新社会人のための全国一斉労働相談キャンペーン、連合が職場の悩みを解消

日本で働く人たちの雇用と暮らしを守る取り組みを行なっている「日本労働組合総連合会」は、18日〜19日の間、「新社会人のための、全国一斉労働相談キャンペーン」を実施する。

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日本労働組合総連合会 中央アドバイザー・田島恵一氏
  • 日本労働組合総連合会 中央アドバイザー・田島恵一氏
  • 日本労働組合総連合会は6月14日、多くのIT企業が集まる秋葉原駅前にてプロモーションを行なった
  • ホームページでは、いままで寄せられた事例や相談者からの声を公開している
 日本で働く人たちの雇用と暮らしを守る取り組みを行なっている「日本労働組合総連合会」は、18日~19日の間、「新社会人のための、全国一斉労働相談キャンペーン」を実施する。最近特に増えているという、若者が抱える職場でのトラブルを防ぐ取り組みで、期間中は相談窓口の人員を増強させ、電話がつながりやすくなるという。電話番号はフリーダイヤル「0120-154-052」。なお、キャンペーン期間以外でも相談は受け付けている。
 
 今回の取り組みについて、日本労働組合総連合会で中央アドバイザーを務める田島恵一氏に話を聞いた。田島氏は日本労働組合総連合会について、「働いている人達に開かれている組織」だと語る。正社員だけでなく、アルバイトやパート、フリーランスなど、日本国内で働くすべての人間の相談に乗っているからだ。

 日本には「労働基準法」があり、雇用主も労働者も必ず守らなければならない。しかし現在は、この法律がないがしろにされており、特に若者は使い捨てのように働かされている現状があるという。労働基準法では、週に40時間以上働かされたら法律違反だと規定されている。しかし、当たり前のように残業が課せられているのが実際のところだ。景気が悪いせいか、中小企業やベンチャー企業では残業をしなければ経営が回らないという状況があるのかもしれないが、「労働者は立場が弱いため、経営者が残業をしろと言うと断れない人ばかり。しかしこれは、立派な法律違反」である。

 同法では、残業についてもしっかりと定められている。残業をさせる場合には、まず初めに労働者側の代表と労使協定を結んでから、監督所に届け出を提出しなければならない。この工程を経て、初めて残業が認められる。さらに、残業をさせた場合には、25%の割り増し賃金を支払う必要もある。しかし、これらに関しても守られていない場合が多く、「労働者がもっと法律を知って、企業に対して意見を言う必要がある。これは会社を困らせるためでなく、職場環境をよくするために重要なこと。待っていても環境はよくならないので、我々に相談して、いっしょに最善策を考えましょう」と田島氏は呼びかける。

 残業代が支払われないトラブルについて、具体的な事例では、事前に「残業代は支払われない」という誓約書にサインをしてしまったということがあったそうだ。「残業代を支払うのは法律で定められているので、たとえ誓約書を書かされていても、法律違反なので書類は無効になります。日本の労働者は人がよすぎるので、一度約束してしまったから…と泣き寝入りしてしまうパターンが多い」とのこと。

 また、田島氏は、最近耳にする機会が多くなっている「ブラック企業」についても言及。連合が企業を調査する際、就業規則を開示しているかどうかが、ブラック企業か否かを見極めるひとつの判断材料となっているそうだ。法律上、10人以上が働いている会社は就業規則を作り、監督署に届けなければならない。就業規則には「従業員代表から意見を聞く」、「監督署に届け出る」、「従業員に周知させ、常に自由に見られる状態にしておく」という、3つの要件があるが、就業規則のなかには就業時間や残業代、有給などが書かれているため、これを社員に見せない経営者が少なくない。「就業規則を社員に見せてしまうと残業代を支払わなければならないので、わざと隠して開示しない悪質な経営者もいます。これはルール違反なので、おかしいと思ったら企業に掛けあってみるか、それでも改善されないようなら我々に相談してほしい」と言う。

 かつては、「日本で守られていない法律の代表格は道路交通法と労働基準法だ」と語られることも多かった。しかし、道路交通法に関しては、罰則の強化や交通事故の多発などもあり、国民の意識が高まって少しずつ守られ始めているように思う。一方、労働基準法はというと、いまだに軽くみられているところがある。また、おかしいのでは?と悩みを抱えていても、社会に出たばかりの若者では誰にどこから相談すればいいか分からないことが多い。田島氏はそんな時こそ電話してほしいとし、「職場のトラブルを解決するとき、弁護士を立てて企業と争うと考える人が多いが、法定で争うのは最終手段。我々は日頃からさまざまな問題を解決してきているので、声をかけてもらえれば最善のアドバイスができる。考えたり悩んだりする前に、気軽な気持ちで電話をかけてほしい」と語る。連合では、年間17,000件の労働相談対応の実績があり、労働組合に加入していなくても相談可能。本人ではなく家族からの相談も受け付けている。

若者を救え! 連合、全国一斉労働相談キャンペーンを実施

《佐藤隆博@RBB TODAY》

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