授業支援ツール「Clica」が可能にする学生主体型授業の可能性

 デジタル・ナレッジは、11月にリリースしたクリッカー「Clica(クリカ)」の活用教育研究会を3月25日に開催。学生参加型の双方向授業を可能にするClicaを用いた事例が発表され、研究会参加者と活用方法のノウハウを共有した。

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Clica活用の様子
  • Clica活用の様子
  • 九州歯科大学の中原孝洋助教授
  • 関西大学の山本敏幸教授
  • Clicaの活用教育研究会の様子
  • Clica、スマートフォンで回答するアンケート
  • Clica、講義参加者の回答
  • Clica、コメント投稿例
 デジタル・ナレッジは、11月にリリースしたクリッカー「Clica(クリカ)」の活用教育研究会を3月25日に開催。学生参加型の双方向授業を可能にするClicaを用いた事例が発表され、研究会参加者と活用方法のノウハウを共有した。

 Clicaとは、講師と学習者の双方法コミュニケーションを可能にする授業支援ツール。講師は、講義中に学習者アンケートを実施しリアルタイムで集計することができるため、学習者の意見や考えを把握することができ、効果的に授業を進めることができるという。学習者はアンケートに回答したり、意見を投稿したりすることができ、声に出さなくても自分の意見を共有することが可能になる。Clicaの活用により、従来の授業方法を大きく変更することなく講義への能動的な参加を促し、双方向授業を実現することがClicaの特徴だろう。

 講義中に学生にクリックアンケートの回答を求めるシステムは、米国の多くの大学などですでに導入されているが、ひとりひとりにクリック用の専用端末と集計用のソフトが必要であったりと、導入にコストが発生した。Clicaは、多くの学習者がすでに所有するスマートフォンを活用することで、無料での利用を可能にしている。

 今回の研究会にて活用例を発表した関西大学の山本敏幸教授は、大学内の講義だけでなく、海外の学会発表でも利用しているという。Clicaを活用することにより、手を挙げて発言することのない学生でもコメントを投稿することができるため、授業内のコミュニケーションは活発化したと話す。

 また、Clicaは講師と学習者の間のコミュニケーションツールとしてだけでなく、学習者同士がお互いの意見を共有し共感する上でも効果的だという。学習者が投稿するコメントは、各自スマートフォンの画面で確認することが可能なため、学習者同士がお互いの投稿に賛同したり、コメントを残したりすることができる。

 九州歯科大学での実践事例を発表した中原孝洋助教授は、Clicaの導入に伴い講義の行い方を変えたと話す。これまでは、講師が一方的に学生に情報を提供することで講義が成り立っており、国家試験対策などに注力できていな部分があったという。Clicaを導入することで、試験に関連する問題を出題し、リアルタイムに解答を得ることで、学生の理解度を把握することができる。また、学生も自分の解答が正解だったかどうか、クラス内で何人が正解した問題を間違えたかなどを把握することができるため、学習に対するモチベーションの向上につながっているという。

 山本氏と中原氏の活用事例で明らかになったのは、講義形式や教科、学生のニーズなどに合わせてClicaの活用方法を変えることが必要だということだろう。Clicaのアンケート回答・集計機能とコメント投稿機能は、学生との双方向授業を実現するには効果的な学習支援ツールであることは間違いない。今まではなかった学生の反応を把握することも、今までは発言することのなかった学生が自らの考えを共有することも、講師・学生ともに大きなメリットとなるだろう。

 その一方で、Clicaを含め教育現場でのICT導入は、講師や教員がいかに効果的に活用できるかが大きく左右する。Clicaを授業で活用する方法は多々あるが、学生の学びにとってもっとも効果的な方法で活用できる事例を活用教育研究会で模索することで、双方向授業の活性化によるよりよい学習環境の実現に期待したい。
《湯浅大資》

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