ボローニャ国際児童図書見本市で注目…日本で今すぐ楽しめる作品4選

 4月4日から7日までの4日間、イタリア・ボローニャで開催された「ボローニャ国際児童図書見本市(Bologna Children's Book Fair、ボローニャブックフェア)」。ここでは、リセマム読者に向けに筆者が選んだ日本でも今すぐ楽しめる作品を紹介しよう。

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ボローニャ国際児童図書見本市の風景/出版イベント会場
  • ボローニャ国際児童図書見本市の風景/出版イベント会場
  • 駒形克己「日がのぼるとき」/手前中央の見開き、その奥は表紙
  • みやこしあきこ「よるのかえりみち」表紙
  • 駒形・みやこし両氏の受賞作も飾られるショーケース
  • フェア内でのみやこしあきこ氏サイン会
  • 今村正樹氏 偕成社の出版ブースで
  • 「LOOPIMAL」操作風景
  • 「CHOMP」作品イメージ
◆著名イラストレーターによるデジタル遊びの意欲作

 さて、最後は「CHOMP」(Fox and Sheep、ドイツ)だ。佳作に相当する賞に選ばれた7作品中のひとつで、タップに反応する「動くイラスト」と動画を組み合わせている点が今までにないアイデアである。

 作品内には、ドラム式洗濯機が回る光景であったり、指揮者がおおげさに指揮棒を振る場面であったりと、多彩な短編イラストのパッケージが55個用意されている。各イラスト内にはくり抜かれた穴があり、カメラをのぞき込むと、遊び手自身の顔がそこにひょっこりはめこまれる仕組みだ。この仕掛けにより、イラストの移り変わりに合わせて、遊び手が自然と表情を変化させることを誘発できる。つまり、子どもが画面に向き合うだけのクローズドな遊びに終わらないのだ。もちろん、「ぷっ」と笑ってしまう面白さの種も、ちゃんと潜ませている。

 配信元の共同創設者兼CEOであるVerena Pausder氏は、「デジタル遊びは子どもが一人で画面とにらめっこ、というイメージがあるが、これにはその逆をつき、彼らを笑わせるものを作りたいとの思いが出発点にありました。発案は、絵を担当したイラストレーターであるChristoph Niemann(クリストフ・ニーマン)です。彼はニューヨークタイムズ紙などでイラストを描いている著名な作家で、遊び手を驚かせようといつも考えていました」と述べる。まさに狙いどおりの出来になったわけだ。最初は単に自分の顔が大映しになる面白さだけかもしれないが、子ども自身が年齢を追うごとに、イラストのもつ意味まで含めて楽しめるようになるだろう。日本では、先に紹介した「LOOPIMAL」同様にApp Storeでダウンロードできる。価格は400円(税込)。

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《てらしまちはる》

てらしまちはる

ワークショッププランナー/コラムニスト/絵本ワークショップ研究者。東京学芸大学個人研究員。2022年3月に単行本『非認知能力をはぐくむ絵本ガイド180』(秀和システム)を刊行。絵本とワークショップをライフワークとしている。アトリエ游主宰。

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