大日本印刷、東京大学附属図書館蔵書をデジタル化

 大日本印刷(DNP)は2月16日、東京大学と共同で開発した高速ブックスキャナーを利用して、東京大学附属図書館蔵書のデジタル化作業の試験運用を開始すると発表した。

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開発した高速ブックスキャナー
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 大日本印刷(DNP)は2月16日、東京大学と共同で開発した高速ブックスキャナーを利用して、東京大学附属図書館蔵書のデジタル化作業の試験運用を開始すると発表した。貴重な蔵書や資料を傷つけることなく、効率的にデジタル化する手法を確立するという。

 電子書籍が普及するなか、大学図書館では、主に特殊コレクションなどの貴重な資料のデジタル化とWebサイトでの公開は行われているが、所蔵する書籍のデジタル化については、作業や処理の時間がかかることなどから、なかなか進んでいないという。書籍を分解・裁断せず冊子体のままデジタル化するには、文字や絵が歪まないように1ページずつ手でめくって平らにしてから撮影するため、読み取りに時間がかかるうえ、資料を破損させる可能性が高いことが課題となっていた。

 DNPは紙の本から電子書籍を制作するノウハウを持ち、2010年より東京大学の石川正俊教授・渡辺義浩講師の研究チームと共同で、これらの課題を解決する高速ブックスキャナーの開発を進めている。2012年には、機械が高速にページをめくる機能や歪んだ画像を補正する機能を備え、冊子体のまま高速スキャンできるようになった。

 高速ブックスキャナーは、1分間に250ページの速さで書籍などを冊子体のまま1ページずつめくりながら撮影し、画像データとして保存。この画像データの文字を光学文字認識(OCR)処理によってテキスト化し、検索可能なデータとして活用する。デジタル化する蔵書は著作権が切れており、東京大学に過去所属した教員の著作物を主な対象としている。

 今後、DNPでは高速ブックスキャナーの運用ノウハウを蓄積し、書籍のデジタル化から電子書籍などの制作まで一貫したサービスを提供して、2017年度までに10億円の売上を目指すという。
《工藤めぐみ》

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