため、無償化により私立へと流れる動きが出るとしたら、下の学年で出る可能性があると思います。とはいえ、今の中3は、たとえ公立に落ちて私立に行くことになってものちのち学費が安くなることを鑑みて、強気で公立を受ける生徒が増えるかもしれません。上位校の倍率がもっと上がる可能性があるので、当日しっかり点数を取る力が今まで以上に重要になると考えます。

作文指導や答案練習会などで新課程の出題に対応

--開成教育セミナーや個別指導学院フリーステップではこの時期、どのような指導をされているのでしょうか。

藤山氏:フリーステップでは11月に、各中学校で実施する実力テストに向けて、5人1班の「ステップアップ勉強会」を2日間連続で行っています。最初と最後にテストをすると、2日間缶詰で勉強するので大抵の子は成績が伸びる。「たった2日で伸びるんだから、あと何か月もあるからもっと伸びる」と背中を押してあげるイベントです。その後は過去問演習、作文指導です。とくに国語のC問題は記述の文字数が多いので、そうした力をつけることを個別に指導しています。

個別指導学院 フリーステップについて

照井氏:集団指導部門の開成教育セミナーも、11月は実力テスト、定期テストに合わせた学校の勉強に向けたものが多いです。それとともに、外部の模試受験もありますので、9月ごろからは入試の土台を構成する部分として、融合した問題に取り組み始め、日曜日に「入試突破ゼミ」という形で外部模試、実力テストに向けた準備を進めています。

 11月の学校のテストが終わると過去問演習に入ります。土台を作っていきながら冬期講習を迎え、入試に向けた直前期に突入します。ここでは答案作成練習会を行い、実戦力を高めていきます。また、年末にはC問題対策の年末合宿も予定しています。これまで未出の単元あるいは新形式の問題なども出題が予想されますので、さまざまな形で対応を進めていくことになります。

開成教育セミナーについて

直前期は間違えた問題を解き直してアウトプットを重視

--受験直前期、どのような点に気をつけて勉強をするのが良いでしょうか。

照井氏:直前期は、これまでに間違えた問題に取り組んで弱点をつぶし、失点を防いでいくことが重要です。塾でも授業などを通じて過去問や予想問題の演習をしていくので、その中で合格最低点以上を得点できる力を身に付けるように、時間配分や解答順などの技術的な部分をおさえていってください。もう1点は、英語や数学は時期を空けてしまうと感覚が鈍る面がありますので、少しボリューム、優先度合いを高めにして取り組んでいくと良いと思います。

 あまりお勧めできないのは、生徒がよく定期テスト時に作成する「まとめノート」。これはあくまでインプットが目的のものなので、この時期は意識してアウトプットする時間を増やしてほしいと思います。

--保護者は家庭でどのようなサポートをすれば良いでしょうか。

照井氏:これからの時期に心がけてほしいのは、大きくは2つ。精神的な面と身体的な面でのサポートです。精神面ではリラックスして気が抜ける場所として、ご家庭で話を聞いてあげる、応援をしてあげるような環境作りをしていただくのがいいでしょう。身体面では、早寝早起きと、朝から頭が働くような栄養面のサポートが主なものになるでしょう。

 心と体の両輪がうまく回るよう、小さな変化を見逃さず、細かい配慮・対応をしていただきつつ、しっかり見守っているよという応援メッセージを送っていただくといいと思います。

藤山氏:今の時期はほぼ受験校が決まった後だと思います。保護者の方には、時間管理、健康管理、栄養管理、この3つの管理をお願いします。

 1番困るのが、保護者が不安になることです。直前に志望校を変えたりすると本人へのダメージが大きいので、志望校を決めたら、あとはもうお子さんを信じてください。迷わず当日に向けて頑張りましょう。

保護者は子供を信じ、大きく構えて精神的な面と身体的な面のサポートをすることが大事だと語るお二人

楽しい高校生活へ向けて精一杯やりきってほしい

--受験生へメッセージをお願いします。

照井氏:中学受験を経験していない方にとっては、初めての受験となります。受験に立ち向かっている状況で、自分の決めた目標に向かってしっかりと頑張ってきているんだと自分を認め、褒めてあげてほしいと思います。そしてその恵まれた環境を与えてくれている周りの人にも感謝の気持ちをもって、持てる力を最大限発揮してほしいですね。「やり切った」といえるように入試まで走り続ければ、頑張った過程は将来、必ず生かされると思います。

藤山氏:子供たちには「高校は楽しいよ」と伝えています。高校は自分と似たような思考や好み、学力を持った集団なので、気の合う子と巡り合えるチャンスが大きい。楽しい高校生活に向けて精一杯できることをやりましょうと伝えたいと思います。

--ありがとうございました。

直前期の今だからこそプロの支援で着実に力をつける

 公立人気が高く独特の受験スタイルを持つ大阪の高校入試だが、新課程の教科書が入試に反映され始め、英語を筆頭にCの発展問題はますます難しくなっている印象を受けた。さらに私立高校の授業料無償化により、上位公立校の倍率が上がる可能性も示唆され、当日の得点力がさらに重要となるだろう。

 直前期の大事な時期だからこそ、プロの支援を受けつつ、着実に力を伸ばしていくことが求められる。「開成教育セミナー」や「個別指導学院フリーステップ」で自分に合った学びをサポートしてもらうのもおすすめだ。

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《羽田美里》

羽田美里

執筆歴約20年。様々な媒体で旅行や住宅、金融など幅広く執筆してきましたが、現在は農業をメインに、時々教育について書いています。農も教育も国の基であり、携わる人々に心からの敬意と感謝を抱きつつ、人々の思いが伝わる記事を届けたいと思っています。趣味は保・小・中・高と15年目のPTAと、哲学対話。

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