日本教育学会は2025年4月1日、政府が閣議決定した「日本学術会議法案」について緊急声明を発表した。日本学術会議法案は、独立性を損ない、現行法にはない国の関与・監督が幾重にも盛り込まれ、学問の自由に対する重大な脅威ともなりかねないとして、廃案を求めている。
政府は3月7日、日本学術会議法案を閣議決定し、国会へ提出した。法案では、日本学術会議を国から独立した特殊法人とする一方、国から必要な財政支援を受けるとし、一部の規定を除き、2026年10月1日から施行するとしている。
日本教育学会は、この法案に対して4月1日に緊急声明を発表し、「現行の日本学術会議法に定められている平和国家の構築等の使命や独立して職務を行う旨の明記が欠落している」と指摘。中期的な活動計画・年度計画の法定、大臣任命の評価委員による評価、大臣任命の監事による監査、内閣総理大臣の是正措置など、現行法にはない国の関与・監督が幾重にも盛り込まれていると問題視している。
また、日本学術会議が2021年に出したナショナル・アカデミーの5要件のうち、特に「活動面での政府からの独立」「会員選考における自主性・独立性」を大きく逸脱していると危惧。ナショナル・アカデミーの根幹を損なうもので、学問の自由に対する重大な脅威ともなりかねないとして、法案に反対し、廃案を求める立場を表明している。
日本学術会議法案をめぐっては、安全保障関連法に反対する学者の会、日本弁護士連合会なども反対する声明を発表している。