【高校受験2015】都立トップ校対策とグループ作成問題…SAPIX中学部

 2015年の都立高校入試はどうなるのか。また受験対策はどのようにすればよいのか。難関高校受験指導で定評のあるSAPIX(サピックス)中学部に聞いた。

教育・受験 受験
SAPIX中学部 教育情報センター 次長の高橋淳氏
  • SAPIX中学部 教育情報センター 次長の高橋淳氏
  • SAPIX中学部制作の「東京都立高校 入試予想問題集」
  • SAPIX中学部、授業風景
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 東京都には全国でも有数の私立名門校が多数あるなかで、昨今、都立高校の人気が高まっている。2015年の都立高校入試はどうなるのか。また受験対策はどのようにすればよいのか。難関高校受験指導で定評のあるSAPIX(サピックス)中学部に聞いた。

 SAPIX中学部は東京、神奈川、千葉、埼玉に24校、兵庫県に1校の計25校を展開している進学塾だ。首都圏では特に開成、筑駒、学芸大附属、早慶、都立日比谷、都立西といった難関校に多くの合格者を輩出している。取材に応じてくれたのは、SAPIX中学部 教育情報センター 次長の高橋淳氏だ。

◆都立高校人気上昇の背景

 高橋氏は都立高校をめぐる状況の変化を「近年の上位都立高校は、目覚ましい大学合格実績をあげてきています」と説明する。ここ数年では、開成や国立大附属に合格しながらも、都立の日比谷や西に進学する生徒が現れるほどの人気ぶりだという。

 その背景は、2001年石原都知事の「都立復権スローガン」までさかのぼることができる。この取組みから、都立高校の進学指導重点校制度が生まれ、現在は、日比谷、戸山、西、八王子東、青山、国立、立川の7校が指定されており、生徒の学力アップや大学進学の強化が行われている。また、2014年にはグループ作成問題が導入されるなど、改革の取組みは現在も続いている。

 その結果、いまや都立の上位校は私立の名門校をしのぐ人気となり、希望どおりの私立受験が叶わなかった生徒が行くような学校ではなくなっている。

◆グループ作成問題と2015年入試問題の傾向

 2015年の入試を語る上でグループ作成問題は外せないキーワードだ。グループ作成問題とは、2014年に導入されたもので、15校を進学指導重点校、進学重視型単位制高校、併設型高校(中高一貫教育校)の3つのグループに分け、それぞれのグループで作成した同じ問題で入試を行う制度だ。理科と社会、英語のリスニングは他の都立高校と共通の問題で、グループ作成問題は国語、数学、英語(リスニングを除く)となる。

 さらに、進学指導重点校グループでは、学校ごとの特色を出したり、多様化に対応したりするため、各科目につき大問一つは、学校ごとの自校作成問題との差し替えも許されている。ちなみに、2014年の入試では、日比谷は英数国3科目で、西は数学で自校作成問題への差し替えを行った。

 このような入試制度の中、指定校の問題の難度が上がり、選考基準も学力検査と調査書の比率が7:3となるなど、新しい制度での受験対策の重要性が増してきているという(高橋氏)。以前の都立高校は、学力検査の得点では差がつかず内申点が合否を左右することがあったが、上位校ではそれが通用しない。2015年の入試問題でも、記述が多く、総合力が問われる学力検査試験になると予想されている。個々の問題の予想は難しいが、SAPIXでは独自に「東京都立高校 入試予想問題集」を作成して対策にあてている。この問題集は、進学指導重点校をはじめ難関都立高を徹底分析した内容になっているという。

 なお、推薦を考えている場合でも、小論文や作文対策には手が抜けない。論述問題も、大人でも悩むようなテーマが出題される。中には小論文といいながら、設問が設けられ、正解が存在するようなものもあるという。

◆トップ校の倍率は横ばい

 倍率の傾向はどうだろうか。高橋氏によれば「トップ校の倍率は、実はそれほど変化がありません。難度が高いため受験できる生徒も限られるからでしょう。その分、それに次ぐ難度の高校の倍率が上がる傾向が見られます」とのことだ。

 男女別に見ると、男子では日比谷、西が、女子では戸山、青山などが人気だという。女子私立校は中高一貫校が多く、併願できる高校が少ないため、女子の上位層は無理のない都立受験をする傾向があるそうだ。

 ただし倍率だけで難易度は判断できない。たとえば日比谷は、受験の辞退者数が都立高校でもっとも多く、本当の人気と比べると、実質倍率は下がってしまう。日比谷で辞退者が多いのは、開成、慶應など私立トップ校や国立大附属高などとの併願者が多いためだという。私立や国立のトップ校と同じレベルの選択肢に、都立の上位校が認識されているわけだ。

 また、都立高校人気の理由の一つに、私立トップ校は中高一貫や附属・系列中学を持つ学校が多いため、高校から合流するより、全員が高校から同じ条件でゼロスタートとなる都立を選ぶ受験生が多いということもあるとのことだ(高橋氏)。
《編集部》

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