【中学受験2025】夏休み後の成績アップ、要は夏前の「事前準備」…TOMAS

 中学受験では、夏にどれだけ学習を進捗させるかで、どの学校を受けるか、合格するかが決まると言っても過言ではないという。マンツーマンの完全個別指導を展開する進学塾「TOMAS」教務本部責任者であり副局長の松井誠氏に、中学受験生の保護者に向けて、「天王山の夏」を制するためのアドバイスを聞いた。

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  • 首都圏模試センター「2024年入試 首都圏中学入試の結果と分析」より 中学受験者数と受験率の推移
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 中学受験では、夏にどれだけ学習を進捗させるかで、志望校の選定や合格可能性が決まると言っても過言ではないという。

 マンツーマンの完全個別指導を展開する進学塾「TOMAS」教務本部責任者であり副局長の松井誠氏に、中学受験生の保護者に向けて、「天王山の夏」を制するためのアドバイスを聞いた。

弱点を克服したうえで夏期講習に臨む

--まずは「天王山」といわれる夏休みの過ごし方についてお聞かせください。

 みなさんのお子さんを見てもわかるとおり、小学生は、朝から登校して授業を受けて友達と遊んで行事もあって、学校でかなりのエネルギーを使っています。いくら受験学年とはいえ、学校のある5月や6月に、勉強時間を確保して成績アップにつなげることはなかなか難しいと思います。

 ですが、学校のない夏休み・冬休みは、時間的にも体力的にも勉強に集中でき、なおかつ睡眠時間もとれる絶好の時期です。塾側も夏休みにまとまった時間がとれることを前提に夏期講習のカリキュラムを作っているので、しっかり準備をして臨むことが大事です。この事前の準備次第で、夏の成果は変わってきます

難化の一途をたどる中学入試 (画像出典:首都圏模試センター「2024年入試 首都圏中学入試の結果と分析」)

--夏休みの時点では、受験が迫っていると感じていないお子さんも多いのではないでしょうか。

 人それぞれですね。中には「落ちたらどうしよう」と不安や焦りを感じたり、夏期講習のクラスが決まる組分けテストに一喜一憂して、本来やるべき学習に手がつかないお子さんも出てきます。

 一方で、たいして勉強もしないのに「開成に受かる!」と思っているお子さんもたくさんいます。いつ目覚めるかはその子次第なので、周りと比べず、「うちの子はどういう夏の過ごし方をすれば良いのか」を考えてほしいと思います。

--「夏の成果は夏前に決まるという気持ちで準備してほしい」とのことですが、具体的にどんなことをすれば良いのでしょうか。

 夏休みが終わると受験まで残り5か月。9月以降、各塾では志望校別対策が始まり、本格的に入試問題に取り組む時期に入ります。とはいえ4教科の全単元を終えていない、未着手分野がある状態の場合、入試問題に取り掛かってもベースが不十分なので、最後まで解ききることすら難しいと思います。

 ですので、まずやるべきは、全単元を終了させることです。

--通っている塾のカリキュラムに沿って勉強していれば大丈夫、というわけではないのでしょうか。

 もちろん、多くの集団塾では公民の一部や時事問題などを除いて、ほぼ全単元が終わった状態で夏を迎えるカリキュラムが組まれています。ですが、中学受験は大学受験と違って、文系が得意な子も理系が得意な子も共通の試験科目です。国語、算数、理科、社会の4教科は、さらに物理、化学、生物、地学、地理、歴史、公民と細かく分かれ、苦手分野がない子はいません

 算数だけみても、速さや割合、平面図形、立体図形、数の性質とたくさんの単元がある中で、速さや割合のように重要な単元で苦手や抜けといった「穴」があると、9月以降の過去問演習や模試で、大幅な失点をすることもあるわけです。そうした穴を見つけ、夏休み前にどれだけ潰せたかが夏休み後の成績を左右します。

--大勢に向けた塾のカリキュラムとは別で、その子自身の弱点を見つけ出し克服しておかなければいけないのですね。

 正答率が10%に満たないような難問と、「これは取らなきゃ」という基本問題がありますよね。基本問題すらボロボロと失点してしまうようだったら、その単元や解法パターンはもう一度やって覚えていかないといけません。

 一方、ある程度基礎が仕上がっていて、御三家や最難関校を目指すレベルのお子さんにとっての夏は、さらに力を錬成し積み上げていく時期です。そんな時期に「割合が苦手」「平面図形が基本しかできない」なのか、「とりあえず弱点補強は全部やりました、応用がきても大丈夫です」という状態なのかでは、伸び幅が大きく違ってくるのは間違いないでしょう。

--子供の弱点を洗い出す方法を教えてください。

 集団塾に通っていると毎月のように単元テストや月例テストがあるので、小5以降のテストを総チェックすることでお子さんの苦手分野が見えてきます。具体的には、テスト結果や帳票に載っている問題ごとの正答率を見て、「正答率が50%以上なのに間違っている問題」を洗い出してください。

