【子どものアレルギー2】この症状はアレルギー?食物以外で起こる反応まとめ

 山芋で口の周りが痒くなったり、メロンを食べて口の中がピリピリするのはアレルギー症状ではないことも。食物がアレルゲンとならない場合でも出る症状や成分、物質についてアレルギーに関する情報サービス「クミタス」を運営するウィルモアの石川麻由社長に聞いた。

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【子どものアレルギー2】この症状はアレルギー?食物以外で起こる反応まとめ(画像はイメージ)
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 山芋で口の周りが痒くなったり、メロンを食べて口の中がピリピリするのはアレルギー症状ではないことも。食物がアレルゲンとならない場合でも出る症状や、一見アレルギーと間違うことのある成分や物質についてアレルギーに関する情報サービス「クミタス」を運営するウィルモアの石川麻由社長に聞いた。

◆仮性アレルゲンによるアレルギー様症状

 食物アレルギーの免疫反応がもたらしているのではありませんが、「仮性アレルゲン」と呼ばれる、アレルギー様症状を引き起こす物質があります。

・ヒスタミンを含む食品
野菜(なす、たけのこ、セロリ、トマト、ほうれん草、ジャガイモなど)
肉(牛肉、鶏肉、豚肉など)
発酵食品(チーズ、赤ワイン、みそ、しょうゆ)
赤身魚(サバ、いわし、さんま、まぐろ、かつお)

・セロトニンを含む食品
パイナップル、バナナ、キウイ、トマト、アボカド、メロン、プラムなど

・チラミンを含む食品
アボカド、トマト、チョコレート、チーズ(熟成)、ニシンの酢漬け、鶏レバー、なすなど(チラミンはセロトニンの放出を促進する)

・アセチルコリンを含む食品
たけのこ、やまいも、里芋、なす、トマト、そば、まつたけ、くわい、ピーナツ、くりなど

・ノイリンを含む食品
古くなったサンマ、塩サケ、冷凍のタラなど

・トリメチールアミンオキサイドを含む食品
貝類(アサリ、ハマグリ)、甲殻類・軟体動物(エビ、カニ、イカ、タコ)、魚類(カレイ、タラ、スズキなど)

・フェニールチラミンを含む食品
赤ワイン、チョコレート、チーズなど

・トリプタミンを含む食品
プラム、トマトなど

・サリチル酸化合物を含む食品
きゅうり、じゃがいも、トマト、リンゴ、いちご、アーモンドなど

 仮性アレルゲンによる反応の場合は、食物アレルギーの反応時と比較すると、完全な除去が必要なほど強い症状が誘発されることは少ないとされており、特定の食品を摂取した後に発疹、鼻水、頭痛などがある場合は、一度の多量摂取を控える、あく抜きをする、連日の摂取を控える、空腹時の摂取を控える(食べる順番に留意)、疲労時の摂取を控える対策でも症状誘発を防ぐことにつながります。

 食物がアレルゲンとなって感作しているかは、採血によるアレルギー検査でも判明し得ますが、アレルゲン検査の「プリックテスト」において使用されるアレルゲンエキス内にヒスタミン、コリン、モノアミンなどの血管作動性物質が含まれることがあります。

 その場合、アレルゲンエキスそのものに反応する場合もありますので、プリックテストを受けられる際には、仮性アレルゲンによる症状が疑わしい場合の過去の症状歴も含め、相談されるのが良いかと思います。

◆キウイやパイナップルタンパク質分解酵素による影響

 アクチニジン(キウイフルーツ)、パパイン(パパイヤ)、ブロメライン(パインアップル)、ショウガプロテアーゼ(生姜)などのタンパク質分解酵素は、口腔内のタンパク質を分解し、咽喉等に刺激を与えることがあります。タンパク質分解酵素は熱に弱く、ジャムなど加熱加工されたものでは、タンパク質分解酵素は失活した状態になります。

◆シュウ酸カルシウムの針状結晶

 里芋や自然薯、長芋の皮をむいているときの手や、とろろ芋を食べた後の口周りが痒くなるのは、含まれるシュウ酸カルシウムが影響しているかもしれません。里芋、自然薯、そして長芋、大和芋などにはシュウ酸カルシウムが多く含まれ、このシュウ酸カルシウム結晶の中に針のような形状をした、針状結晶が含まれると、肌に付着すると刺激を感じ、痒みを感じることがあります。肌に付着しないようにすることで、刺激を感じにくくなりますので、素手で皮むきをせずに手袋を着用する、口のまわりの皮膚に付着しないようにして頂くことも効果的な対策になります。

◆ククルビタシン

 ウリ科の野菜、果物に含まれることがありますが、苦味を強く感じる成分で、高濃度に含むものを多量摂取した場合、腹痛、下痢をおこすことがあります。強く苦味を感じる場合は、無理に食べないようにしましょう。

◆エタノール、酢酸エチル、炭酸ガスなどの刺激物

 よく熟した果物を食べた際に、発酵臭を感じたり、舌に少し炭酸のような刺激を感じることがあります。特にメロン、いちごなどで刺激を感じやすいことがあります。気になる様であれば、熟しすぎる前に召し上がっていただくのが良いでしょう。

◆カビへの反応

 フルーツに付着、発生したカビを構成するたん白質成分がアレルゲンとなるケース、カビに感染したキウイが作り出す防御タンパク質(キチナーゼ関連タンパク質成分)がアレルゲンとなるケースもありますが、カビの種類によっては、有害作用により嘔吐、下痢のみならず、血液細胞の障害、血管や子宮平滑筋の収縮、肝機能や腎機能障害、神経障害などを引き起こすことがあります。

 食品を摂取して不調をきたす場合、食物アレルギーによる症状でなく、食品に含まれる成分や物質への反応、症状である場合があります。
原因成分、物質によっては、家庭でも対策可能な場合もありますので、繰り返し反応がある場合は、何をどのくらいの量を食べてどういった反応があるか、その際の食品の状態、調理方法なども併せて憶えておけると、良いでしょう。
《編集部》

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