高校生たちが会場を魅了、10周年を迎えたパソコン甲子園

 2003年に第1回大会を開催したパソコン甲子園が11月10日と11日に開催された2012年大会で10周年を迎えた。大会の規模は、初回の656から1,770参加者まで成長し、2012年大会は過去最多出場者を記録した。

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プログラミング部門本戦参加者
  • プログラミング部門本戦参加者
  • デジタルコンテンツ部門本戦参加者
  • モバイル部門本戦参加者
  • プログラミング部門の様子
  • プログラミング部門、暫定一位のチームは風船で表示
  • デジタルコンテンツ部門グランプリのチーム「Numeric」
  • デジタルコンテンツ部門グランプリのチーム「Numeric」の作品
  • モバイル部門グランプリのチーム「フレッシュクオリティ」
 2003年に第1回大会を開催したパソコン甲子園が11月10日と11日に開催された2012年大会で10周年を迎えた。大会の規模は、初回の656名から1,770名まで参加者も増え、2012年大会は過去最多出場者を記録した。

 第1回大会より実施されているプログラミング部門は、2人1チームで1台のパソコンを使用し、4時間の制限時間内に難易度の異なる問題の解答プログラムを作成するというもの。出場32チームの解答状況がリアルタイムにWebサイトに表示される攻防戦を制したのは、昨年に続き開成高校のチームだった。グランプリを受賞した開成高校の「stack〜」チームは、競技開始後2時間半で2位に20点差をつけ単独トップに。開成高校「queue進左派連合」、栄光学園「UNAGEEL」、大阪府立大附属高専「Ryu☆年」、筑波大附属駒場高校「訴訟.begin()」の2位争いに注目が集まった。

 プログラム部門の準グランプリを開成高校の「queue進左派連合」が受賞し、第3位には栄光学園の「UNAGEEL」が入った。審査員特別賞の矢沢久雄賞を受賞したのは筑波大附属駒場高校「訴訟.begin()」だった。

 与えられたテーマに基づきWebブラウザで閲覧できる動画・静止画・音楽などの作品を評価するデジタルコンテンツ部門には、11校から12チームが本戦に参加。作品の紹介とともに、作品に込めた思いや主張を7分間のプレゼンテーションで表現するのも同部門の特徴だ。プレゼンテーションでは、企画力、表現力、ユニークな発想力、芸術力などが審査員に評価されるとともに、来場者にとっては作品の企画側をみることのできる興味深い内容となった。

 「スポーツ」をテーマに開催されたデジタルコンテンツ部門のグランプリに輝いたのは、スカイプで通話しながら作品を作り上げたという沖縄高専のチーム「Numeric」。走り高跳びでライバルと競い合う過程で芽生える友情を描いたストーリーと、色使い、作品の奥行きなどが高く評価された。2011年のパソコン甲子園でも同部門で本戦に参加した久松航平さんと、今回が最初で最後の参加となる3年生の正木彩花さんのプレゼンテーションが来場者を引きつけた。

 準グランプリは愛工大名電のチーム「情報デザイン部」、さまざまな微生物たちのやりとりを表現した作品が評価された。第3位に入ったのは、静岡県立伊東高等学校城ヶ崎分校のチーム「アレックス」。ホラーアニメのようなモンスターが登場する作品を提出した川合清香さんと丸山彩音さんは、初めて試みた映像作品をわずか1か月で仕上げたという。ホラー感とモンスターのかわいさといった独特な世界観が審査員に評価された。

 モバイル部門は、与えられた「スポーツ」というテーマに基づきAndroid搭載スマートフォンで起動できるアプリケーションを制作する部門。本戦には8チームが出場し、作品の紹介を含めたプレゼンテーションと、各チームのブースにおけるデモセッションにより評価された。モバイル部門は、来場者が投票できる唯一の部門としても特徴的で、各チームはブースにおけるアプリ紹介にも力を入れた。

 グランプリを獲得したのは、沖縄高専の「フレッシュクオリティ」チームが開発したアプリ「RUN RUN RUN」。楽しく続けられ、無理のないランニングをサポートするアプリを目指した同チームは、音を使って初心者から上級者までのランナーをサポートするアプリを開発。走った結果を記録し、アバターを成長させるなどといったゲーミフィケーション要素に加え、SNSによる共有なども可能にする完成度の高さが評価された。

 準グランプリは、富山工業高校のチーム「T-skynet」が開発したアプリ「Response timer」が受賞。点灯するボタンをできるだけ早く押すという一見シンプルなゲームだが、結果をスマートフォンで記録したり、スマートフォン上でも楽しめるようにしたりと、アプリとしての要素を組み込んだ。第3位に入った久留米高専のチーム「くるメン!!」は、「Dash for 奪取」というアプリを開発。仮想マップ上をユーザーが移動し、端末を振ることで陣地を占領するという陣地争奪ゲーム。GPSを活用することで、世界中どこでも楽しめる内容となっていることが評価された。

 デジタルコンテンツ部門とモバイル部門においては、チームごとのプレゼンテーションやデモセッションが来場者を魅了した。制作者の声を聞くこともでき、アプリを実際にダウンロードして体験することができるのも大きな魅力だ。モバイル部門では、審査員の遠藤諭氏や林信行氏が実際に走りながら「Dash for 奪取」を評価していたことも印象的だ。

 すべての部門において、スキルの高さに驚かされた上、高校生のプレゼンテーション能力にも魅了された。パソコン甲子園の10周年にふさわしい内容であったとともに、2013年が楽しみな大会となった。
《湯浅大資》

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