英語学習で右脳拡大、継続すれば脳発達を維持

 英語を学習することで、右脳の一部が英語力アップに相関して大きくなり、脳局所間の連絡も強化されることが、国立精神・神経医療研究センターの研究で明らかになった。

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学習継続と脳構築の関係
  • 学習継続と脳構築の関係
  • 英語語彙学習による成績と脳構築の変化(学習直後と1年後)
  • 局所灰白質容積と局所間連結の変化の関係性
  • 日本人成人で英語語彙力と相関して発達している脳構築
 英語を学習することで、右脳の一部が英語力アップに相関して大きくなり、脳局所間の連絡も強化されることが、国立精神・神経医療研究センターの研究で明らかになった。自主的に学習を続けた人は脳発達が維持されたが、止めてしまった人は前の状態に戻っていたという。

 MRIを用いた従来の学習研究では、脳の局所あるいは局所間連絡のいずれか一方しか評価しておらず、学習による能力の向上と脳の関係をより包括的に評価できる手法の開発が望まれていた。

 国立精神・神経医療研究センター・先進脳画像研究部の花川隆部長は、国際電気通信基礎技術研究所の細田千尋研究員らと共同で複数の磁気共鳴画像を組み合わせた新しい脳画像法を開発。日本人成人24人が、4か月間の英語語彙学習プログラムに参加し、脳構築の変化を計測したところ、言語との関わりが乏しいと考えられていた右半球前頭葉の一部が英語力アップに相関して大きくなるとともに、脳局所間の連絡も強化されていることがわかった。

 1年後に再測定を実施したところ、自主的に学習を続けた人だけが学習プログラムによる脳発達を維持し、止めてしまった人の脳は学習プログラム前の状態に戻っていた。このことから、学習に合わせて強化された神経回路は、学習を怠ると失われてしまうことが明らかに。さらに137人における検討でも、英語語彙能力が高いほどこれらの部位が発達していることが確認できたという。

 研究の成果は、2013年8月21日(米国東部時間)発行の米国神経科学学会誌「The Journal of Neuroscience」に掲載されている。今後は、失語症のリハビリテーション法開発支援など医療の向上にも貢献することが期待される。
《工藤めぐみ》

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