Imagine Cup 2015日本予選大会…風を見せる作品が制する

 4月11日、Microsoftが主催する学生向けのITコンテスト「Imagine Cup 2015 日本予選大会」が羽田空港国際線旅客ターミナル4階のTIAT SKY HALLで開催された。リセマムでは、本記事に続き4月14日に各作品のプレゼン内容の詳細を紹介する予定。

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最優秀賞(日本代表)に輝いたチーム「すくえあ」と、伊藤かつら大会委員長
  • 最優秀賞(日本代表)に輝いたチーム「すくえあ」と、伊藤かつら大会委員長
  • ゲーム部門の部門賞、チーム「絆」の作品「Fleeting Light」
  • イノベーション部門の部門賞&最優秀賞、チーム「すくえあ」の作品「すくえあ(SCREEN feels AIR.)」
  • ワールドシチズンシップ部門の部門賞、チーム「CHAMPIGNON」の作品「CHILDHOOD」
  • マイクロソフトディベロップメント株式会社 Office 開発統括部プログラムマネージャ 鵜飼佑氏
  • 株式会社ギブリー 取締役COO 新田章太氏
  • ライフイズテック株式会社 代表取締役 水野雄介氏
  • 明治大学 総合数理学部 ネットワークデザイン学科 准教授 秋岡明香氏
 4月11日、Microsoftが主催する学生向けのITコンテスト「Imagine Cup 2015 日本予選大会」が羽田空港国際線旅客ターミナル4階のTIAT SKY HALLで開催された。当日は、電気通信大学 情報誌メディアシステム学専攻大学院生 岸波つばさ氏がMCを務め、多くの学生や一般参加者、報道陣などが集った。

 日本マイクロソフト執行役 デペロッパー エクスペリエンス&エバンジェリズム統括本部長、最終審査員の伊藤かつら氏によると、「Imagine Cupはビル・ゲイツ氏の発案で2003年に始まった、世界最大規模の学生向けのプログラミングコンテスト」だという。同氏によると、12年で110か国、のべ165万人が参加し、2014年だけを見ても、応募数は7,500件と非常に大掛かりな取り組みであることが伺える。

 当日のプログラムは、「ゲーム部門」「イノベーション部門」「ワールドシチズンシップ部門」の各部門で予選を勝ち抜いた3チームずつ、計9チームが10分間のプレゼンテーションを行い、その後、5分間の質疑応答が行なわれた。各々が部門賞と日本代表の座をめぐり競い合った結果、プログラミングによって風圧を視覚化した作品「すくえあ」(イノベーション部門)が部門賞と最優秀賞(日本代表)に輝いた。世界大会は7月27日から31日まで、米国シアトルで開催される予定となっている。

 各部門賞と最優秀賞(日本代表)、受賞者コメントは次のとおり。

◆ゲーム部門 部門賞
作品名「Fleeting Light」
チーム:絆
メンバー:水野沙織、クレメンス・ベルガー、角威希、新宮悠輔 (トライデントコンピュータ専門学校)

 「この企画自体、始まったのが去年の春なのですが、本格的につくり始めたのは締切りの1か月ちょっと前くらいでいろいろ苦労しましたが、このような結果をとれて非常に光栄で、嬉しく思っています。私たちのゲームは1台のタブレットを2人で使い、2人が協力し合わないとステージをクリアできないもの。ゲームを通じて初対面の人でも仲のいい人でも、より仲良くなれます。」

◆ワールドシチズンシップ部門 部門賞
作品名「CHILDFOOD」
チーム:CHAMPIGNON(シャンピニオン)
メンバー:西田惇、高鳥光、佐藤綱祐 (筑波大学)

 「子どもの目線を疑似体験できるこのプロジェクトは、車のように空間を移動するものではなくて、子どもに戻れる、すなわち時間空間を移動するものです。」

◆イノベーション部門 部門賞&最優秀賞(日本代表チーム)
作品名「すくえあ(SCREEN feels AIR.)」
チーム:すくえあ
メンバー:山崎啓太、金子高大、瀧下祥、東山幸弘 (香川高等専門学校)

 「プレゼンはダメダメでしたが、技術とアイデアが評価されたのかなと思っています。『SCREEN feels AIR.』という作品名の通り、風を感じられるものです。」

