【プログラミング教育4】遊びと学びは一体…CANVAS石戸奈々子氏

 第4回の本記事では、11年前から子ども達にプログラミングのワークショップを提供し、ご自身も母親でいらっしゃるNPO法人CANVAS(キャンバス)理事長の石戸奈々子氏のインタビューをお届けする。

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石戸奈々子氏
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◆選択肢を提示、選ぶのは子ども自身

--石戸さんのお子さんはまだ小さいそうですが、いつ頃からプログラミングを学ばせようという予定はありますか。

 「何歳から」というのはないですね。プログラミングに限らず、どのタイミングで興味をもつかは子どもによって違うので、「興味をもったときがそのタイミング」だと思っています。子どもは、折り紙も、粘土も、クレヨンも、紙も、タブレットも、スマートフォンも、すべて同じように触れながら日々の生活を送っています。タブレットにプログラミングアプリもインストールしてありますが、子どもが触っている中で夢中になったらどんどんやってみればいい、というくらいに私自身は思っています。

 「やらせよう」っていうよりは「こういうものもあるよ」という選択肢を提示して、選ぶのは子ども自身。子どもがそれを楽しんでいるようなら、次の経験ができるものを提供してあげたいと思っています。

 しかし、いまの時代は、コンピュータがあらゆるモノ、分野、環境に溶け込み、定着しています。仕事にも勉強にも買い物にもコンピュータやネットが入ってきます。ご飯を炊くときも、選択をするときも、テレビを見るときも。生活・文化・経済のあらゆる場面で、私たちの生活をコンピュータが支えていて、そしてそれらのしくみはすべて、プログラミングによって生まれています。ですので、その基礎メカニズムを習得することは、車など他の道具とは重要性が格段に異なります。国語・算数と同様、プログラミングはどのような人にも必要な基礎能力だと思います。コンピュータに関する原理的な理解があるかないかによって、社会のありとあらゆる場面における対処能力が、大きく変わってくるはずです。だからこそPEGを通じて、すべての子ども達に学習の機会を提供できればと願っています。

--最後に、これから子どもにプログラミング学習を受けさせようと考えている保護者の皆さんへメッセージをお願いします。

 今の常識が10年後の非常識になっているかもしれないほど、子ども達は変化の激しい時代を生きていきます。そんな時代に大事な力は「生涯にわたり学び続ける力」。学び続ける力があれば、時代がどう変化しようと柔軟に対応することができます。CANVASの活動に参加している子ども達も、自分たちがやりたいことを表現するための手段として、プログラミングを学んでいます。学ぶ意味を見い出せば、子ども達は進んで学びます。プログラミングを通じて「自ら学ぶことを学んでいる」ともいえると思います。親として子どもがプログラミングを主体的に楽しめる方法を提供していく中で、「生涯にわたって学んでいける土台がつくれるといいな」と思います。

--ありがとうございました。

 第5回では、中学生・高校生のための本格的なプログラミングスクールを全国で開校している「Life is Tech!」代表の水野雄介氏のインタビューをお届けする。
《柏木由美子》

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