【MOOCs-3/3】ビジネスモデルと国内大学の動き、そしてMOOCsへの期待

 大学レベルの講義を誰でも無料で受講できるオンラインコース「MOOCs(ムークス)」。第3回ではMOOCsが無償の理由や国内大学の参加状況、MOOCsへの期待について述べる。

教育ICT その他
Coursera
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  • Udacity
  • edX
◆国内大学の動き

 日本国内においては、東京大学がいち早く2013年2月にCourseraとの提携を発表した。東京大学は2013年9月から村山斉教授による「ビッグバンからダークエネルギーまで(From the Big Bang to Dark Energy)」を、また10月から藤原帰一教授による「戦争と平和の条件(Conditions of War and Peace)」を公開する予定である。

 また、京都大学は日本で最初にedXのコンソーシアムに参加し、2014年春から上杉志成教授による「生命の化学:Chemistry of Life」を公開する予定である。両大学に引き続く日本の大学によるMOOCs公開が期待される。

◆MOOCsがもたらす教育の変化への期待

 MOOCsは大学だけでなく、社会においても広がりを見せつつある。企業や個人もMOOCsを開設することが可能であり、たとえば企業が、MOOCsを企業内研修やオンライン・インターンのような形で、企業内教育や優秀な社員の獲得を目的に開講することも可能だろう。米国Yahoo社では、既存のCourseraのコースを社内の専門家育成に用いることを発表している。今後、MOOCsのようなオンライン教育をさまざまな企業や団体が行うようになるだろう。

 絶え間なく変化する現代社会においては、人は学校や大学を卒業した後も、自らの専門性を高めキャリアを形成するために一生涯学び続けることとなる。このような社会において、MOOCsをはじめとするオンライン教育は、これからの社会において教育を担う重要なインフラとなり、誰もが自由に「学ぶこと」と同時に「教えること」にも携わる社会になっていくことが期待される。

【筆者プロフィール】重田勝介
 北海道大学情報基盤センターメディア教育研究部門准教授。大阪大学大学院卒(博士 人間科学)。東京大学助教、UCバークレー客員研究員を経て現職。研究分野は教育工学・オープンエデュケーション。大学によるオープンエデュケーション事業に携わりながら、教育のオープン化と大学教育の関わりと可能性についての研究を進めている。著書に「職場学習の探求」(日本生産性出版・共著)、「デジタル教材の教育学」(東京大学出版会・共著)など。
《重田勝介》

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