【入試直前】大手塾に聞く2012年中学受験3/3…直前・本番・試験後の塾の対応

 各塾とも、毎年恒例でオリジナルの受験応援グッズを用意する。仲間と同じ応援グッズを手に、小学生受験生たちは本番に向けモチベーションを高めていく。

教育・受験 受験
受験応援グッズ(栄光ゼミナール)
  • 受験応援グッズ(栄光ゼミナール)
  • 受験応援グッズ(希学園)
  • 受験応援グッズ(浜学園)
 年が明けると、中学受験がいよいよ本番を迎える。入試直前、首都圏・関西圏の中学受験で実績のある大手塾に、2012年の中学受験について聞いた。今回取材に応じてくれたのは、栄光ゼミナール、サピックス小学部、希学園、浜学園の4塾だ。

◆最終通塾日

 1月は年明け早々に入試が始まる。通塾はいつまでなのか。

 「12月22日まで」(浜学園)、「1月29日まで。ただし1月30日、31日は壮行会を実施」(栄光ゼミナール)、「1月29日まで」(サピックス)、「1月31日まで」(希学園)。1月中旬に入試本番を迎える関西圏を中心に展開する浜学園は他塾より早く最終通塾日が設定されており、希学園の首都圏教室では東京・神奈川の入試解禁日の前日まで通塾する。

 ただし、それ以降も「自習室を開放しているので通塾可」(栄光ゼミナール)、「2月5日まで通塾可」(希学園)、「入試直前特訓や前日・当日特訓を実施」(浜学園)」など、学習のリズムがくずれないよう、各塾で工夫されている。

◆受験応援グッズ

 各塾とも、毎年恒例でオリジナルの受験応援グッズを用意する。仲間と同じ応援グッズを手に、小学生受験生たちは本番に向けモチベーションを高めていく。合格鉛筆は定番。お守り代わりのプリントや小冊子には、講師の愛情が込められている。

 栄光ゼミナールは「合格バッジ、受験応援ブック(受験の心得が載った冊子。講師や友だちからの激励寄せ書きが書ける。受験当日にお守り代わりに持って行く生徒が多い)」、サピックスは「合格バッジ、合格鉛筆、合格切符(お守り)」、希学園は激励グッズとして「鉛筆・消しゴム・講師メッセージ付きカイロ・ミニ講義プリント」、浜学園は「科目別の解法の鉄則や本番に向けての心得が書かれたパンフレット、折りたたみ座布団、合格鉛筆、合格カイロ等の合格グッズ」と塾ごとに工夫を凝らしたグッズを配布する。

◆入試前日の塾の対応

 決戦前夜、緊張して眠れない受験生もいるだろう。精神的な不安を解消し元気づけるために、4塾とも「前日に激励電話」をかけている。

 関西勢の希学園、浜学園は「おやすみコール」と呼んでいて、希学園では希望の講師から、浜学園では希望する生徒に複数の講師から激励の電話がかかる。

◆入試当日の塾の対応

 入試当日、受験会場となる学校の門前に塾講師がずらりと並ぶ光景は、もはや受験シーズンの風物詩とも言えそうだ。

 栄光ゼミナールは「試験会場の門前で激励する。ただしご近所の迷惑になるので大人数での激励は控える」、サピックスは「手分けして試験会場に激励に行く」、希学園は「ほぼすべての試験会場に講師・スタッフが出向き激励する。まとまった人数の試験会場では、会場を借りミニ講義を行う」、浜学園は「<1>試験会場での激励、<2>受験会場に入る前、出題可能性のある問題について短時間講座を実施。最後に『合格宣言』を叫び気合いを入れる」という。

◆残念な結果になったとき

 入試が残念な結果となったとき、「そのときこそ、塾講師の本当の出番」とも言われる。いかに子どもを励まし、次へと気持ちを切り替えさせるか。塾講師の手腕が問われるときである。

 「試験期間中は、可能な範囲で塾に来るよう指示している。精神的動揺を抑え、次の試験へと気持ちを切り替えるようメンタルケアをする」(栄光ゼミナール)、「電話をかけ、今後の受験校の相談や、お子様への精神的なフォローをする」(サピックス)、「チューター制をとっており、家庭から結果の連絡があった場合、チューターが迅速に対応。場合によっては塾に呼んでメンタルケアをする」(希学園)、「生徒の希望により、本部の担当者、志望校別の担当講師、担任の講師のいずれかが対応する、アフターケア制度がある」(浜学園)と各塾とも最後までフォローする。

◆受験生へのメッセージ

 最後に、各塾からの受験生へのメッセージを紹介する。

 「今まで学習してきたことは、絶対にプラスになっているはず。努力は必ず成果となって現れると自信を持ってください。学力は12月、1月になってもまだ伸びます。今までの模擬試験で芳しくなかったとしても、最後まであきらめずにがんばりましょう!」(栄光ゼミナール)

 「入試当日に実力を発揮できるよう体調を整え、本番では全力を出し切ってください。今までの皆様の努力が、報われるよう祈念しております」(サピックス)」

 「この学校に合格するんだ、という自信を持って試験会場に乗り込んで行きなさい。そして解答時間いっぱい最後の最後まで見直して、納得いく受験、悔いのない受験を貫徹することです。頑張れ!!」(希学園)

 「受験勉強の最終段階にいる皆さん、もし今解いている問題が難しくて解けなかったら、『ああ、本番だったらどうしよう』と案じるのではなく、『ああ、これが入試の本番でなくて運が良かったな、得をしたな』と思いなさい。そしてその解法を完全にマスターするようにしなさい。最後までそういう方法で勉強すれば、何も怖いものはありません」(浜学園)

 各塾から心強いメッセージをいただいた。入試本番まで残りわずかとなったが、受験生も保護者も、体調管理に気をつけて、悔いのない受験にしていただきたい。

◆取材協力塾(50音順)
・栄光ゼミナール
 http://www.eikoh-seminar.com/
・サピックス小学部(SAPIX)
 http://www.sapientica.com/
・希学園
 http://www.nozomigakuen.co.jp/
・浜学園
 http://www.hamagakuen.co.jp/
《石井栄子》

石井栄子

子育てから、健康、食、教育、留学、政治まで幅広いジャンルで執筆・編集活動を行うフリーライター兼編集者。趣味は登山とヒップホップダンス、英語の勉強。「いつか英語がペラペラに!」を夢に、オンライン英会話で細々と勉強を続けている。最近編集を手掛けた本:『10歳からの図解でわかるSDGs「17の目標」と「自分にできること」』(平本督太郎著 メイツ出版)、『10代から知っておきたいメンタルケア しんどい時の自分の守り方』(増田史著 ナツメ社)『13歳からの著作権 正しく使う・作る・発信するための 「権利」とのつきあい方がわかる本』(久保田裕監修 メイツ出版)ほか多数

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