国立大学協会も財務省見解に反論、運営費交付金の拡充に理解を

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  • 里見会長の声明(一部)
  • 財務省:財政制度分科会(平成28年11月4日開催)資料
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 国立大学協会は11月10日、国立大学の運営費交付金についての財務省見解に対する会長声明をWebサイトに掲載した。財務省の認識は、国立大学の置かれている厳しい財政状況の実態とかけ離れたものであると反論。基盤的経費である運営費交付金の拡充が不可欠だとした。

 声明は国立大学協会の里見進会長が11月9日に発表したもの。11月4日に開催された財政制度等審議会財政制度分科会では、法人化以降の国立大学に対する国の支援について言及。国立大学法人運営費交付金は法人化以降1,470億円減額されたが、財務省はマクロ的に見れば附属病院の赤字補填(584億円減)と退職手当(504億円減)の減を除くと382億円の減少に留まっている。入学者数が減少していること、運営費交付金に補助金などを加えた国立大学への公的支出は1,047億円増加していることを踏まえると、全体としては教育研究活動を圧迫しているとの批判にはあたらないという姿勢を示した。

 この点について、国立大学協会は国立大学の置かれている厳しい実態とかけ離れたものであると反論。法人化以降の運営費交付金以外の収入増は、国立大学が公的資金による競争的経費のみならず産学連携や寄附金などの獲得に努め、それらの財源を確保しているものであるとした。また、近年、消費税率の引上げ、光熱費や電子ジャーナル購読料の高騰など、諸経費を上昇させるさまざまな要因が生じており、各国立大学は経費の削減や学内資源の再配分などを行い、必要な経費の確保に努めている。

 また、教職員の人件費や基礎的な教育研究環境の整備費は、運営費交付金でなければ確保できず、各大学において常勤教員、とりわけ若手職員の減少が顕著になっている。キャリアパスが不透明であることから、大学院博士課程への進学を躊躇する現象も見られ、日本の研究力の維持発展にとって憂慮すべき状況と述べた。科学研究費補助金などの競争的資金とともに、安定的な基盤的経費も重要との考えを示した。

 財務省は、民間企業との共同研究や寄附金収入の拡大など、運営費交付金以外の収入を多様化し増幅させることが不可欠だとしている。国立大学協会としても、多様な財源確保の努力を一層強化していくとしているが、教育研究活動のもっとも基盤的な部分を支える役割を果たすのは運営費交付金であり、これをそのほかの財源で代替することはできないと述べた。国立大学の危機的な財政状況を正しく認識したうえで、国立大学の改革を着実に実現させていくためには、基盤的経費である運営費交付金の拡充が不可欠であるとまとめ、各方面への理解を求めた。
《黄金崎綾乃》

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