 各審査員コメントは次の通り。

◆マイクロソフトディベロップメント株式会社 Office 開発統括部プログラムマネージャ 鵜飼佑氏
 「素晴らしい発想とアイデアと、パッションあふれる発表に感動しました。ただ一方で、皆さんにはアイデアも、ものをつくる力もあるのですが、誰がいつ使うのかというのがわからないものが一部ありました。一度作ったら、使ってもらい、フィードバックをもらう、というフローを使って、アイデアをブラッシュアップして良いものをつくっていってほしいと思いました。」

◆株式会社ギブリー 取締役 COO 新田章太氏
 「去年と今年の比較をして、ものを使う、ハードを組み合わせるなど、いろいろ現実世界に関わってくるハードをつくっているチームが非常に多いなという印象を受けました。プログラムが書けなくても、つくれてしまう時代がどんどん迫ってくると思いますので、皆さんのパッションと若い力というのを存分に持っていけば、必ず世界で戦えるものになっていくと思います。」

◆ライフイズテック株式会社 代表取締役 水野雄介氏
 「素晴らしいプレゼンがたくさん見られて良かったです。すくえあの皆さん、おめでとうございます。僕は起業していますが、このような大会によく出ていたことがあり、もちろん負けることもありました。勝ち負けを決めるのは市場なので、僕も負けたときに、絶対に結果を見せてやると思っていました。だから熱意と誇りを持って、みんな継続的に頑張ってほしいなと思います。」

◆明治大学 総合数理学部 ネットワークデザイン学科 准教授 秋岡明香氏
 「今日はすくえあの皆さん、おめでとうございます。Imagine Cupの審査員に今年初めて参加させていただいたのですが、非常に面白かったです。一方で、短い時間でプレゼンテーションするのは難しいことだなと改めて思いました。」

◆産業技術総合研究所 情報技術研究部門 首席研究員 後藤真孝氏
 「Fleeting Lightは、コミュニケーションのツールとして、本当に可能性があるな、素晴らしいなと思いました。PicGatherは楽しいですよね。でも子ども向けということなら、もっともっと自由度が上がればより素晴らしいものがつくれるのかなと感じました。TWIDIVERについては、『世界の歴史に名を残す』という大きいビジョンでゲームをつくってもらえると一段上にいけると思います。

 CHILDFOODは、研究としても素晴らしく、各家庭の中にあれがどのように入っていくのか、現場でどう使われるのかという部分からもう一段高めると、また違う部分からアピールできるのかなと思いました。HackforPlayは、実際に子ども向けのワークショップを開くなどの活動をされているのは素晴らしいことで、プログラミングの深さが伝わってくるようなかたちで見せていくと、より長く評価されると思います。jThirdは、あの世界観を世の中に一番うまく伝えて、世の中に流行らせるにはどうすればいいかという活動が、今後の発展の鍵になってくるのではないでしょうか。

 すくえあは、世界大会で頑張ってください。本当にインパクトがありますし、アプリケーションの面でももっと魅力的にできると思います。P.M.Karaokeは、プロジェクションマッピングを生かしさらに細かいところまで工夫すれば、これはもう真似できないところまでいけるのでは、と思いました。Robographは写真を撮るものはほかにもあって、なかなか厳しいでしょうが、本気で毎日使うともう一段先の世界が見えると思います。」

◆日本マイクロソフト株式会社 エマージングテクノロジー推進部部長兼Microsoft Ventures Tokyo代表 最終審査員 砂金 信一郎氏
 「参加者、学生の皆さまの先生の方々、保護者の皆さま、この会場に足を運んでくださった方々、USTREAMでご覧の皆さま、ありがとうございます。

 Imagine Cupで日本代表チームが優勝することは、日本マイクロソフトとして成し遂げたいことのひとつです。多くの方々がこういう機会があるなら自分もチャレンジしてみようかな、ということに気づいてくれればありがたいなと思います。

 審査員の方も申し上げていた通り、今回の勝ち負けがそのソリューションの良し悪しすべてを決めるわけではありません。今回参加された方々、決勝に残れなかった方も含めて、引き続きImagine Cupエバンジェリストとして世界に向けてチャレンジしようよ、とメッセージを送っていただければと思います。」

 リセマムでは、本記事に続き4月14日に各作品のプレゼン内容の詳細を紹介する予定。
《大倉恭弘》

大倉恭弘

大阪生まれ。美大卒、デザイナー出身のコピーライター。教育、ICT、スポーツなど幅広い分野のインタビュー取材に携わる。プログラミング、コーディングをこなし、4コマ漫画の連載も。企画・編集協力に「ナニワなんでもタイガース」他。趣味はウクレレ、Sonic Piを用いた楽曲制作、スケッチ、GIFアニメ制作。

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