【入試直前】大手塾に聞く2012年中学受験2/3…親がやるべき事・やってはいけない事

 中学受験を目前に控え、受験生である小学生はもちろん、親も平常心でいることは難しい。本番で、我が子が持てる力を最大限出しきるために、親としては何をするべきなのか。

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大手塾に聞く2012年中学受験
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 年が明けると、中学受験がいよいよ本番を迎える。入試直前、首都圏・関西圏の中学受験で実績のある大手塾に、2012年の中学受験について聞いた。今回取材に応じてくれたのは、栄光ゼミナール、サピックス小学部、希学園、浜学園の4塾だ。

◆入試までの1週間の過ごし方

 中学受験を目前に控え、受験生である小学生はもちろん、親も平常心でいることは難しい。本番で、我が子が持てる力を最大限出しきるために、親としては何をするべきなのか。

 「受験を“特別なこと”のように意識をさせないよう、平常どおりの生活を。気負わせることなく、短なる通過点の一つであるという気持ちでいてもらうようにしている」(栄光ゼミナール)

 「生活のリズムを朝型にして、小学校にも無理のない範囲で通い、普通どおりの生活をするようお勧めしている」(サピックス)

 「『あなたは合格できるわよ。頑張りなさい』などと言っては子どもがかえって緊張する。それよりは『今まで本当によく頑張ったね』『あなたみたいな子を持てて幸せに思っているよ』と声かけしてほしい。こういう言葉が子どもの心のひだに沁み込み、子どもは平静な気持ちで持てる力を出し切ることができる」(希学園)

 「この時期は子どものテンションは上がっているが、その割に集中力が続かない。したがって、家での勉強時間は減らし、小刻みに時間設定された塾の時間をなるべく利用して規則正しい勉強のリズムを作るのがいい。また、朝型の生活に身体を保っておくことが大切」(浜学園)

◆年末年始はどう過ごさせるか

 受験生には大晦日もお正月もない!? 子どもも大変だが、塾の講師も大変だ。

 「各ご家庭で例年どおりに過ごすようお願いしている。学習に対する不安を解消するため1月2日、3日は特別講習を設定している」(栄光ゼミナール)

 「12月30日・31日、1月2日・3日に特訓授業を実施」(サピックス)」

 「体調管理が親の最大の務め。栄養バランスのいいメニューを心がけて」(希学園)

 「規則正しい勉強のリズムを一度崩すと戻すのに何日もかかる。受験生に正月はない。合格発表のあとにやってくると思ってがんばるよう指導している」(浜学園)

◆本番を控えて緊張するという受験生への対応

 緊張するのは当たり前。こんなときには事務的な作業をするのが効果的なようだ。お試し受験で本番の緊張を味わうのもいい。

 「子どもに対しては『やってきたことへの自信を持とう』と指導。保護者も緊張している場合があるので、『入試の送迎や合格発表、学校への入金などの実務的な流れの再確認を』と指導している」(栄光ゼミナール)

 「緊張するのは当たり前。そのこと自体に悩まないこと。また、緊張しているときこそ、基本事項の確認など、反射的にできることをしながら自分のペースを取り戻すように指導している」(サピックス)

 「親は、子どもと同じ土壌を持つこと。不安を感じるのはあなただけではない、でも不安は自然に発生するもの。試練と考えよう。合格は、それを乗り越えたところにあるんだよと互いに理解し合うこと」(希学園)

 「一番いいのは、地方の出張入試を受験すること」(浜学園)

◆入試直前、保護者がやるべきこと

 試験を受けるのは子ども本人。親ができるのは体調管理と精神的なサポートくらいしかなさそうだ。

 「栄養面も含め体調管理」(栄光ゼミナール)

 「保護者のほうが過剰に緊張しないこと。お子さんに感情的に接しない。何ごともプラス思考で対応すること」(サピックス)

 「『おかあさんのためにがんばって』とストレートに言ってみては? 子どもは『合格しておかあさんを喜ばせたい』と思っているものです。意外に納得してがんばるかもしれません」(希学園)

 「点数がよかった模擬テストや難問が見事に解けたときの解答用紙など、成功体験を思い起こさせるものを勉強部屋に貼る。『自分はこんなにできるんだ』と自分に言い聞かせ、恐怖を克服できる環境を整えてあげる」(浜学園)

◆入試直前、保護者がやってはならないこと

 「精神的に追い込まないで。特に、今まで学習してきたことに対し、否定的な発言は避けるようにお願いします」(栄光ゼミナール)

 「マイナス思考にならないこと。一度決めたことを悩まないこと。受験結果については、いつまでも気にしないこと」(サピックス)

 「スランプでも第一志望は変えないこと。子どもの今の成績は、第一志望に合格するためにがんばってきたからこその成績。がんばる目標を失うと、それ以上モチベーションが上がりません」(希学園)

 「マイナス思考の話を絶対にしない。入試直前になっても親の目にはまだ理想からは程遠いと感じるかもしれないが、理想の5割もできていたら良しとするくらいが適当。常に前向きなアドバイスを」(浜学園)

◆取材協力塾(50音順)
・栄光ゼミナール
 http://www.eikoh-seminar.com/
・サピックス小学部(SAPIX)
 http://www.sapientica.com/
・希学園
 http://www.nozomigakuen.co.jp/
・浜学園
 http://www.hamagakuen.co.jp/
《石井栄子》

石井栄子

子育てから、健康、食、教育、留学、政治まで幅広いジャンルで執筆・編集活動を行うフリーライター兼編集者。趣味は登山とヒップホップダンス、英語の勉強。「いつか英語がペラペラに!」を夢に、オンライン英会話で細々と勉強を続けている。最近編集を手掛けた本:『10歳からの図解でわかるSDGs「17の目標」と「自分にできること」』(平本督太郎著 メイツ出版)、『10代から知っておきたいメンタルケア しんどい時の自分の守り方』(増田史著 ナツメ社)『13歳からの著作権 正しく使う・作る・発信するための 「権利」とのつきあい方がわかる本』(久保田裕監修 メイツ出版)ほか多数

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