 正答率が80%、90%なのに間違っている単元は、テキストに戻って徹底的にやり直しましょう。正答率を見て50%以下のところでも、間違いが集中している単元は理解が甘いということなので、テキストに戻ってそこを徹底的に復習することをお勧めします。特に算数の特定分野(割合、比、速さなど)に苦手なところがある場合は、小4くらいからやり直した方が良いでしょう。

偏差値帯別、夏にやるべきこと

--夏休みは塾の夏期講習に参加するお子さんが多いと思います。お子さんの持ち偏差値帯によって夏の学習の力の入れどころは異なってくるのでしょうか。それぞれにアドバイスをお願いします。

 夏に過去問をやる、全体の総復習をやる、単元学習を終わらせる、など成績と仕上がり具合によって大まかなパターンがあります。

最難関を目指す上位層のお子さんについて

 ひととおり全体の範囲が終わり、弱点分野の復習がひと段落したら、夏に刊行される『中学入学試験問題集』(銀本)や『有名中学入試問題集』といった前年度の入試問題が一冊になった問題集を活用して、最難関のちょっと下のレベルの学校の過去問に取り掛かる、という方法があります。これは集団塾の最上位層に多く見られるパターンです。算数・理科については個人差も大きいのですが、得意な子についてはどんどん解き進めて良いと思います。

平均的な成績のお子さんについて

 まずは塾の夏期講習についていくことが最優先です。どの塾も、この時期の受験生に必要な知識や解法をマスターできるように万全のカリキュラムで夏期講習を開講しています。塾のカリキュラムを消化し、復習をしながら理解を定着させることを意識してください。時間があったら夏までの小テストを見直し、弱点を復習すると良いでしょう。

基礎の危うい部分が多いお子さんについて

 塾の授業についていけているかどうか、夏期講習前に見直すことが大事です。小6になるとどの塾も内容が難しくなっていますので、理解の危うい部分が多いようなら、今の塾で夏を過ごすべきか再考する必要もあるでしょう。小5までの範囲を理解していれば十分合格できる学校もあります。理解が不十分なまま授業についていこうとするよりも、小5までの範囲をしっかり学習し直すことも検討してください。

--子供の理解度や仕上がり具合に応じて、かなりやることが変わってきますね。

 特に算数に関しては、二学期を待たずに入試形式の実践演習に進んだ方が良い子と、小4くらいからやり直した方が良い分野がある子、かなりの個人差があります。私どもの指導では、算数が大好きで算数オリンピックなどにも出るような子であれば小5のうちから中堅的な学校の入試問題を解かせるケースもあります。入試を想定し制限時間内でこのくらいの分量を解くという時間配分、大問1~5といった設問がある中で、どこを取ってどこを落とすとかという感覚を身に付けるためには、早いうちからたくさん入試問題を解くことが効果的だからです。

--夏期講習を有効活用するためのアドバイスをお願いします。

 昼から夜まで、塾によっては午前中から自習室で勉強している子もいると思いますが、夏期講習は時間が長いのでしっかり睡眠をとることが第一です。小学生は睡眠時間を十分にとらせた方が伸びるのは間違いありません。家庭ではしっかり休んで、塾の授業や個別指導の演習でしっかり量をこなして問題数を解くことに集中する方が得策です。

 家庭で復習を進めたり個別指導を併用したりする際は、夏期講習のスケジュールと足並みを揃えることも大事です。塾では公民をやっているのに、家庭では地理の復習ばかりやっている、というやり方では効率は上がりにくいでしょう。

 また、夏期講習の内容や進度を熟読して、お子さんにとって必要がないものがあれば思い切って休むことも必要です。受験に向かうスタンスも子供によって違うと前述しましたが、同じ塾で同じテキストを使っていても、精神年齢も学力もキャパシティも違います。ですが、実際のところ、集団授業では自分の子にフィットしていないレベルや指導内容もたくさんあります。

 たとえば、夏期講習期間中に入試問題演習を行う集団塾もありますが、そのレベルに達していない生徒さんは思い切ってお休みし、弱点補強や基礎固めに時間を使うほうがよいという場合もあるでしょう。

--その見極めはどうしたら良いのでしょうか。

 前提として、入試では満点を取る必要はありません。多くの学校の合格最低点は6割から7割です。たとえば、立体図形が苦手な生徒に高度な立体の切断を教え込んだり、精神的に幼い男の子に複雑な恋心を汲み取るような国語の記述問題をやらせたりしても、そこで引っかかることもあるでしょう。それなら後回しにすることもひとつの手です。必ずしも塾からの指示通りにやらなくても良いんだという意識はぜひ持っていてほしいですね。

 そのうえで「この子の仕上がりではこのレベルは必要ないから他に時間をかけるべき」「塾の大量の宿題の中で、ここだけはきちんとおさえたい」といった優先順位や取捨選択については、お子さんの現状とゴールまでの距離を俯瞰して見られるプロでないとなかなか難しい部分だと思います。講座の必要性なども含めて集団塾に相談しづらい部分については、私どものような個別指導を頼っていただき、お子さんの限られた時間を有効に使ってほしいと思います。

克服するべき課題はひとりひとり違う。「集団塾に相談しづらい部分は個別指導を頼ってほしい」(松井氏)

