【e絵本】女の子の大冒険…アンデルセン「雪の女王」

 雪の中、幼なじみを探して奔走する主人公ゲルダ。信念を胸に突っ走るその姿を、初雪降る東京で、筆者は頼もしく読んでいたのはiPhone/iPad用無料アプリ「雪の女王~七つのお話でできているおとぎ話」。

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雪の女王〜七つのお話でできているおとぎ話
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 雪の中、幼なじみを探して奔走する主人公ゲルダ。信念を胸に突っ走るその姿を、初雪降る東京で、筆者は頼もしく読んでいた。

 紹介するのは、モノガタリ文庫より配信中のiPhone/iPad用無料アプリ「雪の女王~七つのお話でできているおとぎ話」。

 言わずと知れた、アンデルセン童話である。本文は7章立て。1章10分ほどで読める長さの、挿絵つき読み物だ。小学校中学年ごろなら、寝る前に1章ずつぐらいがちょうどよいかもしれない。

 ゲルダという女の子が、雪の女王にさらわれた男の子・カイを探して旅をする。家を出て方々を訪ね回るが、なかなか行方がつかめない。途中おいはぎに遭ったりと、危ない場面も。しかし、彼女の内にはいつも「カイを見つけ出す」という、疑うべくもない思いが燃えている。それが自身と周りを突き動かし、ついにはカイの元へと運ぶ…そんな筋書きである。

 出かけていって帰ってくる話は童話の典型で、「雪の女王」もまさにこれだろう。けれど筆者にはこの話、かなり新鮮に映る。だって、冒険するのは勇者でも王子でもなくて、「ただの女の子」なのだから。

 助けを待っているのではなく、一人で決めてずんずん進む女の子。ありのままの強い感情で、ピンチをあっさり切り抜けてしまう女の子。一方で、カイや雪の女王の描写は最小限にとどめられる。

 タイトルこそ「雪の女王」だが、これはまさに、彼女の生き様を語った物語なのだ。現代女性の共感も得られそうなこの作品、女の子たちにぜひ読んでもらいたい。きっと、自分が冒険しているように楽しめると思う。

 2013年にはディズニーが、この童話をもとにしたアニメーション映画を公開予定という。勇ましい彼女がスクリーンに飛び込んだら、一体どう振る舞うだろうか。原作で想像を膨らませておくのも、悪くない。
《てらしまちはる》

てらしまちはる

ワークショッププランナー/コラムニスト/絵本ワークショップ研究者。東京学芸大学個人研究員。2022年3月に単行本『非認知能力をはぐくむ絵本ガイド180』(秀和システム)を刊行。絵本とワークショップをライフワークとしている。アトリエ游主宰。

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