アイデアを形にする力を身につける、Tech Kids School発表会

 小学生向けプログラミング教育事業を行うCA Tech Kids主催の「Tech Kids School」の生徒作品発表会が3月29日、東京と大阪で開催された。リセマムでは、大阪会場のようすを取材した。

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展示会場で他の生徒の作品を遊ぶ生徒
  • 展示会場で他の生徒の作品を遊ぶ生徒
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  • 大阪支社長黒川広貴氏による挨拶
  • 発表会場のようす
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 小学生向けプログラミング教育事業を行うCA Tech Kids主催の「Tech Kids School」の生徒作品発表会が3月29日、東京と大阪で開催された。リセマムでは、大阪会場のようすを取材した。

 CA Tech Kidsは、子たちにプログラミングを通し「自分が日頃考え、アイデアをカタチにする力を身に着け」、「作品を作って終わり、という自己満足で終えるのではなく、世の中にはたらきかけることができるような人材の創造を目指す」という理念を掲げ活動をしてきたという。

 現在は、小学生向けに短期間でデジタルのモノづくりの楽しさを学ぶプログラミングワークショップ「Tech Kids CAMP」と、本格的かつ継続的にプログラミングを学ぶプログラミングスクール「Tech Kids School」を開講している。ほかにも、公教育へのプログラミング教育推進のために、公立小学校へ出張授業を行ったり、地方自治体との協働も行ってきた。

 Tech Kids Schoolは現在東京、大阪、沖縄の3拠点で開講されており、総勢150名の小学生が週1回もしくは隔週にて、1回約2時間のプログラミングを学んでいる。内容は、初心者でも手軽に学べる「Scratch」を使ったコースや、スマートフォンのアプリを作成するコース、Webブラウザ上で動くアプリケーションを作成するコースなど。スクールに通っている9割の子どもたちは未経験でスタートしているが、すでに世の中に作品をリリースしている子もいるそうだ。

 CA Tech Kids大阪支社長 黒川広貴氏によると、発表会の狙いは「自分の作品を発表することで、見てくれた人から作品の評価、コメントなどが得られ、子どもたちの次への創作意欲につながる」ことに期待して、とのこと。インプットとアウトプットを繰り返すことで、子供たちを成長させていく狙いがあるようだ。

 この日は、黒川氏の挨拶ののち、生徒たちがScratchゲーム開発コース、Webアプリ開発コース、iPhoneアプリ開発コースの順で発表を行った。

 「Scratch」は、米国マサチューセッツ工科大学で開発された学習用プログラミング言語である。命令ブロックを繋げるだけで簡単に開発ができるため、楽しくプログラミングの基礎を学ぶことができる。Scratchゲーム開発コースの生徒からは、すごろくゲームや脱出ゲームが発表されたが、ゲームの完成度が高く、大人も顔負けの出来であった。

 Webアプリ開発コースは、HTML、CSS、JavaScriptなどのプログラミング言語を用いて、Webブラウザ上で動作するアプリを開発するコースだ。ここでは自分のホームページを作って発表する生徒や、クリックを連打した数に応じて反応が変わるアクションゲーム、食材を選び、調理法を選ぶとレシピが表示されるといった特徴的なWebアプリを作成している生徒がいた。どの作品も生徒たちの柔軟な発想によって見た目の工夫も施されており、楽しめる内容だった。

 iPhoneアプリ開発コースは、「Xcode」というアップル社公式の開発ソフトを用いてiPhone上で動作するアプリを開発するコース。Xcodeではアプリ上のボタンや画像などのレイアウトが感覚的に行うことができ、機能を加える際にObjective-Cというプログラミング言語を使用して開発をしていく。生徒たちの発表作品には、中学受験のために計算力を上げる4桁どうしの四則演算の問題をランダムに作成し、制限時間内に答えるアプリや、ゲーム画面に表示されている爆弾をスワイプし鳥にぶつけるといったスマートフォンならではの機能を使ったゲームを開発してる生徒がいた。

 発表をしている子どもたちはしっかりと自分が作った作品を発表し、司会からの質問に受け答えしていた。CA Tech Kidsに通っている生徒たちはただプログラミングを学んでいるだけではなく、人前で話す方法やプレゼンテーションなどを総合的に学んでいるのだと感じた。

 発表会中、別室では生徒たちが作った作品をすべて展示し、休憩時間などには生徒が保護者様と一緒に作品で遊んでいる光景も見られた。保護者からは「子どもたちが家に帰ってきてからもパソコンとにらめっこをし、作品を開発している」「スクールがある週末が待ち遠しい、と家で言っている」など、満足している声を聞くことができた。

 また、なぜ子どもをスクールに通わせているかと質問したところ、「子どもがもともとゲームを好きだったので、ゲームをする側からゲームを作る側になってみてはどうだろうか提案したところ、子どもが興味をもった」という回答や、「友達が通っていたため」「親として興味があったから」などの理由があげられた。

 また、世界の動向をいち早く察知し、プログラミングがこれから必要になるスキルであると考え、子どもに学ばせている保護者もいるようだった。プログラミングは、保護者の中でも認知度が上がってきており、IT教育が日本でも重要なキーワードになることが予想される。

 発表されたのは完成度の高い作品ばかりで、「小学生がアプリをリリースするのが珍しい時代はそろそろ終わりなのかもしれない」、そう感じる生徒作品発表会であった。

 CA Tech Kidsは現在、スクールの生徒を随時募集している。4月からは新しく「ライトクラス」が開講され、第2・4週の隔週で1回につき2時間、プログラミングを学ぶことができる。
《片山幸弥》

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