子供の「行きたい気持ち」に偏差値表は関係ない

--保護者はこの夏休みの期間、どのような視点で子供の学習をサポートするのが良いでしょうか。

 学校に行かない分、子供と接する時間も長くなりますが、勉強していない姿が目に付いてもイライラしないこと。また、連日の夏期講習に家庭での復習など、やらなければならないことがいろいろあると思いますが、やると決めたことの7割ができていれば御の字くらいの心構えでいてください。

 学習は、やればやるほど、できていないことがあれこれ見えてくるとみなさんがおっしゃいます。ですがそれを全部やらせようとすると、まだ小学生の子供はつぶれてしまいます。7割でOKという気持ちの落としどころは、子供ではなく親御さんの逃げ道として作っておいてほしいと思います。

 とはいえ、感情的にならないことがいかに難しいことかも存じています。子供とぶつかりそうになったら、第三者である塾や私どものような講師陣に気持ちの矛先を向けてください。勉強面やお子さんのメンタル面、親御さんがどうしたら良いのか、的確なアドバイスや解決策を提供するのが私どもの役目です。

--夏を迎えるまでに「志望校決め」も大切と言われます。それはなぜでしょうか。

 遊んでいる同級生が目に入る中で塾に向かわなければいけない小6にとって、あの学校に行きたい、あの制服が着たい、ああいう先輩になりたい、クイズ研究部に入りたいといった目標があるのとないのとでは、夏の学習に向かう気持ちが全然違います。行きたい学校があって勉強する子と、親が言うからとりあえず塾に行っている子、どちらが伸びるかは明白ですよね。

 子供にとって大切なのは、志望校のために頑張るというモチベーション。「あの学校は無理だけど、ここだったら入れるから夏期講習30日間頑張って」では子供は頑張れません。受かるかどうかは別にして「僕はこの学校に行きたい」という気持ちを応援してあげてください。たとえ現在の偏差値が40であっても、開成や麻布を目指して良いのです。目指していくなかで、40の偏差値が45になったら大きな成長じゃないですか。

--周りにお膳立てされた志望校ではなく、内発的な動機がきちんとある子が強いのですね。

 いろいろな12歳がいるので一概には言えませんが、まだまだ親が喜ぶことをしたがる傾向もあります。「僕がこの学校を受けて受かったらお母さんはうれしいかな」「この学校に落ちたらお母さんに申し訳ないな」と推し量る子もいます。そうではなく、「君が行きたい学校に行こうよ」と言ってあげたいですね。

 中学受験なんて、人生のゴールではありません。たとえ第一志望が残念な結果で、第二、第三志望の学校に通うことになったとしても、そこにだって素晴らしい先生がいて、やりたい部活動があって、友達がいて、楽しい学校生活が待っていることは間違いありません。偏差値に関わらず、私立の中高一貫校はいずれもとても素晴らしい教育を行っています。たくさんの私学に出向いて、校長や先生方とお話しし、毎年たくさんの教え子たちを送り出している私の経験から、それだけは断言することができます。

「これから先、受験を乗り切るにはお子さんの気持ちが第一です」と語るTOMAS教務本部責任者で副局長の松井誠氏

--最後に、受験生と保護者へのアドバイスをお願いします。

 夏休みが終わると、志望校や併願校をある程度軸を決めて絞り込んでいく時期に入ります。9月は学校行事も多いでしょうし、日曜特訓や志望校別講座など、塾の予定もさらに立て込んできますので、今のうちにまだ見ていない学校の見学や説明会に足を運んでおきましょう。試験日が2月1日の学校ばかりをたくさん見たというのではなく、午後入試や2日、3日の試験校など、入試日程も考慮し幅広く見るようにしてください。夏休みに入る前にしっかり情報収集をして、塾の先生とも一度相談しておくことをおすすめします。

 この記事を読んでいる時点でのお子さんと、2月1日を迎えたお子さんは、見た目は変わらないかもしれませんが、計算のスピードも、問題を解くための技術も、理科の理解力も社会の知識力も驚くほどアップしています。子供には無限の可能性があると信じて、我が子の歩む道を応援してあげてください。

--ありがとうございました。


 松井先生のお話から、夏休み前にやるべきことが見えてきたのではないだろうか。当然、集団塾では同じクラスに在籍していても子供によって苦手な科目や理解度、目指す学校もバラバラだ。「うちの子はどうしたら良いのか」という、もっとも肝心な部分にプロが応えてくれるのは、個別指導の最大の価値であり強みだ。

 「弱点があったり、集団塾の進度に遅れている子にはそのフォローを、一方で、かなり早い段階で仕上がっている子にはより先んじた内容を提供できます」と松井先生。個別指導のTOMASが提供するオーダーメイドの学習プランを味方につけて、来たる天王山の夏をさらなる実りのあるものにしてほしい。

TOMASについて詳しく知る
《吉野清美》

吉野清美

出版社、編集プロダクション勤務を経て、子育てとの両立を目指しフリーに。リセマムほかペット雑誌、不動産会報誌など幅広いジャンルで執筆中。受験や育児を通じて得る経験を記事に還元している。

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