名古屋大などの研究グループが100億年前の銀河の様子をとらえる

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ハワイにある「すばる望遠鏡」(提供・すばる望遠鏡)
  • ハワイにある「すばる望遠鏡」(提供・すばる望遠鏡)
  • 多天体分光器 FMOS のファイバー位置制御装置Echidna(提供・すばる望遠鏡)
  • FMOSで得られたスペクトルイメージの一部
  • 銀河の星質量と星形成率の関係
 名古屋大学は、すばる望遠鏡に搭載されたファイバー多天体分光器FMOSを用いて深宇宙を観測し、100億年前の銀河系で新しい星々が活発に形成されている様子をとらえたことを発表した。研究結果から宇宙の若いころの姿がどのようなものだったかという問いに迫るものという。

 研究は、名古屋大学大学院理学研究科の柏野大地氏(博士課程前期課程2年)、杉山直教授、東京大学カブリ数物連携宇宙研究機構のジョン・シルバーマン特任助教、国立天文台などのメンバーからなる国際研究チームによるもの。すばる望遠鏡はアメリカ・ハワイのマウナケア山頂にあり、自然科学研究機構国立天文台ハワイ観測所が運営する口径8.2メートルの光学赤外線望遠鏡。

 銀河の星形成率は、星を作る材料となる物質の総質量にともなって変化し、宇宙初期から現在にかけて星成形率が次第に低下していることが知られている。この関係はこれまで近辺の宇宙でしか確かめられなかった。しかし、FMOSの観測結果から宇宙初期の銀河でも星形成率は銀河の質量にともなって増加し、効率が現在よりも20倍以上高かった。宇宙の歴史のその時々で銀河の星質量によって星形成率が増加している様子が「赤方偏移1.6」(約100億年前)まで示唆された。

 今回、100億年前の星々の形成のほか、大質量銀河を取り巻くガスは重元素やダスト(星間個体微粒子)を豊富に含んでいることが確かめられた。これは大質量銀河がこの時代にすでに十分に成熟していることを示唆し、初期の宇宙がわれわれの住む現在の宇宙にどのように変化してきたかという謎に迫ることができる。

 研究チームは、すばる望遠鏡に搭載されたファイバー多天体分光器FMOSで1,000個以上の遠方銀河を観測し、100億年前の宇宙の地図を作るプロジェクトを進行。近傍の宇宙に存在する成長した重い銀河団のような銀河の集まりが宇宙の初期にあったという問いに対する答えを見つけることが期待されるという。

 また、研究成果の一部は11月1日に発行されたアメリカの学術雑誌「アストロフィジカル・ジャーナル・レターズ」に掲載された。
《田中志実》

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