横浜市、カブトムシの目撃が減少傾向…小学生調査

 横浜市環境科学研究所は2024年1月30日、2013年度より市内の小学生を対象に実施している「こども『いきいき』生き物調査2023」の結果を発表した。カブトムシの確認率が依然として減少傾向にあるという。カブトムシは里山的環境を指標する生き物の1つ。

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こども「いきいき」生き物調査
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 横浜市環境科学研究所は2024年1月30日、2013年度より市内の小学生を対象に実施している「こども『いきいき』生き物調査2023」の結果を発表した。カブトムシの確認率が依然として減少傾向にあるという。カブトムシは里山的環境を指標する生き物の1つ。

 「こども『いきいき』生き物調査」は、横浜市民に地域の自然や生き物への関心を高めてもらうとともに、生物多様性保全に資する基礎データを取得することを目的として、2013年度より実施。市内の小学5年生に調査票を配布し、過去1年間に「家や学校の近く(学区内)」で見つけたり鳴き声を聞いたりした生き物について調査している。2023年は、夏休み前に2万9,397人を対象に行い、ツバメの巣、ハクセキレイ、カブトムシ、カモメのなかま、ふきのとう、ハッカチョウ、ヒキガエル、サワガニ、カマキリのなかまについて目撃情報を尋ねた(調査対象の9種類の生き物は、分類のしやすさに配慮しながら、市内の自然環境を特徴づけるもの、減少または増加傾向にあるものなどを選定し、年ごとに変えてローテーションさせている)。

 その結果、カブトムシの確認率は62%であり、調査開始時2013年の72%以降、減少傾向にあることが判明。特に減少幅が大きかった2021年の調査時(56%)は、コロナ禍による行動自粛が影響したものと推測されており、2023年度はやや持ち直したものの、依然として減少方向が続いている。

 学校ごとの確認率は18%から100%と開きがあり、自然の多い市西部での確認率は高いものの、東部の臨海都市部で低い傾向にあった。近年、ナラ枯れの拡大により餌となる樹液が出ている木が増え、カブトムシは見つけやすくなっている可能性があるものの、暑い夏には成虫が少ないことなどが報告されており、猛暑であった2023年はその影響を受けた可能性も指摘されるという。

 確認率は、観察場所へのアクセスのしやすさなど、さまざまな要因により変動し、必ずしも生き物の生息密度を表すものではないが、調査は長期的な視点での解析・考察が重要であることから、来年以降も対象とする生き物の種類を変えながら継続実施する予定としている。今回調査を実施したツバメの巣、ふきのとうなど、そのほかの項目の結果については、横浜市環境科学研究所のWebサイトで確認することができる。

《木村 薫》

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