広尾学園が中学生を対象に英語の科学実験講座を展開、講師は東大研究者

 広尾学園は、東京大学に在籍する海外研究員を講師に英語で行う中学生対象の科学実験講座を実施。東大研究者のもと、次世代の低コスト太陽電池として注目される「色素増感太陽電池」に関する最先端の科学実験を中学生が行い、英語で実験結果を発表した。

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実験内容を説明するリカルド・レストレポ氏
  • 実験内容を説明するリカルド・レストレポ氏
  • グループにアドバイスするスバシニ・ラジ・クマール氏
  • 医進・サイエンスコースに在籍する高校生が実験方法を教える
  • レストレポ氏も実験方法のアドバイス
  • 個別の質問にも対応するレストレポ氏
  • 文献調査では、端末を使って情報を共有
  • 論文の内容について説明するクマール氏
  • 作成した色素増感太陽電池の効果をグループで調査
 広尾学園は、東京大学に在籍する海外研究員を講師に英語で行う中学生対象の科学実験講座を実施。東大研究者のもと、次世代の低コスト太陽電池として注目される「色素増感太陽電池」に関する最先端の科学実験を中学生が行い、英語で実験結果を発表した。

 教育ICT機器の先進的導入で注目を集める広尾学園は、英語と科学の教育においても力を入れている。同校が中高生に与えている学習環境では、ICT機器や英語をひとつのツールとして捉え、それらを使いこなした上で得た新たな発見を共有する能力が求められている。

 今回実施された「広尾学園サイエンスプログラム」には、次世代型太陽電池として注目されている「色素増感太陽電池」の研究に携わる東大の研究員リカルド・レストレポ氏とのスバシニ・ラジ・クマール氏が講師として参加。世界レベルの最先端科学を知るためには英語でのコミュニケーション・文献調査が必要不可欠だとする広尾学園らしい高度な内容だった。

 講座の内容は、科学実験を行い、実験の概要をサポートする英語の論文を読み解き、実験の結果を英語でプレゼンテーションするというもの。科学実験における経験も少なく、英語のみでの学習経験も少ない中学生に対し、広尾学園が用意した環境も興味深い。約20名の中学生が6つのグループに分けられ、それぞれに英語を母国語とした教員が配置される。加えて、科学実験の経験が豊富な同校の医進・サイエンスコースに在籍する高校生がアシスタントとして各グループをサポートした。

 正しく実験を行うスキル、英語の専門論文を読み解く能力、プレゼンテーションのスライド作成および発表と、限られた時間の中で多くが求められる講座のため、講師のレストレポ氏とクマール氏は各グループを巡回しながら適格なアドバイスを英語で行う。生徒たちは、英語のスピードも落とさない講師の問いかけやアドバイスに対応しながらも、限られた時間内に作業を終わらせていた。

 グループの編成も興味深い。医進・サイエンスコースに在籍する高校生と外国人教員とで英語で情報を共有しながら、受講者の中学生を導いていくのだ。実験の行い方は高校生に任せ、中学生への伝え方を試行錯誤する教員の姿が新鮮であったとともに、実験経験の多い高校生が中学生をリードする姿が印象的だった。

 実験では「色素増感太陽電池」を実際に作成し、どの「色素」がもっとも効果的なのかを分析していた。その後実験内容を英語の論文でサポートし、プレゼンテーションにおいては、与えられた研究テーマに対する答えと、技術の今後の活用方法が求められた。プレゼンテーション後にクマール氏は、「通常このスピード感で研究が行われることはまずない、それでも仮説を立てるところから発表までのすべてのステップを今回の講座でみなさんは体験した」と講座の意義を話した。

 受講者の中学生たちは、約5時間に渡り行われた講座において集中を切らす暇も無かっただろう。実験からプレゼンテーション資料の作成までのすべてが慣れない英語で行われ、所々コメントされる講師のアドバイスもすべてネイティブレベル。教員や同じグループの生徒にも英語でコミュニケーションを図り、アドバイス役である先輩高校生も英語で助言する。それでも実験、文献調査、発表という過程を時間内にクリアしたことは、今後の自信となるだろう。

 学内の教員や先輩が協力し、「科学的研究とはこのように行われる」という一連のプロセスを中学生という早い段階で体験させることで、中学生たちは新たな伸びしろと自らの可能性を体感し、今後に生かしていくのではないだろうか。

 また、同様に印象的であったのは、受講生である中学生、英語を母国語とする教員、先輩科学者である高校生たちが各グループにおいて成し遂げたこと。年齢や専門性など関係なく、各ジャンルのプロ同士が協力してひとつのプロダクトを製作したことが、講座に参加した中学生たちにとって大きな影響を与えたのではないだろうか。
《湯浅大資》

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