「慎重な子でもネット被害の心配」昭和女子大学オープンカレッジが附属保護者向けにセミナー開催

 昭和女子大学オープンカレッジは1月19日、同大学附属幼稚園や附属校に通う子どもを持つ保護者向けの教養講座「親と子のネットセミナー ~ケータイ・インターネットと上手につきあうポイント」を開催した。

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セミナー告知の看板
  • セミナー告知の看板
  • 講師の中尾真二氏
  • 講義は昭和女子大学の学園本部館3F大会議室で受講者約120名を集めて行われた
  • 警察庁が2010年10月に発表した広報資料からの抜粋。出会い系サイト、非出会い系サイトによる被害者(児童)の動向
 昭和女子大学オープンカレッジは1月19日、同大学附属幼稚園や附属校に通う子どもを持つ保護者向けの教養講座「親と子のネットセミナー ~ケータイ・インターネットと上手につきあうポイント」を開催した。

 同オープンカレッジは、昭和女子学園教育に生涯学習を補完するための機関として、1988年に開講。年間1,000講座にも及ぶ一般社会人向けの各種講座に加え、6年前からは大学および附属校の学生・生徒・園児や保護者を対象にした「親親講座」も企画・運営しており、今回のセミナーもそうした学内向けの取り組みの1つとして開催された。

 「親親講座」は、親としてどう子育てしていくかを考えるという趣旨から、これまで、しつけ、教育学、医学、心理学、食育、法律など、子育てに関わるテーマを幅広く取り上げてきている。今回のようなネットセイフティの分野は初めての試みで、ネット犯罪事例に詳しい専門家を外部から招へいして開催された。

 講師を務めたのは、オープンカレッジでITパスポート試験対策講座を教えているテクニカルライターの中尾真二氏だ。中尾氏はまず、出会いサイトやSNS、ゲームサイト、プロフを介した犯罪の被害状況とその傾向、パソコンやケータイで設定できるフィルタリング機能、偽装サイトへ誘導して個人情報を盗み出すフィッシング詐欺などを紹介。リアルな世界では慎重な子どもも、ネットの世界ではメールのやりとりだけで相手を簡単に信じてしまう傾向があり、出会い系やSNSなどでは、被害者のうちおよそ2割が、知り合ってから1週間~1か月前後で被害に合っているなどのデータも取り上げられた。

 つづいて、こうしたネット上のサービスを利用するうえでの注意点や、携帯電話やパソコン、ブラウザの機能を紹介。暗号通信サイト(鍵マーク)やEV SSL(ブラウザのアドレスバーが緑色に変わる)の有無といった技術的な観点からの安全なサイトの見分け方を解説した。

 さらには、「不用意にネット上に身分を明かす」「音楽ファイルや映画の違法ダウンロードサイトを利用する」「メールやサイトのリンクを確認しないでクリックする」「無料やプレミアムといった言葉に安易に反応する」など、犯罪リスクの高い行為を行わないことの重要性を強調。また、親が知っておくべきネットリテラシーなど、ご自身も小学生のお子さんを持つ父親としての考えも織り交ぜながら、あらゆる角度から解説した。

 約120名の受講者は、講義中にメモをとる姿も見られ、近い将来、子どもが携帯電話を使ったり、インターネットで調べものをすることを想定し、熱心に講義に聴き入っていた。また、質問コーナーでは、「ネットの長時間利用によるネット中毒を避けるために、ネット利用を制限するツールを教えて欲しい」「ゲーム端末の通信機能にはどういったリスクがあるか」など、具体的な質問が寄せられ、関心の高さがうかがえた。

 「親親講座」は、世田谷区三軒茶屋の昭和女子大学キャンパス内で開催されており、幼稚園から高校までの附属に通う子どもの保護者だけでなく、学外の方の受講も可能。同オープンカレッジでは、今後も、各附属校の要望や保護者のニーズに応えながら、幅広い分野を対象に、その時の社会情勢に敏感に反応しながら講座を続けていきたいとしている。
《柏木由美子》

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