東京電力は11日、4号機原子炉建屋の4階の様子を写真で公開した。4号機は3月15日と16日の両日にわたって3度ほど黒煙が上がっていたことがわかっている。その時、爆発音も聞こえていた。この出火原因は特定されていないが、撮影場所の4階南側は、東電が火元として最も有力視する場所だ。写真の中央上部の天井がくすぶっていると説明する。この上の5階には使用済み核燃料プールがある。燃えたと推測されるのは、写真右側に写っているモータージェネレーター(MG)セットだ。モータージェネレーターセットは、給電盤、発電機、流体継手、モーターが1つのセットになっている。出火当時、黒煙が大量に上がっていたことなどから、この流体継手の中のフルード(油)が漏れるなどして着火したのではないかと、東電は説明する。写真で見ると、右から中央に向かって、パネルが吹き飛んでいるのが給電盤、その右側の角ばった立方体が発電機、その奥に丸く見えるのが流体継手だ。流体継手は、さらにその奥にある角ばった立方体のモーターと、発電機をつなぐ役目をする。自動車のオートマチックトランスミッションと同じ原理で、流体継手の中のフルード(油)がモーターの回転を発電機に伝えて、原子炉再循環ポンプの冷却材の流量を微調整する。継手の中のフルードを増減させることで回転数を可変し、ポンプの流量調整を行う。現在の制御ではインバーターが行うが、「継手の中で慣性が働いているため、一度、電源が途絶えても、ポンプをしばらくの間動かすことができて信頼性は高い」と、広報担当者は説明する。原子炉出力は制御棒で調整するが、細かいコントロールは再循環ポンプを動かすモータージェネレーターセットが担っていた。また、冷却継手から左に向かって水平に伸びている配管は、回転で熱を帯びたフルードを冷やすための冷却配管だ。写真ではほとんどわからないが、奥に向かって、さらに同じものが、もう1セット並んでいる。もう1枚の逆光で空を仰いでいるような写真は、モータージェネレーターセットの撮影場所から逆方向を向いて撮影した。明るい場所に水平に走っている配管を利用して、原子炉の代替冷却のシステムを再構築しようと試みる。