◆著名イラストレーターによるデジタル遊びの意欲作 さて、最後は「CHOMP」(Fox and Sheep、ドイツ)だ。佳作に相当する賞に選ばれた7作品中のひとつで、タップに反応する「動くイラスト」と動画を組み合わせている点が今までにないアイデアである。 作品内には、ドラム式洗濯機が回る光景であったり、指揮者がおおげさに指揮棒を振る場面であったりと、多彩な短編イラストのパッケージが55個用意されている。各イラスト内にはくり抜かれた穴があり、カメラをのぞき込むと、遊び手自身の顔がそこにひょっこりはめこまれる仕組みだ。この仕掛けにより、イラストの移り変わりに合わせて、遊び手が自然と表情を変化させることを誘発できる。つまり、子どもが画面に向き合うだけのクローズドな遊びに終わらないのだ。もちろん、「ぷっ」と笑ってしまう面白さの種も、ちゃんと潜ませている。 配信元の共同創設者兼CEOであるVerena Pausder氏は、「デジタル遊びは子どもが一人で画面とにらめっこ、というイメージがあるが、これにはその逆をつき、彼らを笑わせるものを作りたいとの思いが出発点にありました。発案は、絵を担当したイラストレーターであるChristoph Niemann(クリストフ・ニーマン)です。彼はニューヨークタイムズ紙などでイラストを描いている著名な作家で、遊び手を驚かせようといつも考えていました」と述べる。まさに狙いどおりの出来になったわけだ。最初は単に自分の顔が大映しになる面白さだけかもしれないが、子ども自身が年齢を追うごとに、イラストのもつ意味まで含めて楽しめるようになるだろう。日本では、先に紹介した「LOOPIMAL」同様にApp Storeでダウンロードできる。価格は400円(税込)。【次ページ】「現地母親にきく絵本事情と、日本」へ